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2011年1月

2011年1月31日 (月)

柳家喬太郎・柳亭市馬「二人のビッグショー」/笑福亭たま「ナイトヘッド」

1月29日(土)、トリイホールへ。市馬・喬太郎 二人会。

  • 桂  雀五郎/みかん屋
  • 柳亭   市馬/高砂や
  • 柳家喬太郎/綿医者
  • 柳家喬太郎/紙入れ
  • 柳亭   市馬/首提灯

市馬さんは「正月の鏡餅を見ると喬太郎の体型を思い出す」と。「高砂や」は自慢の喉を活かした一席。

今年四十八歳で年男の喬太郎さんは「タクシーの助手席に座っていた時、後部座席の(入船亭)扇橋師匠から、『ところで喬太郎くんは六十何歳?』と真顔で訊かれました」大腸ポリープが見つかり、3日間入院して内視鏡的切除術(大腸ポリペクトミー)を受けられたそうで、「通常は《出す》ところから《入れられる》というのは奇妙な体験でした。《目覚め》たらどうしようと心配でした」と。場内大受け。十数年前には髄膜炎で入院され、ナイスバディで唇に赤いルージュを塗った、舌足らずの女医さんに骨髄穿刺を5回くらい受けたときの爆笑エピソードも。髄膜炎による頭の痛みは映画「スキャナーズ」(1981、デヴィッド・クローネンバーグ監督)で描かれた「脳味噌が爆発する感じ」だそう。そしてシュールなネタ「綿医者」へ。巧みな導入。

仲入りを挟み、喬太郎さんのニ席目は間男小咄から「紙入れ」へ。またこの時、市馬さんが触れた「火山ができるまで」を寝転がり、腹芸で披露。最初の「地殻変動」でお腹がブルブルッと震えて、最高に可笑しかった。

続く市馬さん、「怪しい一席でした」と。そして落語「胴斬り」のエッセンスも語りつつ、「首提灯」へ。へぇ、こういうアプローチもあるのか!と膝を叩いた。首を切られてもその事実に気が付かない主人公が、歩き出すと首が次第にずれてくる表現法に味があった。

会がはねて、地下鉄で繁昌亭へ移動。

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21時45分開演。

  • 林家市楼/猫魔寺
  • 笑福亭たま/鼻ねじ(隣の桜)
  • 桂 三歩/早口言葉
  • 笑福亭たま/新作ショート落語+ふたりの忠信(仮題)

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猫魔寺」は三代目 林家染語楼の原作で、落語作家・小佐田定雄さんが脚色した怪談噺。正直、同じ染語楼(作)「青空散髪」同様、そんなに面白くない。なお、作者は市楼さんの祖父にあたる。

たまさんの「鼻ねじ」は2回目だが、ハイテンションでダイナミック、ますますエキサイティングなものに。ハメモノ(お囃子)とのあ・うんの呼吸も絶妙だった。

芸歴30年のベテラン三歩さんは酒に酔っていたのか、「バナナババロア」という早口言葉(しかも全然早くない)を繰り返すばかりで、一向にネタに入る気配がない。最後はたまさんに助けを求め、舞台袖に引っ込むという醜態を晒した。「わけわからん」と客席から怒りの声。

予定より早く再登場となったたまさん。出囃子を引き伸ばしすぎるので「あれでは(お囃子さんの)血反吐が出るよ」と東京のお師匠さんから苦言を呈されたとか。今回の新作ショート落語は不発。

ふたりの忠信」(仮題)は昔たまさんが書いた新作「Nobu(のぶ?)」を大幅に改稿したものだそう。快楽殺人鬼と、犯人に間違われた男の噺。プロット自体が古典落語「猫の忠信」のパロディで、途中「初天神」のフレイバーも振り撒かれる。発想はいいと想うが、未整理な印象だった。

帰り際、「たまさんの一席目が良かったね」「そうだね」という会話を耳にした。全く同感。

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2011年1月28日 (金)

柳家三三×桂吉弥 ふたり会(1/27)

天満天神繁昌亭へ。

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再びこの季節が巡ってきた。昨年一月のこの会で吉弥さんの二番弟子(だった)弥生さんが初高座を踏んだ。

