映画「プリンセス トヨトミ」
評価:C
映画公式サイトはこちら。
直木賞候補となった原作の著者、万城目 学(まきめ まなぶ)は大阪府出身。京都大学法学部卒。
豊臣家の末裔が生きていて、それを地下組織が守っているというアイディアは悪くない。大阪国が立ち上がり、独立しようとするのは桂三枝の創作落語「大阪レジスタンス」に通じるものがあり、この発想に大阪人の長年に渡る鬱屈した想い・反骨精神・ロマンが感じられるので僕は好きだ。
但し、この物語(法螺話)のプロットには大きな穴、欠陥がある。
映像的に「プリンセス・トヨトミ」は道頓堀や新世界が人っ子一人いなくなる「大阪全停止」が売りである。
しかし「豊臣家を守れ!」という使命は父から息子に代々受け継がれてきた。つまり「母と娘」は無視されているのである。ならば、「お家の一大事、いざ見参!」となった時、一堂に会するのは男達だけということになる(実際そうなっている)。とすると、道頓堀や新世界から女性たちは消えないし、観光客だっている。だから空っぽになる筈がないのである。いくらフィクションとはいえ、詰めが甘い。興醒めであった。
堤真一、綾瀬はるか、岡田将生、中井貴一らは好演しているし、演出も悪くない。惜しい。
なお映画を観終わり、近くに座っていたおばちゃんが開口一番、「綾瀬はるか、どんだけ走んねん!道頓堀から空堀商店街やで」には爆笑した。さすが大阪のおばちゃんはおもろいわ。
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