寺神戸 亮 & 曽根麻矢子/デュオ・リサイタル
兵庫県立芸術文化センター・小ホールへ。
かつてラ・プティット・バンドやバッハ・コレギウム・ジャパンのコンサートマスターを務めたこともあるバロック・ヴァイオリンの名手・寺神戸 亮さんとチェンバロ奏者・曽根麻矢子さんとのコンサート。
寺神戸さんの演奏は、以前別の楽器で聴いた。
今回のプログラムは以下の通り。
- デュフリ/序曲 ラ・ドゥ・メ ラ・マダン
『ヴァイオリン助奏付きクラヴサン曲集』より
ラ・フォルクレ メデー ラ・ドゥ・ヴォカンソン(チェンバロ独奏)
『クラヴサン曲集』より - フランクール/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 第6番
- ルクレール/ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ 「トンボー」
- テレマン/無伴奏ヴァイオリンのための幻想曲 第12番
- J.S.バッハ/ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第3番
デュフリは軽やかで優雅。ベルサイユ宮廷の「穏やかな日常」を感じさせるもの。
チェンバロのソロは落ち着いた演奏だが、「切れ」が感じられない。僕は中野振一郎 先生の方が好きだな。
フランクールは毅然として誇り高い音楽。
バッハも勿論素晴らしいが、今回一番気に入った曲はルクレール。深い哀しみに満ち、秋の寂しさ、憂愁が感じられる。
秋の日の
ヴィオロンの
ためいきの
ひたぶるに
身にしみて
うら悲し。
というポール・ヴェルレーヌの詩を想い出した(ルクレールもヴェルレーヌもフランス人)。味わい深い逸品。
バッハは、これぞ調和(Harmonie)。整然とした「均衡の美」がそこにあった。
寺神戸さんのバロック・ヴァイオリンは、少なくとも僕はサイモン・スタンデイジより好きだなぁ。日本人弦楽奏者の実力は世界トップレベルであることを再確認した午後のひとときであった。
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