わたしを離さないで
評価:A
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原作はカズオ・イシグロ(日本語表記:石黒一雄)。長崎県に生まれ、現在国籍はイギリスでロンドン在住。両親は日本人だが幼年期に渡英しており、日本語はほとんど話せないという。1989年にイギリス最高の文学賞、ブッカー賞を「日の名残り」で受賞。同映画も格調高く、優れた作品であった。
小説「わたしを離さないで」は2005年に発表され、ブッカー賞最終候補となった。映画版でもカズオ・イシグロは製作総指揮として名を連ねている。
僕は原作を日本で出版された年に読んでいるが、寂しい物語であった。そしてその印象が全く変わらず映画の中に反映されていた。期待を裏切らない完成度。本作には大きな秘密があるが、それを知った上で観ても少しも興ざめではなかった。
一場面、一場面がまるで絵のような美しさ。それが登場人物たちの哀しみを一層深いものにしている。ヘールシャムの風景がまさに英国の寄宿学校そのものの雰囲気で、どこか懐かしく、素敵だ。
それから映画「17歳の肖像」で英アカデミー主演女優賞を受賞し、米アカデミー賞にもノミネートされたキャリー・マリガンが文句なく素晴らしい。彼女の流す涙がとても綺麗だ。またキーラ・ナイトレイ、アンドリュー・ガーフィールドらも好演。
美しく静謐なレイチェル・ポートマンの音楽も印象深い。
心に残る名作。必見。
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