円山公園の桜と広上淳一/京都市交響楽団「日本の映画音楽」
4月10日(日)京都へ。
円山公園の桜はもう満開だった。
有名な枝垂桜。
20年くらい前の記憶と比較すると、ずいぶん枝振りが短くなった印象。
お昼は京茶漬けで有名な丸太町 十二段屋へ。
営業開始10分前の11時20分に到着すると、既に20数人並んでいた。食事にありつけたのはそれからなんと1時間半後!でも味には満足。京野菜やご飯が美味しかった。
続いて京都コンサートホールへ。
広上淳一/京都市交響楽団の演奏で、
- 宮川 泰/交響組曲「宇宙戦艦ヤマト」~出発
- 久石 譲(松園洋二 編)/「おくりびと」~memory
- 千住 明/「砂の器」(TBS日曜劇場)~ピアノ協奏曲「宿命」
- 早坂文雄(松本敏晃 編)/交響組曲「七人の侍」~怯える村・練達の士
- 芥川也寸志(甲田潤 編)/映画音楽組曲「八つ墓村」
~青い鬼火の淵(道行のテーマ) - 武満 徹/「3つの映画音楽」~訓練と休憩の音楽(「ホゼー・トレス」)
・ワルツ(「他人の顔」) - 伊福部昭/SF交響ファンタジー第1番
- 千住 明/NHK大河ドラマ「風林火山」(アンコール)
広上さんは開口一番、「大震災に続く原発事故・計画停電の影響で東京の演奏会はもうボロボロです」「東京に住むわたし達もへこんでいます。こういう時こそ関西の方々は普段どおり元気に生活して頂き、その活力を関東に送って欲しい」と。
なおこの公演の入場収入は全額、日本赤十字社を通じて被災者への寄付金に当てられると発表された。ナビゲーターを務める千住 明さんは「収益の一部ではありません」と強調。
「宇宙戦艦ヤマト」は歯切れ良く勇ましい。
「おくりびと」はチェリスト5人とピアノによる演奏(指揮者なし)。ソロは副首席奏者の中西雅音さん。雄弁なチェロの響きがホールに鳴り渡る。
千住さんの「宿命」は映画版(作曲・菅野光亮、音楽監督・芥川也寸志)にかなり近いイメージ。甘美でロマンティックな曲だった。事前に5つのテーマを書いてプロデューサーがそのうちの一つを選んだ。メロディは異なるがアフタクトの後、8つの8分音符が続くのは映画版に敬意を表したものだそう。演奏時間25分。「魂入れました」と千住さん。ピアノ独奏の高橋多佳子さんが暗譜で弾いたのには驚かされた。
大好きな早坂文雄の管弦楽曲を生で聴くのは初体験。嬉しかった。「七人の侍」冒頭では打楽器やコントラファゴットが活躍。土俗的雰囲気を醸し出す。サックスも取り入れられモダンでありながら、同時に民俗音楽のイディオム(語法)が魅力を放つ。
「八つ墓村」道行のテーマは切なくなるような優雅なワルツ。これが本当に聴きたかった!芥川らしいセンティメンタリズム、すごくいいねぇ。
武満の楽曲は死の前年、1995年に発表された。デビュー作「弦楽のためのレクイエム」同様、弦楽器のみ。それは原点回帰であり武満の本音だろう、と千住さん。「ホゼー・トレス」はJAZZのノリで軽快なフットワーク。的確なジャブが繰り広げられる。「他人の顔」はシャープで洗練されたワルツに魅了された。
「ゴジラ」のテーマも登場するSF交響ファンタジーはパンチが効いた熱い演奏。
アンコールの「風林火山」はパワフル。広上/京響の実力が遺憾なく発揮された、充実した2時間であった。
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コメント
よかったですよね、この演奏会。
ホントに、救われました。
自分のことに精一杯で、雅哉さんのブログに今日久しぶりに来させてもらいました。失礼でした(笑)。
投稿: ぐすたふ | 2011年4月16日 (土) 02時44分
ぐすたふさん、コメントありがとうございます。
未曾有の大震災、それに続く「レベル7」の福島原発事故。あまりの衝撃に呆然とし、しばらくの間何も手に付かない状態が続いたこの一ヶ月でした。
そろそろ我々の「日常」を取り戻していきましょう!
投稿: 雅哉 | 2011年4月16日 (土) 08時50分