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2011年5月 1日 (日)

大植英次/大フィルが大阪市庁舎をジャック!〜ジャズ・ピアニスト 小曽根真も登場「被災地支援コンサート」

4月28日(金)、大阪市役所へ。

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ここで大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団のメンバーによる「被災地支援コンサート」が開催された。

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第1公演は大阪市会議場で大植英次さんと小曽根真さんのピアノ・デュオ。

開演前に大植さんが登場し、ピアノを弾き始める。

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さわりが演奏されたのは、

  • フォーレ/パヴァーヌ
  • マーラー/交響曲第5番から第4楽章 アダージェット
  • マスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
  • ショパン/「別れの曲」
  • バーンスタイン/トゥナイト

ここで平松市長が登場し、大植さんと談笑。また聴衆中には大阪市会議長の姿も。

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開演時間となり、小曽根さんが登場。大植さんからの紹介の後、小曽根さんからは「人のために、何かしたくて仕方ない大植さんです!」とエールの交換。

「東京は節電で暗くなっています。僕は品川駅をよく利用するのですが明るさは半分くらいかな。でもそういう東京も素敵だと想うんです。光があれば影も出来る。ミラノとかパリの夜もそんな感じ。今回大阪駅に到着したら眩しかったです」という小曽根さんの話に会場から笑いが起こる。小曽根さんは神戸市出身。阪神・淡路大震災も経験されたという。「幼い頃からJAZZばっかりやっていて最近クラシック音楽を始めたんですけれど、どちらも素晴らしい。今は両者の『共存』が僕のテーマです」

彼のソロは、

  • ショパン/マズルカ 第13番
  • モーツァルト/ピアノ・ソナタ
  • バーンスタイン/トゥナイト
  • 小曽根真/信じて走れ(「組曲虐殺」より)

勿論、クラシックの曲も即興演奏(アドリブ)が加味された。

「蟹工船」で有名な小林多喜二を主人公にした舞台「組曲虐殺」の音楽を作曲された小曽根さんは、井上ひさしが書いた詩を朗読された。

愛の綱を肩に希望を目指して走る人よ
いつも駆け足で森を駆け抜けて
山を駆け登り、崖を駆け降りて
海を掻き分けて、雲にしがみつき
後に続く者を信じて走れ

続いて小曽根さんと大植さんのデュオでJAZZのスタンダード・ナンバー2曲。

  • 身も心も(Body and Soul )
  • Tenderly

大植さん単独で、

  • ーシュウィン/3つの前奏曲から第2曲

大植さんは小曽根さんが演奏するショパンをポーランドの人が聴いて涙したエピソードを披露。また音楽家(ピアニスト)から首相になった世界で唯一の例、パデレフスキ(ポーランド、1860-1941)の話題も。話している途中にふと、「いまは昭和何年ですか?」と大植さん。聴衆から返答。「えっ、平成?そうですか……???」僕の隣に座っていたおばちゃんが笑いながら「大植さん、宇宙人だから」とぽつり。

最後は大植さんから小曽根さんへのリクエストで

  • ショパン/ノクターン 第2番

華麗でロマンティックだった。

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お昼をアイリッシュカレーで食べて第4公演@7階市会第6委員会室へ。

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上の写真、大植さんが手に持っているのは大阪のペットボトル入り水道水「ほんまや」。この水は被災地にも随分送られているようだ(報道発表資料はこちら)。「別に市長や市の職員から頼まれたわけではありません!」と自主的に宣伝していることをアピール。

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ヴァイオリン:橋本安弘、ヴィオラ:小野眞優美、コントラバス:松村洋介で、

  • ディッタースドルフ/ヴィオラとコントラバスのソナタ
    より第1,2,5楽章
     
  • バッハ/トリオ・ソナタ 第2番
  • ペツォールト(伝 J.S.バッハ←誤りと判明)/メヌエット ト長調
    アンコール

松村さんの解説によるとディッタースドルフは「分かりやすいけれど、中だるみする曲」とのことで途中の楽章をカット。

バッハトリオ・ソナタは元々オルガンのために書かれたもの。左右の手、ペダルをそれぞれ3つの楽器に分けられると一層対位法がくっきりと浮かび上がり、「均衡の美」は些かも損なわれなかった。やっぱりバッハはいい。