そのことを想い出し、ちょっと寂しい気持ちになった。

立ち見も出る満席。

  • 桂弥太郎/時うどん(吉朝版)
  • 桂 吉弥/親子酒
  • 柳家三三/しの字嫌い
  • 柳家三三/鮑のし
  • 桂 吉弥/不動坊

吉弥さんの一番弟子・弥太郎さんはセンテンスとセンテンスの間が空きすぎ。ダレる。

吉弥さんは「クリーニングママ号」テーマソングを出囃子に舞台へ(”ぼくはアヒルの洗濯屋~”という歌詞のクリーニングママ号について知りたい方は吉弥さんの「かぜうどん」をお聴きあれ)。息子さんの小学校で落語を演じギャラが2千円だったこと、その噂を聞いた娘さんの幼稚園からも要請があって落語をして、今度のギャラは千円だったことなどをマクラに「親子酒」へ。愛嬌のある酔っ払いが登場し、軽やかな一席。

三三さんは林家三平さんが婚約発表した翌日にフジテレビ「とくダネ!」のコメンテーターとして初めて出演したそうで、CM中に小倉さんが漏らした一言を明かされ、客席が盛り上がる。その中身については「ブログに書かないで」と釘を刺されたので、仁義を守る。番組終了後、三平さんから携帯に電話がかかり、「『とくダネ!』見たよ。無難なコメントをありがとう」と。飄々とした高座で愉しい。

鮑のし」は上方で「祝いのし」として春團治さんの高座を何度も聴いている。三三さんはディテールが克明で、また格別の味わいがあった。天然ボケの甚兵衛さんの描写が可愛らしい。

最後は吉弥さんが緩急自在の「不動坊」で鮮やかに締め、さすが東西の実力派らしい充実したふたり会であった。

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笑福亭鶴笑/「国境なき芸能団」イラク報告&落語会

いきいきエイジングセンターへ。

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落語家・笑福亭鶴笑さんを団長とするNPO法人「国境なき芸能団」は昨年11月30日~12月8日の間、イラクの(クルド人)難民キャンプや学校、病院などを慰問した。その報告会および落語会を聴いた。木戸銭1,000円也。

鶴笑さんが登場し、いままで既に31カ国で落語を演じたことやイラクを訪問するまでの経緯を説明。まず外務省の邦人テロ対策室と相談、この地域は行ったら行けないとか色々とアドバイスを受けたそう。危険地域のため海外旅行保険には入れず。ドバイの空港に到着するや否やパスポートを取り上げられたこと、現地ではクルド語とアラブ語を使い分けたことなどを語られた。子供たちに南京玉すだれや紙切り(馬、パンダ)、皿廻しなどを披露。手作りの鶏のぬいぐるみが卵を産み、それがヒヨコに早変わりするのもよく受けたようだ。

手品師・阪野 登さんは日本の小学校で手品をすると、「やるならやってみい」「みたことあるな」といった、すれた反応が返ってくるが、生の演芸に接したことのないイラクの子供達には目力(めぢから)があったと。

漫画家・高宮信一さんは「イラクに行く前は心配でした。イスラム圏ですからお酒がないでしょう?」69歳という自分の年齢もあり躊躇していたら、事務局長から「高宮さん、あんたもう70やろ?失うものないですやん」と説得されたそう。現地ではライオンなどの漫画が歓ばれたようだ。

フリージャーナリスト・西谷文和さんのお話の後、記録ビデオの上映が20分。鶴笑さんがパペット落語「ザ・サムライ(忍者)」を演じ、興奮した子供たちがどんどん高座に近寄ってくる様子、現地のテレビでトップ・ニュースとして報道されたこと、劣化ウラン弾の影響で白血病になった子供らが入院しているガン専門病棟を訪問したエピソードなどが紹介された。子供たちの真っ直ぐな眼差しと、笑顔が印象的であった。なお、これらの詳細は西谷さんのブログに写真付きで紹介されている→こちら

再び鶴笑さん登場。「本当はイラクで演ったパペット落語(ザ・サムライ)をしようと思ったのですが、シーア派 vs.スンニー派や民族対立の現実を知ってしまうと、 こうした武器で戦う噺が出来なくなってしまいました。そこで内容を子供たちを主人公にしたものに変えてみました」と。そして「立体西遊記」の改訂版で、最後は地球を侵略しようとした青獅子・赤獅子を子供たちの純粋な瞳がやっつけ、荒廃した大地に緑が育っていくという展開へ。

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「我々は地球が舞台だと思っています」という鶴笑さんの力強い言葉で〆となった。

帰り際、客席からは「ちょっと考えすぎじゃないか」という会話も聞こえてきたが、鶴笑さんの真摯な想いも伝わってきたし、あれでよかったんじゃないかな。心に残る会でした。

なお、鶴笑さんは今年もイラクに行かれるそうである。

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2011年1月26日 (水)

サイモン・スタンデイジ×中野振一郎 /うえまち 古楽 FESTIVAL~能楽堂でバロック!

