文我「狼講釈」・宗助「釜猫」/玉造・猫間川寄席 (第65回)
5月25日、サンクスホールへ。
猫間川寄席は過去のネタと一切重複しないという方針で運営されている。だから珍品ぞろい。
- 笑福亭生寿/狸の鯉
- 桂 紅雀/孝行糖
- 桂 文我/藁人形
- 桂 宗助/釜猫
- 桂 文我/狼講釈
生寿さんの「狸の鯉」を聴くのは3回目くらいだが、以前よりくすぐり(ギャグ)が増えている!
紅雀さんは、あるお寺の境内で落語会があり、先輩が「らくだ」をかけている最中にだんじりが大音量で横を通り過ぎたことや、「替わり目」を演じていると何度も同じオバチャンが携帯電話を鳴らして往生した爆笑エピソードをマクラに。
文我さんは三重県松坂市出身。幼い頃はまだ土葬の習慣が残っていて、人魂を見たことがあるそう。また木挽きの作業を見ているとき、鋸が何かに当り、「また呪い釘か」と。つまり藁人形を五寸釘で木に打ち付けると、藁は自然に落ちて、釘だけが残るというわけ。
「釜猫」は「桂米朝/珍品集」CDに収録されており、いまは宗助さんくらいしか演じ手がいない。奇想天外・陽気なネタで、途中ハメモノ(お囃子)も入り、すこぶる面白かった。
「狼講釈」は泥丹坊堅丸(どろたんぼうかたまる)という落語家が登場する。彼が出てくる噺は他に「べかこ」「深山がくれ」があり、これで全て聴いたことになる。五代目・笑福亭松鶴(編)「上方はなし」では噺家が主人公になっているが、さらに遡り江戸時代に花枝房圓馬(はなしぼう えんば)が残した「絵本千里藪」 (落噺千里薮、おとしばなしせんりのやぶ)では道楽息子が主人公になっているとか。今回は上方版による口演だったが、この翌日に京都では江戸版を演じられたらしい。文我さんの表現を借りるなら「ひっちゃかめっちゃか」な噺で、後半は「五目講釈」みたいな味付けに。
また文我さんはマクラで故・枝雀師匠の稽古の仕方を紹介された。機嫌がいいときは対面でニコニコ聴いていて、時に大笑いをされる。しかしそうでないときは演者の周囲をぐるぐる廻り、ふっと稽古場からいなくなったりする。暫くして戻ってくると一言、「このネタは、やらん方がよろしいな」
さらに巨漢で「ゴジラ」の愛称で親しまれた桂文團治が若い頃、霊狐術(れいこじゅつ、怪しげな超能力を装った手品)をしていたというエピソードも。
貴重なお話も聴け、有意義な会だった。
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