~フランスのエスプリ~ フルート、ハープ、弦楽による室内楽作品
関西で活躍するフルート奏者・安藤史子さんが企画によるコンサート「室内楽の魅力 Vol.3」を聴きに兵庫県立芸術センター小ホールへ。約2年前に開催されたシリーズ第1回目の感想は下記。

今回の出演者は安藤史子(フルート)、大谷玲子(ヴァイオリン)、大江のぞみ(ヴィオラ)、林 裕(チェロ)、篠崎史子(ハープ)の5人。篠崎さん以外はいずみシンフォニエッタ大阪のメンバーである。
プログラムは全てフランスの作曲家による作品で、
- ピエルネ/自由な変奏とフィナーレ
- カサドゥシュ/五重奏曲
- ドビュッシー/フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ
- シュミット(フローラン)/ロカイユ風組曲
- ルーセル/三重奏曲(フルート、ヴィオラ、チェロ)
- ルーセル/セレナード
青字以外は5人によるアンサンブルだった。
バッハやテレマンが活躍し、フルートがまだ木製でフラウト・トラヴェルソと呼ばれていた時代はドイツにフルートの名曲が多かった。しかしベーム式フルートが開発された19世紀後半以降、その主流はフランスへ移る。フルート・ソロが印象的な近代音楽を幾つか挙げてみよう。
- ビゼー/「アルルの女」~メヌエット、歌劇「カルメン」第3幕への間奏曲
- フォーレ/組曲「ぺリアスとメリザンド」~シチリアーナ
- ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲、パンの笛
- プーランク/フルート・ソナタ
これらは皆、フランスの作曲家の手によるもの。フランスにフルートの名手が多かったのもその一因だろう。
さて、演奏会の感想に移ろう。
ピエルネは月夜の情景が浮かび上がってくるかのような幻想的でロマンティックな曲だった。
ロベール・カサドゥシュ(1899-1972)はフランスを代表するピアニスト。彼が作曲もしていたというのは知らなかった。レコーディングされたことのない曲だそうで、貴重な体験となった。ピアノ抜きの五重奏なのが面白い。シンプルで小粋。第2楽章の船歌(Barcalora)には透明な哀しみがあった。
ドビュッシーの第1楽章はパンの笛を彷彿とさせ、第3楽章はスペイン風。色彩豊な音のパレットが目の前に広がる。
シュミットはフランス宮廷で開花したロココ風で典雅。しかし移ろう調性はモダンであり、20世紀らしい素敵な曲。
ルーセルの三重奏曲 第1楽章は機知に富む。第2楽章はオリエンタルな雰囲気でエキゾチック。そして陽気な第3楽章はリズミカルでお洒落。
ルーセルは若い頃、海軍に入りインドシナ近海に勤務していたという。その航海の体験がセレナードに反映されているように想われた。第1楽章に潮風を感じ、第2楽章は異国の寄港地での夕暮れ。それは魔術的な美しさだった。そして第3楽章プレストは動的でスリリング。
ソリストとしても活躍する5人の音楽家たちはアンサンブルの調和を保ちながら、そこにはしっかりと自己主張があり、雄弁な演奏を展開した。
知られざる名曲を色々と聴けて愉しいひと時であった。特にシュミットとルーセルが気に入ったな。
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