Shall We ダンス!~大阪交響楽団 定期
7月13日(水)、ザ・シンフォニーホールへ。
キンボー・イシイ=エトウ/大阪交響楽団 定期演奏会を聴く。
- バルトーク/舞踏組曲
- セジョルネ/マリンバと弦楽のための協奏曲
- コッペル/マリンバ協奏曲
- ラヴェル/ラ・ヴァルス
マリンバ独奏はボストンを拠点に活躍する大茂(だいも)絵里子さん。
舞踏組曲は滅多に実演を聴く機会のない作品であり、嬉しかった。小躍りしたくなるようなワクワク感。リズムは泥臭い。その土俗性は大栗裕の「大阪俗謡による幻想曲」を連想させる。そういえば朝比奈/ベルリン・フィルが「大阪俗謡」を演奏した時、”東洋のバルトーク”とドイツの新聞に評されたんだった。
マリンバの音は生で聴くと特に低音に豊かな倍音があり、深みを感じる(CDでは倍音の一部がカットされてしまう)。
セジョルネ(1961-)はフランスのリモージュ生まれ。曲は2006年リンツで開催された国際マリンバ競技会のために作曲されたもの。現代作品だが、親しみやすい調性音楽。第1楽章はミシェル・ルグラン作曲「シェルブールの雨傘」を彷彿とさせる叙情性があり、打って変わって賑やかな第2楽章はジプシー キングスのノリ。フレンチ・ジャズとフラメンコの融合。いい。
デンマークの作曲家コッペル(1947-)は元々ロック・ミュージシャンだったとか(若い頃、兄とサイケデリック・ロックバンド「サベージ・ローズ」を結成)。1995年にルクセンブルクで催された国際打楽器競技会の委嘱で書かれた曲。第3楽章はしっかりとしたソナタ形式になっている。ノリがよく、これぞクロスオーバー(crossover)という感じ。変で面白い。
大茂さんのアンコールはマスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲だった。
ラヴェルの「ラ・ヴァルス(=The Waltz)」を僕が初めて聴いたのは高校生ぐらいの頃だろうか?なんだか全体に霧がかかってもやもやっとした、捉えどころのない音楽という印象であった。今回生で聴いて感じたのは、ラヴェルは印象派と一般に言われているけれど、この曲に関する限り一番近いのはピカソのキュビスムではなかろうかということ。ワルツの旋律の断片が現れては突如中断され、また別の旋律が登場する。それらのピースがモザイクのように組み合わされ、一部では重なり合い、立体的に全体が構成されている。ちなみにピカソが「アビニヨンの娘たち」を描いたのが1907年、ラ・ヴァルスが完成されたのは1919年であった。また、曲の断片がピョンピョン切り替わっていく様はレコードの針飛びにも似ている。レコードもラヴェルの時代にはあったわけで、そういうイメージも内包されているのかも知れない。
キンボー・イシイ=エトウの指揮は明快。あっけらかんとして陰影はないけれど、今回のプログラムには似合っていたと思う。
また同じコンビで7月17日(日)に名曲コンサートを聴いた。特にモートン・グールド/アメリカン・シンフォネット 第2番がJAZZが盛り込まれた小粋な音楽で気に入った。第2楽章「パヴァーヌ」のミュート・トランペットも良かったな。
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