「ろくでなし啄木」と三谷幸喜 論
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劇作家・三谷幸喜が書く芝居にはちょっとだけ興味がある。
生の舞台を観たもの。「君となら」「笑の大学(初演・再演)」「ヴァンプショウ」「アパッチ砦の攻防」「温水夫妻」「オケピ!(初演、再演)」「竜馬の妻とその夫と愛人」「彦馬がゆく」「You Are The Top/今宵の君」「なにわバタフライ」「12人の優しい日本人」「コンフィダント・絆」「グッドナイト スリイプタイト」の13作。
テレビ放送、DVDなどで観たもの。「天国から北へ3キロ」「ショー・マスト・ゴー・オン」「巌流島」「バイ・マイセルフ」「マトリョーシカ」「バッド・ニュース☆グッド・タイミング」「returns」の7作。合わせて20作。これが僕のささやかな観劇歴である。
その中からベスト5を選ぶとすれば、「笑の大学」「オケピ!」「彦馬がゆく」「12人の優しい日本人」「コンフィダント・絆」となる。
さて、三谷幸喜 作・演出、藤原竜也、中村勘太郎、吹石一恵 出演の舞台「ろくでなし啄木」を観た。
初期の三谷作品、つまり「東京サンシャインボーイズ」時代には大きな特徴が2つあった。
- 舞台転換がなく、最初から最後までワン・シチュエーションで物語が展開される。
- テーマは「仲間が一番!」ということ。チーム・プレイを大切にする。つまりピクサー・アニメーションに代表されるバディ・ムービーに近い(ちなみに三谷は「トイ・ストーリー」を大好きな映画として挙げている)。これはまた、三谷のテレビ・ドラマ「王様のレストラン」「総理と呼ばないで」「合い言葉は勇気」「新選組!」にも共通する特徴である。
しかし、コミュニティの崩壊を描く「コンフィダント・絆」あたりから大きな転換期を迎えた。三谷は新たな次元へと確実にステップ・アップしたのだ。
「ろくでなし啄木」は目まぐるしく舞台が転換し、動的である。友情の終わり、男女の別れが描かれている点でも初期の作品とは一線を画す。
ミステリー仕立てになっているのも面白い。さすが「古畑任三郎」の作者!第一幕がレコードA面(カードの表)で、二幕がB面(カードの裏)という構成。つまり、第一幕で描かれた物語の裏側で、実はどんな出来事が進行していたかが第二幕で明らかにされる。前半で張り巡らされた伏線が、後半でボディーブローのようにじわじわと効いてくる。非常にスリリングである。
藤原竜也、中村勘太郎、吹石一恵といえば、三谷が執筆したNHK大河ドラマ「新選組!」でも三角関係を形成していた。キャラクターは全く異なるが、なんだか同窓会みたいで懐かしかった。必見!
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コメント
私も2/1に観にいきました。エロティックミステリーと銘打ってあったので???とどんな風に三谷氏が仕上げるのか、ある種の期待をもって観たのですが、うん、いつもの三谷幸喜だ!とむしろ爽快でした。吹石さんが初舞台とは思えないくらい、発声ができててびっくりしました。今年度は三谷イヤーになるみたいなので、楽しみにしてまーす。
投稿: ディズニーラブ | 2011年2月22日 (火) 01時45分
コメントありがとうございます!
基本的に三谷さんは女性の色香を描くのが苦手な人ですね。戸田恵子、吹石一恵、堀内敬子など、セクシー女優というよりもコメディエンヌを好んで起用しますし。
今度は「国民の映画」に期待しています。時代背景として三谷さんの傑作「笑の大学」に通じるものを感じます。
投稿: 雅哉 | 2011年2月23日 (水) 00時34分