山本能楽堂へ。

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イギリスからバロック・ヴァイオリンの名手サイモン・スタンデイジを迎えて能楽堂でバロック。彼とがっぷり四つに組むのはチェンバロの鬼才・中野振一郎 先生。他に出演者はヴァイオリン:中山裕一、チェロ:曽田 健、ソプラノ:高見さなえ ら。

スタンデイジの詳しいプロフィールは下記に書いた。


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出演者はタキシード姿で、足袋を履いて登場。正に和洋折衷。客席には外国人もいれば、和服姿の女性もちらほら。

プログラム前半はヘンデルの楽曲のみで構成され、

  • ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ長調
  • 「9つのドイツアリア」より第7番「汝ら、暗闇の墓から」
      第9番「燃えるようなバラの花、大地の飾り」
  • 2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオソナタ ト長調 Op.5-4

休憩を挟み後半は、

  • フォルクレ/組曲 第5番より「ラモー」「ジュピター」
    (チェンバロ・ソロ)
  • ルクレール/ヴァイオリン・ソナタ ニ長調 Op.9-6
  • ヘンデル/2つのヴァイオリンと通奏低音のためのトリオソナタ ト短調 Op.2-8
  • ヘンデル/ガヴォット (アンコール)

ヘンデルは凛として気品がある演奏。歌曲ではヴァイオリンのオブリガートが優雅。トリオソナタでは2つのヴァイオリンの掛け合いが愉しい。どちらかというとこの作曲家は短調の楽曲の方が魅力的かな。

中野先生の解説によると、ベルサイユの宮廷音楽家でヴィオラ・ダ・ガンバの名手だったフォルクレは「悪魔」、ルクレールは「天使」と呼ばれていたという。フォルクレは激しく、毅然とした曲。「ジュピター」では落雷の音も表現されている。切れのある演奏。

ルクレールは背筋がピンと伸びた、誇り高い演奏。宮廷らしい雰囲気に溢れていてよかった。

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2011年1月24日 (月)

淀工グリーンコンサート 2011!@ザ・シンフォニーホール

ザ・シンフォニーホールへ。

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大阪府立淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部の定期演奏会、グリーンコンサート(通称グリコン)は土日の昼・夜、計4公演行われた。僕が聴いたのは土曜夜。

まず最初に丸谷明夫 先生(丸ちゃん)の指揮でアルフレッド・リード/アルメニアンダンス・パート I。丸ちゃんが大好きで「誰もが知っている曲になって欲しい」という願いを込めて、全国各地どこでも演奏しているという。

実はこの曲、僕も丸ちゃんの指揮で演奏した経験があり、その時の先生の言葉をしっかり書き留めている。

僕は2階席後方で聴いていたのだが、冒頭金管のファンファーレ「ティティティーン」から度肝を抜かれた。ものすごい音圧!ド迫力。さすが「この3つの音に命を賭けて」と丸ちゃんが日ごろから指導しているだけのことはある。そして終盤、疾走するGna, Gna 《行け、行け》では容赦のない加速。圧巻であった。

ここで司会の田頭先生から「丸谷先生はこの度、淀川工科高校の名誉教諭(!)になられました。ですからこれからもずっと吹奏楽部を指導してくださいますので、中学生の皆さん、淀工を受験してください」との紹介&宣伝があり、場内爆笑となった。

真島俊夫 編曲/カーペンターズ・フォーエバーは言うまでもなく淀工の十八番。トランペットやトロンボーンのソロが上手かった。ここまでが2,3年生の演奏。

次に指揮が出向井誉之 先生に交代し、2年生だけでビゼー/「カルメン」第1組曲。編曲の立田浩介さんは淀工のOB(トロンボーン)である。コンクールでの「ダフニスとクロエ」も立田さんのアレンジ。

