下野竜也/京都市交響楽団のリスト(with 金子三勇士)とマーラー
4月24日(日)、ザ・シンフォニーホールへ。
下野竜也/京都市交響楽団の大阪特別公演。
ピアノ独奏に金子三勇士(かねこ みゆじ)を迎えて、
- リスト/ピアノ協奏曲 第1番
- マーラー/交響曲 第5番
金子さんは日本人の父とハンガリー人の母のもとに生まれる。6歳で単身ハンガリーに渡り、11歳の時、飛び級で国立リスト音楽院大学ピアノ科に入学した経歴を持つ。
フランツ・リストはハンガリーに生まれた。だから金子さんにピッタリ。演奏を聴いていて「ハンガリーの血」をひしひしと感じた。
下野さんがドライブする京響は雄弁でドラマティック。金子さんのピアノは鋼(はがね)のような芯の強さがあり、猛々しい。繊細とは対極の無骨な表現で、ドビュッシーやラヴェルなどフランス物には合わないが、リストならこのスタイルが相応しいと想った。アンコールは「愛の夢 第3番」。
マーラーはとにかく京響の金管がよく鳴る。大阪フィルハーモニー交響楽団の場合はいつも「トランペットがこけるんじゃないか、ホルンのピッチ(音程)が合わないんじゃないか」とハラハラして聴いているのだが、京響は安心して音楽に身を任すことが出来る。その咆哮が実に気持ちいい!トランペット首席のハラルド・ナエス、ホルン首席の垣本昌芳さん、お見事!文句なし。
オーケストラの実力診断をすると大フィルの弦は100点、管が60点。一方の京響は弦が80点、管が90点といったところか。京響は両者のバランスがいい。
第1楽章では音の波が客席に押し寄せ、激しくうねる。第2楽章は内燃するエネルギーがマグマのように熱い。第3楽章スケルツォはリズミカルに舞い、躍動する。第4楽章はあっさりとして透明感がある。音楽はまどろみ、夢見るよう。第5楽章ロンドは生き生きした表情が魅力的で、金管の響きが輝かしい。
下野さんのマーラーはパンチが効いてメリハリがあった。胸のすくような快演だった。Bravissimo(no) !
この後、大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の「星空コンサート」へ向かうのだが、それはまた、別の話。
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コメント
僕も当日の演奏会に行きました。
マーラーの5番、トランペットを始め金管楽器群が素晴らしかったですね。
僕も管楽器は大阪フィルよりも京都市交響楽団の方がうまいと言う点にとても同感します。
投稿: 散歩道 | 2011年4月28日 (木) 04時32分
散歩道さん、コメントありがとうございます。
弦高管低の大フィルに対し、京響は弦と管の実力のバランスがとてもいいですね。大フィルも京響を見習ってトランペット首席は外国人を招聘したらいいと想います。日本の弦楽奏者は世界トップクラスですが、金管は頼りないので。
投稿: 雅哉 | 2011年4月28日 (木) 09時47分
はじめまして。
ひろ009と申します。
私も24日のコンサートに行きました。
マーラーではトランペット(ソロが見事!)をはじめとする金管群が凄かったですが、木管と弦も素晴らしい音色でした。また、ティンパニーの響きも圧巻だったと思います。
下野さんの指揮は初めて拝見しました。身体全体を使ったキビキビとしたエネルギッシュな指揮ぶりが素晴らしく、オケと指揮者そして聴衆が作りあげた快演だったのでは?
トラックバックを送らせて頂きました。私は楽譜読めない&楽器弾けないクラシック音楽ファンなので、ブログは殆ど音楽的考察無しの熱烈感想文ですが(汗)。
投稿: ひろ009 | 2011年4月30日 (土) 11時46分