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映画「モールス」( LET ME IN )

評価:A

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スウェーデン映画のハリウッド・リメイク作である。オリジナル版のレビューは下記。

ホラーの帝王スティーヴン・キングが2010年のベスト・ワンに本作を選び、「この20年でアメリカで製作された最高のスリラー」と絶賛したことは有名。

映画公式サイトはこちら

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スティーヴン・キングの賛辞はいくらなんでも褒めすぎだと想うが、キング原作の映画化で例えるなら、「デッドゾーン」「スタンド・バイ・ミー」「ショーシャンクの空に」レベルの作品に仕上がっていると言えるだろう。つまり、非の打ち所がないということだ。

スウェーデンのオリジナル版は些か泥臭く、悪趣味なところもあった。しかし今回のリメイク版は見事に洗練され、リリカルで静謐、耽美な逸品に仕上がっている。

少女の吸血鬼というのは萩尾望都の「ポーの一族」を想い出させ、全編に漂う浪漫的雰囲気はロジャー・コーマン監督のエドガー・アラン・ポー原作シリーズ(「アッシャー家の惨劇」「恐怖の振り子」「赤死病の仮面」)を彷彿とさせるものがある。昔懐かしい感じ。時代設定はレーガンが大統領だった1983年。ルービックキューブ(日本発売は1980年)やパックマン(やはり1980年発売、日本産コンピューターゲーム)も登場。

主役の少年少女を演じた、コディ・スミット=マクフィーとクロエ・モレッツが素晴らしい。素足で雪の上を歩くというのがいいね。

ロケ地アメリカ・ニューメキシコ州ロスアラモスの雪に凍える閉塞感もいい。

基本的にプロットはスウェーデン版を踏襲しているが、ハリウッド版オリジナルとして学校で子供達がフランコ・ゼッフィレリ監督の映画「ロミオとジュリエット」を鑑賞している場面が登場(ニーノ・ロータの音楽も流れる)。これは作品の主題に相応しく、見事な脚色と言えるだろう。アルフレッド・ヒッチコック監督の「裏窓」的要素を取り入れた演出(マット・リーヴス)にもセンスを感じる。

また「カールじいさんの空飛ぶ家」でアカデミー作曲賞を受賞したマイケル・ジアッキーノの音楽も印象的。

それにしても吸血鬼というのは生命力の乏しい、脆弱な生き物(?)である。ニンニクや十字架が苦手(←この設定は本作には登場しない)。日の光を浴びると死んでしまう。人間の血でしか栄養の補給が出来ない……寿命は長いが孤独である。しかし、だからこそ切なく、残酷でありながらも美しい物語が紡ぎ出されるのであろう。

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