丸ちゃんの指揮に戻り、OBによる演奏は星出尚志 編曲/ジャパニーズ・グラフィティVI ~日本レコード大賞、青春の'70年代~ (UFO~魅せられて~シクラメンのかほり~襟裳岬)。奏者一人一人の技術が高く、垢抜けた音がホールに響く。

前半の部最後は一年生によるフレッシュコーナー。丸ちゃんの指揮でスーザ/行進曲「美中の美」。引き締まったリズム、しっかりと縦が揃っている。さすがマーチを振らせたら日本で右に出るものがいないと言われる丸ちゃん、驚異的な指導力。

丸ちゃんが「高校に入って初めて楽器を持った生徒は?」と問うと、半数以上の手が上がったが、さすがに女子は経験者が多い様子。

生徒を一人一人紹介しながらの恒例「曲当てクイズ」。吹奏楽部に入った理由は「知らないうちに入っていた」。クラブで一番楽しい時は「休憩中」などの答えに、客席から笑いが起こる。曲名の正解者には淀工特製のタオルが進呈された。「どこから来られました?」と丸ちゃんが尋ねると、「和歌山県」「奈良県」「岡山県総社市」「栃木県」などの答え。「みなさん、遠方からお越しですねぇ。自分が一番遠いぞという方は?」と会場に問いかけると、2階席から「埼玉県!」という女子高生の声。実は埼玉県立伊奈学園高等学校吹奏楽部の宇畑知樹 先生が生徒20~30名を引率して聴きに来られていたのである。ちなみに淀工も伊奈学園も2010年の吹奏楽コンクールは大会規定により3出休み(全国大会3連続出場後、1回休み)であり、両校は所沢ミューズでJoint Concert 2010を開催している。

ここで出向井先生の指揮に替わり、岩井直溥編曲によるディズニー・メドレー(ミッキー マウス マーチ~小さな世界~ハイ ホー~狼なんかこわくない~いつか王子様が~口笛吹いて働こう~星に願を)。途中から場内が暗くなり、観客一人一人に配られたサイリウム(ケミカルライト)の光を灯し、全員で振るファンタジックな場面も。

休憩を挟み後半。楽器紹介のIntroduction to Soul Symphonyを経てグレインジャー/リンカンシャーの花束へ。僕が淀工の演奏を生で初めて聴いたのが4年前のグリコン。やはりリンカンシャーが取り上げられていた。アルメニアンダンス同様、吹奏楽オリジナルの名曲である。その時は50人程度の編成だったが、今回は70人弱と増えていた。サックス女子生徒による楽曲解説付き。朴訥で、心に滲みる音楽。透明感があり、精緻な演奏。丁寧に、心を込めて歌い上げる。絶品。ブラビッシモ!

続く「ザ・ヒットパレード」の内容は、パラダイス銀河~ホップ・ステップ・ジャンプ(一年生男子の歌と踊り)~嵐メドレー(A・RA・SHI、Beautiful days、One Love、Happiness、サクラ咲ケ)~AKB48「会いたかった」~幸せなら手をたたこう(以上2曲、一年生女子の歌と踊り)~三三七拍子~六甲おろし~明日があるさ~乾杯(三年生の歌)。このグリコンで三年生は引退である。嵐メドレーは数年前から取り入れられていたが、AKB48は新機軸。丸ちゃんは「今年、大阪なんばにも姉妹グループが生まれたようです」とNMB48についても言及した。

アンコールはジャパニーズ・グラフティIV~弾厚作作品集~(お嫁においで、サライ)故郷(立田浩介 編)。故郷では手書きで歌詞が書かれた「電光掲示板(←丸ちゃん曰く)」も登場し、客席全員で歌った。そして〆は行進曲「ウエリントン将軍」。終わってみれば休憩時間を含め充実の3時間であった。いや~愉しかった!

