フィリップ・ベルノルド/フルートリサイタル 2011
3月9日、いずみホールへ。

1987年ジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールに優勝し、現在はフランス国立リヨン・コンセルヴァトワール教授、フィリップ・ベルノルドのコンサートを聴く。これに是非行きたいと想ったのは、下記演奏会で彼の演奏に魅了されたからである。
今回のプログラムは
- シューベルト/「しぼめる花」による序奏と変奏
- シューベルト(ベーム 編)/2つの歌曲「おやすみ」「セレナーデ」
- ベーム/シューベルトの主題による幻想曲
- Intermission - - マルタン/フルートとピアノのためのバラード
- ブルーノ・マントヴァーニ/アペルデール
- プロコフィエフ/フルートとピアノのためのソナタ
ピアノ伴奏はアリアンヌ・ヤコブ。
前半はすべてシューベルトの歌曲に因むもの。
「しぼめる花」には孤高の響きあり、ゾクゾクッとした。柔らかく、軽やか。エスプリに溢れエレガント。一音一音の粒が揃い、不発がない。
続く2つの歌曲はやさしく、切々と哀しい歌を奏でる。
一転して「シューベルトの主題による幻想曲」は華麗で、お花畑のようにカラフル。なお作曲者のベームはモダン楽器=ベーム式フルートを開発した人。
1939年、第二次世界大戦勃発の年に書かれたマルタンの曲は前半、不安感と焦燥感に満ちている。そこからは魂の叫びが聴こえる。しかし抒情的な中間部を経てフィナーレではピアノが鐘の音を模し、コラールのように清浄な響きがあった。発表された同年、ジュネーヴコンクール課題曲となった。
1974年生まれのマントヴァーニは2010年に35歳の若さでパリ音楽院院長に選出された。「アペルデール」は2000年に発表され、翌年にジャン=ピエール・ランパル国際フルートコンクールの課題曲になった。風を切る音、息の音。尺八や篠笛を思わせる音程の変化。フラッタリング(fluttering)。楽器の性能をフルに活用した不思議な曲だった。
躍動感あるプロコフィエフのソナタはプーランクと並ぶ20世紀の最高作。ベルノルドは芯の太い音でどっしりと大地を踏みしめる。姿勢の美しさ。そして上半身がよく動く。第2楽章は疾風怒濤の如し。第3楽章は幻夜。夢想の世界が広がってゆく。そして力強い第4楽章へ。
アンコールは
- ドビュッシー/シリンクス(パンの笛)
- タファネル/ミニヨンの主題によるグランド・ファンタジー
- プーランク/フルート・ソナタ 第1楽章
シリンクスは豊かな響きで無限の音色があった。プーランクのソナタをしてくれたのも驚いた。何というサービス精神!
フィリップ・ベルノルドはエマニュエル・パユ(ベルリン・フィル主席)、ヴォルフガング・シュルツ(ウィーン・フィル主席)、マチュー・デュフォー(シカゴ響主席)らと肩を並べる、世界トップのフルーティストである。必聴。
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