月亭遊方×津軽三味線!
8月2日(火)、夕方に天六の洛二神で魚系の、あっさり和風中華そばを食す。美味なり。
そこから徒歩で音太小屋へ。
「月亭遊方の未知との笑遇」第1回。客の入りは55人くらい。盛況。場所が分かりにくく、道に迷ったお客さん多数。
今回は竹山流津軽三味線の野崎竹勇雅(のざきちくゆうが)さんとの共演。盲目の名人・高橋竹山の孫弟子にあたる。大阪・泉南出身で、夫の転勤で青森へ行き、銀行のOLをしていた時に津軽三味線と出会ったそう。23歳だった。そして習い始めて4ヶ月で当時80過ぎだった竹山と対面、「何か弾いてみなさい」と言われたが恐れ多くて弾けなかった。しかしその後、竹山に自分の演奏を聴いてもらえる機会は2度と訪れず、今ではあの時のことを後悔していますと。その後も全国十ヶ所を転々とされたとか。今後のことを訊かれ、「竹山の曲が大好きなので、極めたい」とも。
遊方さんは野崎さんのことを「はんなりした女性だけれど、一方でピンと立ったところもあり、そこにSomethingを感じました」と。
今回の会、チラシには
未知なるジャンルとの一体感!遊方の刺激的なクロスオーバー・ステージ
と書かれていたので、当然落語と津軽三味線の共演があるものと想っていた。ところが落語→三味線→対談→仲入り→三味線→落語という風に交代交代に演じるだけだったので肩透かしを食らった。「一体感」もなければ「クロスオーバー」もしない。がっかりした。
しかし、竹勇雅さんのパフォーマンスは聴き応えがあった。最初のステージでは「新じょんがら節」「津軽三下り」「剣心」「あいや節」、そして夫が長野県に転勤となった折、親しんだ善光寺の鐘の音をイメージしたオリジナル「津軽曲弾き」を披露。津軽三味線は野太い音で切れ・迫力がある。「弾く」だけではなく、撥(ばち)でパシッ!と「叩く」ようにする打楽器としての側面があり、そこがユニーク。また、撥の反対側で弾く奏法もあった。
休憩を挟みポップス篇。三味線プレイヤー・上妻宏光(あがつまひろみつ)作曲の「刹那」、「テイク・ファイヴ」(伴奏の音源とピッチが合っていないのが些か気になった)、そしてチック・コリア作曲「スペイン」で〆。
さて落語の方だが、客席にアンケートを取ると、今まで月亭遊方という噺家がいたことを知らなかった人が約半数。遊方さんはネタを迷いながら二席。
- ちりとてちん(カジュアル古典)
- 怪奇ホテル・オソレミオ(遊方 作)
「ちりとてちん」は七転八倒、エキセントリック。そして汚い。創意工夫は感じるが、やりすぎ(too much)かな?ちょっと引いた。
「怪奇ホテル・オソレミオ」のマクラでは大学生の頃、清里のユースホステルに泊まった時の想い出などを語られた。大体ああいう所には「仲良し3人組」の女の子たちが宿泊していて、出る食事はただの海草サラダなのに「ポセイドンからの贈り物」、黒パンは「ライ麦畑でつかまえて」とかいった凝ったネーミングが付けられていると(場内爆笑)。またリゾートホテル「エクシブ琵琶湖」で師匠の八方さんと親子会をしに行ったとき、落語+食事で昼が2万8千円、夜が3万2千円という料金設定で驚いたそう。それでも定員100名がいっぱいだったとか。このネタは文句なしに面白かった。
開演時間が19時半で終わったのが22時15分。遅すぎる!次回から何とかして欲しい。
今年が入門25年目の遊方さん。「そうじゃないんだ」と言いたくなるようなもどかしさもあり、また一方では「まぁこれが彼の愛すべきところだな」と想う側面もあり、相反する複雑な感情を抱きつつ、帰途に就いた。
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