メヌエットは「ソードレミファソドド」の音型で有名。ポップ・ソング「ラヴァーズ・コンチェルト」の原曲にもなっている。

大阪市会議場に戻り第6公演

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クラリネット:ブルックス・トーン、チェロ:庄司 拓 、ピアノ:鷲見真里で、

  • モリコーネ/ニュー・シネマ・パラダイス
  • ベートーヴェン/ピアノ三重奏 第4番「街の歌」
  • 星に願いを アンコール

映画「ニュー・シネマ・パラダイス」はブルックスが10回以上観て10回以上泣いたそう。原語のイタリア語で鑑賞したとか。

もう最初のピアノによる柔らかく優しい旋律を聴いただけで背中がゾクゾクッとした。泣きたくなるような美しさ!

庄司さんは仙台フィルに友人がいて、電話で話しをすると今でも服を着たまま寝ているという。「いつ余震があっても直ぐ逃げられるように」と。そして夜、仮設トイレに並んでいると、周りの人とは「星って綺麗だね」それしか話すことがないという。そういう訳でアンコールは「星に願いを」。

第8公演は屋上(P1)会議室。

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ヴァイオリン:田中美奈、三瀬麻起子、チェロ:近藤浩志、コントラバス:新 真二で、

  • ロッシーニ/弦楽のためのソナタ 第1番
  • ロッシーニ/弦楽のためのソナタ 第2番
  • 玉木宏樹/Fiddle Faddle(二人のフィドラー) アンコール

第1と第2ヴァイオリンが左右両端で「今日は大植監督の大好きな対向配置です」と近藤さん。曲目を解説していると新さんから「まき」が入り、「話が長いのは大植さんのがうつってきちゃった」と。観客大受け。

ロッシーニの曲は向かい合うヴァイオリンの掛け合いが面白く、チェロは雄弁。コントラバスのソロもある。ソナタ 第1番の第1楽章、新さんが途中どこを弾いているか分からなくなり近藤さんに「今どこ?」と言い、近藤さんが弾きながら「138(小節目)」と答え、「怒ってる?」と訊ねる一幕も。こういうハプニングも愉しい。1楽章が終わるとやんやの喝采。「拍手なんかしなくていいです」と近藤さん。新さんに向かって「今度は落ちないように」

ここで大植さん登場。またまた「ほんまや」を持ち出し、近藤さんに飲んでもらう「美味い!」

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写真上が大植さん手作りの巨大な募金箱。中がよく見え、硬貨だと音がするので、紙幣しか入れにくい仕様になっている。

ソナタ3番は第1楽章の旋律がオペラのアリアみたいで、第2楽章はドキッとするくらい暗く、作曲家の心の深淵を覗き込むかのような音楽だった。

第10公演は大阪市会議場。

トランペット:秋月孝之、篠﨑 孝、橋爪伴之、松原健二、ホルン:村上 哲、トロンボーン:安藤正行、磯貝富治男、ロイド・タカモト、今田孝一、テューバ:川浪浩一で金管十重奏。

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  • デュカス/「ラ・ペリ」よりファンファーレ
  • グリーン・スリーブス
  • ロジャース/サウンド・オブ。ミュージック・メドレー
  • ヘイゼル/三匹の猫
  • ヘイゼル/もう一匹の猫 アンコール

ヘイゼルはイギリスの作曲家・編曲者。長年フィリップ・ジョーンズ・ブラスアンサンブルのアルバム・プロデューサーを務め、「猫」シリーズも彼らのために書かれた。最初はなんだかカーペンターズの楽曲を彷彿とさせるような1970年代ポップス調で、第3曲はJAZZ。ユーモラスで愉快な曲だった。

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またまた大植さんが登場し、「ほんまや」を奏者全員に配ったところ。

また今回初めて知ったのが、市役所には屋上庭園があり、そこからの見晴らしがいい。

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みおくつしの鐘。市民は自由に出入り出来るそうだ。

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大植さんはこの翌日、遅咲きの造幣局の桜と市民が寄せ書きした沢山のノートを携えて、被災地に旅立たれた。3日間岩手県釜石市などの避難所を廻り、被災者の話を聴いたり一緒に歌を歌ったりして過ごされるそうだ。

最後に「星空コンサート」「阪急クラシック」「大阪市役所一日ジャック」を通じ、大植さんが連呼されていた自作の句をご紹介して締めくくろう。

桜の葉 お札に見える 造幣局 みんなで集めて 被災地へ

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