ミュージカル「モーツァルト!」(山崎育三郎 主演)
梅田芸術劇場へ。
「モーツァルト!」はウィーン発のミュージカル。台本・作詞がミヒャエル・クンツェ、作曲がシルヴェスター・リーヴァイという大ヒット・ミュージカル「エリザベート」の名コンビ。日本版演出は宝塚歌劇団のエース、小池修一郎(2010年 菊田一夫演劇大賞受賞)。
僕は2002年の初演(ヴォルフガング:中川晃教、コンスタンツェ:松たか子、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳)と2005年の再演(ヴォルフガング:中川晃教&井上芳雄、コンスタンツェ:西田ひかる、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつき)を観ている。
大阪で5年ぶりの再演となる今回はヴォルフガング:山崎育三郎、コンスタンツェ:島袋寛子(SPEED)、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世というキャストで観劇した。
「エリザベート」がほぼ完全無欠のミュージカルであるのに対し、「モーツァルト!」はいろいろと瑕がある作品である。例えば主人公をヴォルフガング(成人)とアマデ(子役)という二つの人格に分けて描く必然性が本当にあったのか?とか、お父さん(レオポルド)やお姉さん(ナンネール)などの脇役にソロ・ナンバーが多すぎ、物語を停滞させてるんじゃないか?とか、疑問に感じる要素はある。
しかし音楽は「エリザベート」に勝るとも劣らぬ完成度を誇るし、繰り返し観ているうちに味が出てきて、作者が言わんとしたことが次第に見えてくる奥深い作品であることも確かだ。僕は今回の公演に一番感銘を受けた。
新人の山崎くんは伸びやかな歌い方で好感が持てるし、イケメン。狂気を感じさせる演技もgood。以前観た井上くんのヴォルフガングは線が細すぎる気がするし、彼のクラシック的歌唱法はロック調の楽曲に合っていない。
コンスタンツェ役の島袋寛子も歴代ベストではなかろうか?とにかく歌唱力が見事。しっかりと感情を込めて歌える人だ。彼女の演じるエポニーヌ(「レ・ミゼラブル」)とかキム(「ミス・サイゴン」)も是非観てみたい!
男爵夫人を演じる涼風真世は気品があり、はまり役だった。
初演から不動のキャストーレオポルド:市村正親、ナンネール:高橋由美子、コロレド大司教:山口祐一郎、シカネーダ:吉野圭吾らも文句なし。素晴らしいカンパニーである。必見。
ちなみにモーツァルトにオペラ「魔笛」作曲を依頼するシカネーダはアン・デア・ウイーン劇場を建設し(1801年落成)、後にそこでミュージカル「エリザベート」(1992)や「モーツァルト!」(1999)が初演された。2006年以降はオペラハウスとして復活したそうである。
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コメント
雅哉さん、はじめまして。
モーツァルト!行こうか悩んでいましたが、レビューを読んでA席あたりでチャレンジしてみようかな?と思っています。
私も、「アマデ子役」の存在は不安でしたが、やっぱり微妙なんですね。。子役起用すると開演時間が早くなるのもあって社会人には辛いですね。
投稿: maicha | 2011年1月15日 (土) 12時07分
コメントありがとうございます。
「モーツァルト!」はお勧めです。是非、山崎育三郎くんで御覧下さい。
アマデは喋りませんので、別に目障りじゃないですよ。子役は日本の法律で夜9時以降舞台に立てないことになっていますので、その時間に終了するよう、スケジュールが組まれています。
投稿: 雅哉 | 2011年1月15日 (土) 13時04分