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2011年5月11日 (水)

え、ミャスコフスキー?誰、それ?? 児玉宏/大阪交響楽団 定期

ザ・シンフォニーホールへ。

Osaka

児玉宏/大阪交響楽団の定期演奏会。「忘れられた作曲家”ミャスコフスキー”」と副題が付いている。

  • R. シュトラウス(クラウス 編)/交響的断片「ダナエの愛」
  • R. シュトラウス/交響詩「死と浄化(変容)」
  • ミャスコフスキー/交響曲 第24番
    「ウラジーミル・デルジャノフスキーの思い出に」
    (日本初演) 

以前にも書いたが、児玉宏さんを三ツ星レストランの料理長に喩えることが出来るだろう。「エッ、こんな料理見たことも聞いたこともない!」というメニューが毎回提供されるが、客は黙って児玉シェフの「おまかせコース」を味わえばいい。そこには間違いなく極上の味わいと、感動が待ち受けているのだから。

それにしても何というマニアックな選曲であろう。R. シュトラウスに「ダナエの愛」というオペラがあることも、ミャスコフスキーに至っては、そんな名前の作曲家がいたことすら知らなかった。通常は会場が8割くらい埋まる大響定期だが、さすがに今回の入りは6,7割といったところだろうか。

ダナエの愛」はオペラを初演した指揮者クレメンス・クラウスの手で演奏会用管弦楽小品として編曲されたもの。冒頭で咆哮する金管、そして切れのあるリズム。その中から旋律線がクリアに浮かび上がってくる。

死と浄化」も透明度・解像度が高く、曲の構造が明確に見通せる。児玉さん、見事な手綱さばき。そういえば数年前から僕は彼のことを「日本のカルロス・クライバー」と評していたことを想い出した。クライバーはR. シュトラウスの「ばらの騎士」を十八番にしていた。

プログラム後半はいよいよお待ちかね、ミャスコフスキーの登場である。

ニコライ・ミャスコフスキー(1881-1950)はロシアの作曲家。なんと生涯で27もの交響曲を書いた。ペテルブルグ音楽院で学び、そこでプロコフィエフと同級となり生涯にわたり交流を結んだ。そして1921年よりモスクワ音楽院作曲家教授に就任、亡くなるまで30年間教鞭をとった。

その交響曲を聴いてみると、アイロニーに満ちたショスタコーヴィチや、知性の迸るプロコフィエフとは異なり、音楽はもっとロマンティックで、むしろチャイコフスキーに近い印象を受けた。またファゴットやバス・クラリネットなど木管の低音楽器の使い方はシベリウスの音楽を彷彿とさせるものがある。

第1楽章はホルンと、それに続くトランペット&トロンボーンのファンファーレで開始される。曲はリズミカルに進行し、やがてロシアの大地に根ざした旋律が現れる。ほの暗い、極北の響き。

第2楽章は哀愁が漂い、果てしなく続く凍てついた氷原が描かれる。僕はそこに、ノーベル文学賞を受賞したパステルナークの小説「ドクトル・ジバゴ」と共通する世界が見えた。

ボリス・パステルナーク(1890-1960)はモスクワに生まれた。母はピアニストで、若い頃の彼は作曲家を志し、スクリャービンに師事した(絶対音感がなかったため断念)。つまりパステルナークとミャスコフスキーは9歳違いで、同時期にモスクワに住んでいたのである。僕の連想(奇想?)もまんざら見当違いでもないだろう。

さて最終の第3楽章。音楽はフーガの様相を呈し、厳しさを増す。途中にはロシア民謡風の旋律が挿入され、美しく歌われる。そして最後は静かに、静かに、あたかも音が夜空に吸い込まれるかのように消える。

タクトを下ろした児玉シェフは満足そうにコンサートマスターの森下さんの目を見て、頷いた。会心の出来。ブラビッシモ!これぞ知られざる作曲家の知られざる名曲。- Discover classical music - 児玉さんのおかげで、また新たな扉が開かれた心地がした。

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コメント

雅哉さん、こんばんは。この演奏会、行きたかったのですが、やむをえない突発的事象により、いけませんでした。

ミャスコフスキーは、27番が大好きで愛聴していますが、24番は未聴。この演奏会に行くつもりで、スヴェトラーノフの演奏を予習していましたが、27番同様、この曲も2楽章が秀逸ですね。胸にくうううっときます。

ミャスコフスキー、忘れられるにはあまりに惜しい作曲家だと私も思います。

投稿: ぐすたふ | 2011年5月11日 (水) 21時42分

ぐすたふさん、こんばんは。またディスカヴァー児玉宏はお預けですか(笑)?とても残念です。ぜひ今度のブルックナーこそ。

調べてみたらスヴェトラーノフはミャスコフスキーの交響曲全集を録音しているのですね。しかもHMVでマルチバイを利用すれば16CDが6,800円未満!あまりの激安に唖然とした次第です。今回興味を持ったので是非他の曲も聴いてみたいのですが、交響曲を全曲聴き通すのはちょっと辛いかなぁ・・・。

投稿: 雅哉 | 2011年5月12日 (木) 00時11分

児玉宏/大阪交響楽団のミャスコフスキー素晴らしかったですね。やっぱり生オケはいいです。2楽章では涙が出そうになりました。
私、ミャスコフスキーの演奏会の追っかけをやっておりまして、今回はホテルモントレ大阪に泊まったのですが、フロントに聞くと電車で環状線福島駅まで行くように言われました。シンフォニーホールの案内にも最寄りの駅福島駅となっているのですが、ホテルからは歩いて10分で行けました。演奏会後興奮をさましながら歩くのには最高の距離でした。

投稿: 寿老人 | 2011年6月 9日 (木) 08時52分

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