マーラーの歌曲とベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲Ⅰ/大阪交響楽団 定期
ザ・シンフォニーホールへ。
寺岡清高/大阪交響楽団の定期演奏会。
- ベートーヴェン/劇付随音楽「シュテファン王」序曲
- マーラー/「最後の7つの歌」“死んだ鼓手”
- マーラー/さすらう若者の歌
- ベートーヴェン/弦楽四重奏曲(弦楽合奏版)第12番
まずプログラム最後の曲目について大いに不満を述べたい。弦楽四重奏曲をオーケストラで演奏する意義がサッパリ分からない。例えばチャイコフスキー、ドヴォルザーク、エルガーにも弦楽セレナーデがあるし、ブリテンのシンプル・シンフォニーだってそうだ。しかしこれらには大人数で演奏するだけのスケール感がちゃんとあるが、ベートーヴェンは全く感じられなかった。こじんまりとまとまってしまっており、原曲の四重奏で十分。オケだと機動力に欠け、大味な印象。この企画は失敗と言わざるをえない。
「シュテファン王」序曲は滅多に演奏されないので聴けてよかったが、寺岡さんの解釈はあくまでオーソドックスであり、面白みに欠ける。
良かったのはマーラー。バリトン独唱は谷口 伸さん。ドイツ・ゲルリッツ市立劇場と専属契約を結び、ヨーロッパを中心に活躍している。
僕は今までの印象として日本のオペラ界はソプラノ(佐藤しのぶ、森麻季)やテノール(佐野成宏)など高音域において優れた歌手を輩出して来たが、アルト、バリトン、バスなど低音域は苦手(恐らく骨格など民族的DNAの問題)だと考えていたのだが、谷口さんを聴いてその考えを改めた。日本人も結構、やるじゃない!
谷口さんの声は滑らかく美しい。聴衆をやさしく包み込むような音色。オーケストラ伴奏を受け持った寺岡/大阪交響楽団も好演。青春の孤独と彷徨を歌うマーラーの音楽の魅力、世紀末の香りを堪能した。
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