丸谷明夫(特任教授)登場!/大阪音楽大学短期大学部 吹奏楽演奏会
3月6日(日)、「菊池のおじき」をしのぶ落語会の後、大阪音楽大学 ザ・カレッジ・オペラハウスへ。
大阪音楽大学短期大学部 吹奏楽演奏会
《第一部》
指揮は講師の小野川昭博 先生。小野川先生は大阪の女子高・明浄学院高等学校吹奏楽部の音楽監督でもあり、同部を全日本吹奏楽コンクール8回出場(うち金賞2回)に導いている。
- 酒井 格/たなばた
- 2011年吹奏楽コンクール課題曲より
・ 新実徳英/シャコンヌS
・ 佐藤博昭/天国の島 - F.ティケリ/シェナンドー
- N.ヘス/イーストコーストの風景
I. シェルター島 II. キャッツキル山地 III. ニューヨーク
「たなばた」は強弱のコントラストがはっきりしていて、波のよう。勢いがありさわやか。この作品は作曲者が大阪府枚方市で高校生の時代に書いた楽曲。酒井さんが大阪音楽大学作曲科在学中にオランダの出版社から刊行された。憧れの先輩への想いを描き、彼女の誕生日が7月7日だったという。
課題曲「シャコンヌS」は平易なメロディで映画音楽みたい。
「天国の島」は、曲調が保科洋/風紋によく似ていると想った。日本的で変拍子があったりするが、オリジナリティが感じられない。しょーもな。
ティケリの曲は滔々と流れる大河の如し。しっとりと歌う。
アメリカ東海岸を描く「イーストコーストの風景」第1曲は浮遊感があり、第2曲はゆったりとして雄大。冒頭トロンボーンのコード進行がまるでドヴォルザークの「新世界より」第2楽章みたい。何か原曲に相当するようなものがアメリカ大陸にあるのだろうか?第3曲は大都会の喧噪を描き、クラクションの擬音など賑やかで愉快。
《第2部》
指揮は特任教授の丸谷明夫 先生(丸ちゃん)が登場。丸ちゃんは大阪府立淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部の顧問として全日本吹奏楽コンクール31回出場(うち金賞23回)という記録を持つ。今回は珍しくM.C.(トーク)なし。
- 2011年吹奏楽コンクール課題曲より
・ 渡口公康/南風のマーチ
・ 堀田庸元/マーチ「ライヴリー アヴェニュー」 - G.ホルスト/吹奏楽のための第1組曲
- A.リード/アルメニアン・ダンス パート I
マーチを振らせたら右に出る者がないと言われる丸ちゃん。「南風のマーチ」は生き生きとしたffで始まる。タテが揃い、一糸乱れぬ演奏。
「ライヴリー アヴェニュー」の中間部は「A列車で行こう」を彷彿とさせる。歯切れ良く、弾ける。
ホルストの第1楽章「シャコンヌ」はカチッととしたイン・テンポで心に響くハーモニー。第2楽章「間奏曲」は小気味好い。A-B-A'という構成の第3楽章「行進曲」は静かな中間部Bでむしろテンポは速まり、A'に戻って更に加速する。これぞ丸ちゃんの真骨頂!
「アルメニアン・ダンス」はピンと糸が張り、躍動感があった。
アンコールは
- P.グレインジャー/デリー地方のアイルランド民謡
(ロンドンデリーの歌) 指揮:小野川 - スーザ/マーチ「美中の美」 指揮:丸谷
大阪音楽大学の実力は全日本吹奏楽コンクール大学の部や一般の部の金賞受賞団体(例えば龍谷大学吹奏楽部、大津シンフォニックバンド)レベル。一曲ごとに演奏者が入れ替わった。当然、大半が女子学生である。
聴き応えのある充実した演奏会だった。
しかし考えてみれば、音楽の専門教育を受けていない高校電気科の先生(丸ちゃん)が音楽大学の特任教授に任命されたというのは実に痛快だなぁ。
| 固定リンク | 0
「吹奏楽」カテゴリの記事
- 大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定演 2022/ミュージカル「銀河鉄道の夜」(再演)と「エリザベート」(2022.03.26)
- 巨星墜つ〜追悼・丸谷明夫が日本の吹奏楽に残した功罪(2021.12.15)
- 大阪桐蔭高等学校吹奏楽部「全国大会練習会・金賞報告演奏会 in 伊丹」(2021.11.13)
- 創作ミュージカル「OGATA浩庵の妻」が凄い!〜大阪桐蔭高等学校吹奏楽部 定期演奏会 2021(今年は保護者以外動画配信のみ)(2021.04.18)
- 〈音楽の魔法〉映画公開目前!直木賞・本屋大賞ダブル受賞〜恩田陸「蜜蜂と遠雷」の魅力とそのモデルについての考察(2019.09.06)
コメント