いずみホール ディレクターズ・セレクション 《1》 佐藤俊介/無伴奏ヴァイオリンの世界
いずみホールへ。ここの音楽ディレクター・磯山 雅さんによるセレクションの第1弾。
1984年生まれのヴァイオリニスト・佐藤俊介(26)を聴く。
彼はまだ若いが、既に古楽器奏法を身につけ、バロックとモダン楽器の二刀流である。2010年ヨハン・ゼバスティアン・バッハ国際コンクールにおいて、第2位と聴衆賞を併せて受賞した。
- J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ第2番
- J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第3番
- イザイ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番
- パガニーニ/24のカプリースから4、14、24番
ガット弦、バロック弓によるノン・ヴィヴラートのバッハは澄み切った音色(pura tone)。虚心坦懐、青空のバッハ。バロック音楽の真髄を聴く想いがした。
パルティータも贅肉をそぎ落とし、しなやかな佇まい。跳躍する音楽が小気味いい。
休憩を挟みイザイは1920年代に発表された曲。バッハのパルティータ第3番の引用があるが、激しく攻撃的で如何にも現代の様相を呈している。ここでも佐藤はガット弦を使用し、ヴィブラートも全体の1/3以下に極力抑えた演奏。知的で怜悧な印象だった。
24のカプリースも同様の趣向でヴィブラートが抑制され、客観的でありながら超絶技巧を堪能した。スマートなパガニーニ。
僕は今までサイモン・スタンデイジ、 ジュリアーノ・カルミニョーラ、寺神戸亮などバロック・ヴァイオリンの名手を沢山ライヴで聴いてきたが、実は佐藤俊介が一番上手いんじゃないかとさえ感じられた。恐るべき才能。彼はいま絶対聴いておくべき旬の、時代の最先端を走る音楽家であると言い切れるだろう。
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