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2011年1月23日 (日)

~フランスのエスプリ~ フルート、ハープ、弦楽による室内楽作品

関西で活躍するフルート奏者・安藤史子さんが企画によるコンサート「室内楽の魅力 Vol.3」を聴きに兵庫県立芸術センター小ホールへ。約2年前に開催されたシリーズ第1回目の感想は下記。

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今回の出演者は安藤史子(フルート)、大谷玲子(ヴァイオリン)、大江のぞみ(ヴィオラ)、林 裕(チェロ)、篠崎史子(ハープ)の5人。篠崎さん以外はいずみシンフォニエッタ大阪のメンバーである。

プログラムは全てフランスの作曲家による作品で、

  • ピエルネ/自由な変奏とフィナーレ
  • カサドゥシュ/五重奏曲
  • ドビュッシー/フルート、ヴィオラ、ハープのためのソナタ
  • シュミット(フローラン)/ロカイユ風組曲
  • ルーセル/三重奏曲(フルート、ヴィオラ、チェロ)
  • ルーセル/セレナード

青字以外は5人によるアンサンブルだった。

バッハやテレマンが活躍し、フルートがまだ木製でフラウト・トラヴェルソと呼ばれていた時代はドイツにフルートの名曲が多かった。しかしベーム式フルートが開発された19世紀後半以降、その主流はフランスへ移る。フルート・ソロが印象的な近代音楽を幾つか挙げてみよう。

  • ビゼー/「アルルの女」~メヌエット、歌劇「カルメン」第3幕への間奏曲
  • フォーレ/組曲「ぺリアスとメリザンド」~シチリアーナ
  • ドビュッシー/牧神の午後への前奏曲、パンの笛
  • プーランク/フルート・ソナタ

これらは皆、フランスの作曲家の手によるもの。フランスにフルートの名手が多かったのもその一因だろう。

さて、演奏会の感想に移ろう。

ピエルネは月夜の情景が浮かび上がってくるかのような幻想的でロマンティックな曲だった。

ロベール・カサドゥシュ(1899-1972)はフランスを代表するピアニスト。彼が作曲もしていたというのは知らなかった。レコーディングされたことのない曲だそうで、貴重な体験となった。ピアノ抜きの五重奏なのが面白い。シンプルで小粋。第2楽章の船歌(Barcalora)には透明な哀しみがあった。

ドビュッシーの第1楽章はパンの笛を彷彿とさせ、第3楽章はスペイン風。色彩豊な音のパレットが目の前に広がる。

シュミットはフランス宮廷で開花したロココ風で典雅。しかし移ろう調性はモダンであり、20世紀らしい素敵な曲。

ルーセル三重奏曲 第1楽章は機知に富む。第2楽章はオリエンタルな雰囲気でエキゾチック。そして陽気な第3楽章はリズミカルでお洒落。

ルーセルは若い頃、海軍に入りインドシナ近海に勤務していたという。その航海の体験がセレナードに反映されているように想われた。第1楽章に潮風を感じ、第2楽章は異国の寄港地での夕暮れ。それは魔術的な美しさだった。そして第3楽章プレストは動的でスリリング。

ソリストとしても活躍する5人の音楽家たちはアンサンブルの調和を保ちながら、そこにはしっかりと自己主張があり、雄弁な演奏を展開した。

知られざる名曲を色々と聴けて愉しいひと時であった。特にシュミットとルーセルが気に入ったな。

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2011年1月21日 (金)

クリスティーネ・ショルンスハイム/平均律クラヴィーア曲集 第1,2巻

大阪倶楽部へ。日本テレマン協会マンスリーコンサート スペシャル!クリスティーネ・ショルンスハイムのチェンバロを2夜にわたり聴く。

  • J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第1巻(12/11)
  • J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第2巻( 1/20)

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ショルンスハイムはミュンヘンの音楽芸術大学チェンバロ科教授。チェンバロおよびフォルテピアノの名手として知られるアンドレアス・シュタイアーに師事し、彼とのデュオ・リサイタルを日本でも開いた。彼女の詳しいプロフィールはこちら。日本テレマン協会で活躍する高田泰治さんは定期的にドイツに渡り、ショルンスハイムの薫陶を受けている。つまりシュタイアーの孫弟子ということになる。

バッハの平均律はそれぞれの巻が24曲からなる。1曲ごとに自由な形式のプレリュード(前奏曲)+厳格なフーガで構成され、ハ長調からスタート。2曲目がハ短調で、長調・短調を交互に繰り返しながらハ(ド)→嬰ハ(ド#)→ニ(レ)→変ホ(ミ♭)→ホ(ミ)といった具合に半音ずつ調が上昇していく。ショパンの「24の前奏曲」やショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」は勿論、この作品に触発されたものである。

バッハの音楽は数学的・規則的であり、幾何模様のタペストリーを織り成す。均衡と調和の美しさ。それは人間的な感情を越え、調性の宇宙の彼方から絶対的な神の声が聴こえてくる。

