スピリチュアルな響き~いずみシンフォニエッタ大阪 定期
7月15日、いずみホールへ。
飯森範親/いずみシンフォニエッタ大阪を聴く。
- 川島素晴/牧神幻想
~ドビュッシー、ラヴェルが描く牧神達の午後(初演) - メシアン/天上の都市の色彩(ピアノ独奏:碇山典子)
- クセナキス/フレグラ
- 西村 朗/虹の体
先だって恒例のロビー・コンサートあり。12名の金管アンサンブルでヘイゼル/「三匹の猫」から二曲。ヘイゼルはフィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルのアルバム・プロデューサーを務め、この曲も彼らのために書かれた。綺麗で優しい曲とJAZZっぽくて格好いい曲。
川島さんの新曲は「牧神の午後への前奏曲」を中心に、ドビュッシーのフルート無伴奏独奏曲「パンの笛(シリンクス)」や、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」、さらにドビュッシーの継承者と言える武満徹の「鳥は星型の庭に降りる」を加味したもの。
冒頭でチベット仏教で使用される「シンギングボウル」=鈴(リン)が使用されたが、これはプログラム最後の「虹の体」とリンクし、円環する仕組みとなっている。
川島さんと西村さんのプレトークによると、「牧神の午後への前奏曲」の主題は増4度が用いられているが、これはトリトヌス(悪魔の音程)と呼ばれ、中世ヨーロッパでは禁忌とされていたそう。トロンボーンがマウスピースだけでこの主題を吹く場面も。
時空を超えた作曲家たちの饗宴。幻夢的で印象深かった。是非また聴きたい。
メシアンは弦なし。ピアノと3本のクラリネット、そして6人の打楽器奏者による鳥の歌、そして金管のコラールとの対話。不思議な編成。神秘的。
「フレグラ」はヴァイオリンからコントラバスまで弦4人、そして木管金管各パート1名ずつで計11人のアンサンブル。ギリシャ神話に登場する神々の戦いを描くが、モーレツで面白い。なんだか動物園でトラ、ライオン、ゾウ、ヒヒなどが一つの檻に閉じ込められてぎゃーぎゃー騒いでる光景を連想した。飯森さん曰く、「(クセナキスは)変人ですね」
プログラム最後は西村さんの「虹の体」。チベット仏教において修行を積み、高い悟りに至った行者の魂は、その死後永遠の光となり、肉体も虹の輝きを放ち昇華して消えるとされる教義への憧れをこめたもの。色彩豊かな響きで聴いていて気持ちが良くなった。これって仮想解脱?音楽によるバーチャル神秘体験かも(笑)。
というわけで楽器編成もさまざまで、小難しい「現代音楽」ではなく、退屈しない会だった。
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