« ブルックナー/交響曲第9番でオーケストラ実力診断 | トップページ | ブラームスの交響曲は何故4曲なのか?(シューマンからモーツァルトへの旅) »

2011年2月16日 (水)

映画「白夜行」

評価:C+

Bya

映画公式サイトはこちら

「白夜行」はまぎれもなく作家・東野圭吾の最高傑作である(次点は「新参者」)。僕の小説への想いは下記記事に綴った。

映画「白夜行」の前半から中盤に掛けて、2/3くらいまでは良かった。昭和の雰囲気や、ヒロイン”雪穂”と”亮二”が生まれ育った環境の行き場のない閉塞間・絶望感が上手く醸し出されている。雨の場面など印象的なショットも多い。ここまでなら評価をB+にしてもいい。

でもね、刑事が最初の事件の真相を語りだしてからが駄目!説明過剰なんだよ。そこまで微に入り細に入り状況を再現しなくてもいい。脚本家はもっと観客の想像力(イマジネーション)を信頼して欲しい。大体あれだと血まみれの犯人の指紋が殺人現場にたくさん残っている筈でしょうが。プロットが破綻してる。最後、刑事がビル越しに”亮二”に語り掛けるお涙頂戴の演出にも閉口した。人情噺かよ!?

やはり原作にはない、幼い”雪穂”と”亮二”がふたりで遊んでいる場面もいらない。単なる蛇足。メロドラマじゃないんだから。

東野圭吾の「白夜行」は悪意に満ちた、非情な小説である。”雪穂”と”亮二”が対面するのは最後の一瞬だけでいい。それでこそ深い余韻が残るのだ。

クール・ビューティになりきった堀北真希は好演。彼女の可愛さに評価を少し(+)おまけした。高良健吾も悪くなかった。

韓国版「白夜行」(2009年、日本未公開)はどうだったんだろう?気になる。いずれにせよ、10年後くらいに優秀な監督で再映画化を希望する。

| |

« ブルックナー/交響曲第9番でオーケストラ実力診断 | トップページ | ブラームスの交響曲は何故4曲なのか?(シューマンからモーツァルトへの旅) »

Cinema Paradiso」カテゴリの記事

コメント

TVでは綾瀬はるかでしたよね、刑事は武田鉄矢でしたっけ、結構渋かったような記憶があります。
映画で刑事は誰がされたのですか?
日本の映画ってしゃべりすぎですよね~橋田ドラマじゃぁあるまいし。
訳わからないようで、最後に「そうだったなのかぁ~~」みたいなのが好きです。

投稿: jupiter | 2011年2月25日 (金) 13時16分

jupiterさん、コメントありがとうございます。刑事役の役者の名前は知りません。もしご興味があれば、リンクを張っている公式サイトをご覧になってみて下さいね。

日本映画が喋りすぎかどうかは脚本家によると思います。北野武の作品なんかは寡黙さが売りですから。

投稿: 雅哉 | 2011年2月28日 (月) 12時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 映画「白夜行」:

« ブルックナー/交響曲第9番でオーケストラ実力診断 | トップページ | ブラームスの交響曲は何故4曲なのか?(シューマンからモーツァルトへの旅) »