平均律クラヴィーア曲集は完璧であり隙がない。それが長所でもあり、(面白みに欠けるという)短所でもある。結局、バッハの後に登場した古典派やロマン派の作曲家たちがした作業というのは、天上の高みにまで達してしまったバッハの音楽をいま一度、人間の俗世に引き戻す作業ではなかったのか?と僕はこの曲を聴きながら考えた。

ショルンスハイムの演奏はカチッとした構築性がある。虚心坦懐に淡々と弾き、その響きは毅然として誇り高い。しかし同時に音楽の歓び、作曲家の息遣いが伝わってきた。

コンサートは19時に開演し、終了したのは21時45分であった。

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サイモン・スタンデイジ×中野振一郎/G.Ph.テレマンの夕べ

1月18日(火)、大阪倶楽部へ。

イギリスからバロック・ヴァイオリンの名手サイモン・スタンデイジを迎えての日本テレマン協会マンスリーコンサート。

チェンバロ:中野振一郎、弦楽:コレギウム・ムジクム・テレマンでオール・テレマン・プログラム。

  • 4つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 40:201
  • 4声のための協奏曲 ニ長調 TWV 43:D4
  • 2つのヴァイオリンのための協奏曲 ト長調 TWV 52:G2
  • 独奏ヴァイオリン、弦楽合奏と通奏低音のための組曲 イ長調 
    TWV 55:A7(本邦初演)
  • 4つのヴァイオリンのための協奏曲 イ長調 TWV 54:A1(本邦初演)
  • 序曲 ト短調 TWV55:g2
  • ロシア(アンコール)

1973年、サイモン・スタンデイジはトレヴァー・ピノックと共にオリジナル楽器によるイングリッシュ・コンサートを設立、コンサートマスターを務めた。1990年にはアンサンブル「コレギウム・ムジクム’90」を結成、同年からコレギウム・ムジクム・テレマン(大阪)のミュージック・アドヴァイザーにも就任、毎年来日し共演を続け現在に至る。

J.S.バッハと同時代に生きたテレマンの音楽はバッハと比べ躍動感がある。特に通奏低音の切り込み(畳み掛けるようなリズムの刻み)が印象的。

スタンデイジのヴァイオリンはガット弦なので当然渋みがあるが、背筋が伸びてピンと張りのある音がする。中野先生と丁々発止の掛け合いも愉しく、気高い音楽を堪能した。

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2011年1月20日 (木)

ショパン国際ピアノ・コンクール2010入賞者ガラ・コンサート

ザ・シンフォニーホールへ。

2010年ショパン国際ピアノ・コンクール入賞者たちによるコンサート。ラファウ・ブレハッチが優勝した2005年のガラ・コンも5年前に聴いた。その時の会場は現在改築中のフェスティバルホールだった。

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今回はマルタ・アルゲリッチ以来実に45年ぶりとなる、女性の優勝者誕生ということで大いに話題となった。

プログラム順に感想を述べよう。青字はアンコール曲。

フランソワ・デュモン<第5位、フランス出身>

  • 子守歌
  • ポロネーズ 第6番「英雄」
  • ドビュッシー/月の光

「子守歌」は繊細なタッチ。しかしポロネーズになるとミス・タッチが目立つ。テクニックがないからゆったりしたテンポ。それでも手がもたつき、誤魔化すためにメダルを踏み過ぎ。むしろその曖昧模糊とした響きは「月の光」に似合っていた。

ダニール・トリフォノフ<第3位・マズルカ賞、ロシア出身>

  • 3つのマズルカ op.56より第1番、第2番
  • マズルカ風ロンド
  • タランテラ
  • J.S.バッハ(ラフマニノフ編)/パルティータ第3番よりガヴォット

「前座」の下手くそとは打って変わり、この人はテクニシャン。音が立っている。リズムに乗り颯爽として、その指から紡ぎ出される音楽は蝶が舞うように軽やか!別のコンクールなら彼が優勝しても少しもおかしくないと感じられた。

ルーカス・ゲニューシャス<第2位・ポロネーズ賞、ロシア出身>

  • ポロネーズ 第5番
  • 12の練習曲 op.10より第2番
  • 12の練習曲 op.25より第4番
  • 12の練習曲 op.25より第11番「木枯らし」
  • レオニード・デシャトニコフ/映画「Target」より"Foxtrot"

