林家正雀・桂文我/新橋たっぷり寄席 -大阪出張ー
7月29日(金)カタログハウス大阪店へ。
- 林家正雀/町内の若い衆
- 桂 文我/豊竹屋
- 林家正雀/「真景累ヶ淵」より”豊志賀〜お久殺し”
文我さんはネタが短めなので、マクラで枝雀師匠のエピソードをたっぷり。枝雀さんは東京の八代目・正蔵(後の彦六。正雀さんの師匠)のことが大好きで、自宅に伺った時に苦手だったコーヒーを出され、飲んでみたら好きになったとか。
また凝り性だった枝雀さんは一時期、グラタンばかり食べていた。ある日、テレビ番組でホットプレートを当てて持ち帰り、上等な肉を使って昼に焼きそばを作ったら美味しかった。「師匠、夕ご飯は何にしましょう?」と当時内弟子修行中だった文我さんが尋ねると、「そうね、焼きそばにしようかな」それから約1ヶ月間、文我さん、九雀さんとともに毎日焼きそばを食べ続けた。またコーヒーフロートに凝った時は上に浮かぶアイスクリームを崩さず食べることに「美学」があるんだと言い、後に同じ趣向をコーラフロートでも試みた。
カラオケに夢中になった時は「達者でナ」(三橋美智也)、「憧れのハワイ航路」(岡晴夫)、「ギザギザハートの子守唄」(チェッカーズ)、「野風増」(河島英五)などを得意にしていた。
枝雀さんは歩きながら落語の稽古をした。文我さんがアイロンを掛けている周囲をぶつぶつ呟きながら廻り、そのままふっと外出した。すると車軸を流す雨が降り出し、文我さんが傘を持って表に迎えに出ると、雨宿りするでもなく、びしょ濡れになりながら腕を組み「住吉駕籠」の稽古をしつつ坂を上ってくる師匠の姿に出くわした。
浄瑠璃は女義太夫の竹本角重(かくしげ)おっしょさんの所に習いに行った。浄瑠璃のレコードを聴きながら「名人は時代を超えるな」と涙を流したこともあった。……といった内容で、興味深く傾聴した。
正雀さんを初めて聴いたのは「水神」で、このネタが詰まらなかったので印象が悪かった。でも一度聴いただけでその人の評価を下してはいけないと想い、今回の落語会に臨んだのだが、漸くその醍醐味を理解出来た。端正でありながらシャキシャキっとして気っ風がいい。そして年増の女性を演じるのが上手い(若い女性はいまいちだけど)。
「町内の若い衆」はシュールなサゲが秀逸。面白い!
三遊亭圓朝・作の怪談「真景累ヶ淵」は背筋がゾクゾクッとした。豊志賀の顔に腫物が出来、これがどんどん腫れてくる。それを巧みな語り口と表情の変化で迫真の演技!
最後は軽く江戸小噺(お天道さま、お月さま、雷さまが旅する噺)をされて〆。聴き応えのある会だった。
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