桂文我/柿の木金助 連続口演 其の四
梅田・太融寺へ。
- 桂 小鯛/延陽伯
- 桂 文我/柿の木金助(其の四)
- 笑福亭生喬/紐落し
- 桂 文我/関津富
小鯛くんが「吉日」のことを「きちにち」と言っていたので、この読みは正しいのか帰宅後調べてみた。「きちじつ」は呉音「きち」と漢音「じつ」の混ぜ読みで、新しい形。「きちにち」「きつじつ」が本来の読み方だそうだ。なるほど。落語って勉強になる。
小鯛くんを上手いと想ったことは今まで一度もなかったけれど、スピード感があって見違えるようだった。生喬さんも今回の出来を褒められたそう。ただし女性の口調はまだまだ。
「柿の木金助」は其の一、二を聴いたが、其の三は都合が悪くて行けなかった。でも毎回、それまでの粗筋を解説して下さるので困ることはなかった。波乱万丈の物語。これは果たして落語なのか、はたまた講談なのか微妙なところではあるが、今後の展開が気になる。
生喬さんはシュークリームに対するこだわりをマクラで。中身は生クリームではなくカスタードでなければならないそう。また、数珠は煩悩の数108あるが、主玉(もんど)の数珠はその半分54個だとか。「紐落とし」はとても珍しい噺で、なかなか良かった。
文我さんは今までで一番驚いた一言について語られた。上方落語協会が桂文枝(当時は小文枝)会長、笑福亭仁鶴副会長だった時代。選挙の結果、次期会長が桂米朝、副会長が枝雀に選出された。しかし枝雀師匠はその場で立ち上がり、辞退を申し出た。「やっと僕の落語が形になってきたところなので、そちらに専念したいのです」すると隣に座っていた三枝さんが横を向いて「枝雀さん、それはあきまへんで」と言った。「会員の総意で決まったことですし、別の人が選ばれたら貴方も拍手したでしょう」と。これを聴いて文我さんも内心(なるほどその通りだな)と思われたそうだ。しかし枝雀さんはそこでこう切り返したという。「僕の体は僕のものなんだ!」そしてその言い分が通ったというのだからすごい。
また、先代の桂歌之助さんが1982(昭和57)に太融寺で「やけくそ五日間」を開催したところ、その会期中にホテルニュージャパン火災(2月8日)、羽田沖日航機墜落(同9日)などがたて続きに起こり、唯一何もなかったのが落語会休演日のみだったというエピソードも披露された。
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