第五回 繁昌亭大賞受賞記念落語会
補助席も出る盛況ぶり。
- 桂 三枝/ご挨拶
- 桂かい枝/恋するオ・ト・メ
- 林家花丸/ナイモンガイ(改作)
- 桂 文三/崇徳院
- 授賞式(司会:笑福亭たま、プレゼンター:笑福亭松枝)
- 桂 鯛蔵/強情灸
- 桂 文華/景清
繁昌亭大賞は入門25年以下の噺家を対象に、繁昌亭における一年間の成果をみて選出される。選考委員は新聞記者・演芸ジャーナリスト・繁昌亭支配人・大阪天満宮宮司ら。
繁昌亭では通常、撮影禁止だが、今回は特別に授賞式で許可が下りた。
上の写真左からかい枝さん(創作賞)、文三さん(奨励賞)、文華さん(大賞)、花丸さん(爆笑賞)、鯛蔵さん(輝き賞:入門10年以下が対象)。
背後の「楽」と書かれた色紙は人間国宝・桂米朝さん直筆のもの。
桂三枝・上方落語協会会長は冒頭の挨拶で「繁昌亭大賞を受賞しても、その後精進しない者もおりますので、客席の皆様は今後も厳しい目で彼らを見守っていただき、勉強してないなと感じられたら、みかんの皮でも投げて下さい」と。
かい枝さんは鉄板ネタ「ハル子とカズ子」をされるのかなと思いきや、昨年末ネタおろししたばかりの「恋するオ・ト・メ」を。これはつい先日、NHK「笑・神・降・臨」でもオン・エアされたもの。あの時と比べ力みが抜け、間がしっかり取れていて、さらに良くなっていた。NHKでは「河合塾」のくだりが省略されていたが、これは放送コードに引っかかるためだろう。
花丸さんは繁昌亭大賞授賞式の前に宝塚雪組の「ロミオとジュリエット」を観劇されたそうで、その魅力を熱く語られた。気が合うわぁ。
披露されたネタは古典落語「無いもん買い」を改作したもので、ヒロシとビリー(外国人)の会話で物語が展開される。天神橋筋六丁目交差点から出発し、商店街を「無い物買い」しながら南森町へ。中村のコロッケを冷やかして繁昌亭に到着。ここで花丸さん本人も登場するという愉快なネタだった。
文三さんは手伝いの”熊五郎”が甲高い大きな声で、陽気な一席。
鯛蔵さんは昨年、大阪ミナミにある某・鯨料理屋で開催された「毎日寄席」(ここで客席から笑い)で、お客さんが0人だった壮絶な体験をマクラで語られた。そしてスピードと躍動感に溢れる「強情灸」。
文華さんはマクラで噺家になろうとした若い頃に舌癌になったことを語られ、目貫師(めぬきし=彫金職人)の説明をしてからネタへ。
文華さんは昨年、奨励賞を受賞された際に「子は鎹」を掛けられた。これは「泣かせ」の趣向が強すぎ、僕は好きになれなかったので批判的なことを書いた。
しかし今回の「景清」は人の《情》に訴えるシリアスな部分と、《笑い》のバランス(匙加減)が絶妙で、深い余韻の残る文句なしの一席となった。このネタは他の演者で何度か聴いたことがあるが、「こんなに面白い噺だったのか!」と目を瞠った。これぞ名人芸。また、ふんだんにハメモノ(お囃子)を使った、今までにない演出もすごく良かった。
全体としてハイ・クオリティで、ギュウギュウに中身が詰まった会だった。高揚した気分で帰途に就いた。
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