力強く剛直なタッチ。まるでディーゼル機関車が除雪しながらグイグイ走っているでいるような印象。これぞリヒテル、ベルマン、ブロンフマンらに綿々と受け継がれて来たロシアのピアニズム!アンコールもジャズっぽくて粋だった。

インゴルフ・ヴンダー<第2位・幻想ポロネーズ賞・協奏曲賞、オーストリア出身>

  • ピアノ協奏曲 第1番(バデレフスキ版)
  • モーツァルト(ヴォロドス編)/トルコ行進曲

磨かれた音で端正な演奏。イントネーション、メリハリがはっきりしていて楷書的。しかし一方で、情緒が不足しているように想われた。言い換えるなら面白味に欠けるんだなぁ。技術的には申し分なく、特にアンコールは超絶技巧で良かった。

ユリアンナ・アヴデーエワ<第1位・ソナタ賞、ロシア出身>

  • ピアノ協奏曲 第1番(ナショナル・エディション)
  • J.S.バッハ/パルティータ第1番よりジーグ

ヴンダーよりテンポは速め。精緻な演奏で抒情的。ショパンの音楽が有する無限のニュアンスがしっかりと伝わってくる。その表情の微かな移ろいが繊細に描かれ、もう泣きたくなるくらい美しい!第2楽章に心が震え、この曲に陶酔を感じたのはこれが初めて。第3楽章は力まず、pp(最弱音)が際だつ。シルクの肌触り。いや〜もう、圧巻。彼女以外の優勝はあり得ないと得心が行った。

総評としてはアヴデーエワ、ゲニューシャス、トリフォノフが特に素晴らしかった。

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2011年1月18日 (火)

笑福亭たま 新人賞受賞!/なにわ芸術祭「新進落語家競演会」

1月17日(月)繁昌亭へ。抽選だった「新進落語家競演会」入場整理券の応募は10倍だったそう。

出演者は上方落語協会から推薦された入門10年前後の噺家で、月例の「島之内寄席」に出演した8人。この中から新人賞および奨励賞(次点)が選出される。持ち時間は12分。

審査員の面々は、

  • 伊藤雄三(毎日放送ゼネラルプロデューサー)
  • 金森三夫(産経新聞社文化部)
  • 河内厚郎(演劇評論家、「関西文学」編集長)
  • 水戸 徹(関西テレビ放送プロデューサー)

くじ引きで順番が決められ、最初に権利を得たたまさんが8番目(トリ)、次に権利を得たしん吉さんが7番目を選んだ。最後まで残ったのが開口一番。

  • 笑福亭智之介/桃太郎
  • 笑福亭由瓶/阿弥陀池
  • 林家卯三郎/ふぐ鍋
  • 桂 三弥/くもんもん式学習塾(三枝 作)
  • 桂ひろば/テレスコ
  • 桂ちょうば/時うどん
  • 桂しん吉/かぜうどん
  • 笑福亭たま/ショート落語+憧れの人間国宝(たま 作)

由瓶さんは始終ハイテンションでやや一本調子だが、ダイナミックに「阿弥陀池」を熱演。もう少し動と静のメリハリがついたらいいと想うのだけれど。

ひろばさんが以前別の会で「テレスコ」を掛けた時、お客さんから「40年前、一度だけラジオで聴いたことがある」と言われたそう。けったいな噺を淡々と。こういう客に受けない、珍しいネタでコンテストに臨んだその心意気やよし!

しん吉さんは「時うどん」とネタが付く(内容がかぶる)ことを断り、「でも最初からこれを演るつもりで来たので」と。吉朝師匠の芸を受け継ぎたいという熱意は感じられるのだけれど、ちょっと硬かったかな。もっと軽やかさが欲しい。

たまさんは厳選されたショート落語8連発に続き、自信作で勝負。ネタはよく練られ、場内大爆笑!文句なし。

翌日審査結果が新聞発表され、新人賞(賞金10万円)は笑福亭たまさん、奨励賞(賞金5万円)は桂しん吉さんに決まった。

たまさんは過去に繁昌亭輝き賞および創作賞を受賞。昨年は「咲くやこの花賞」にも輝いた。まさに飛ぶ鳥を落とす勢いと言えるだろう。

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桂雀々/利久寄席(1/15)

南海高野線「堺東」駅近くにある、うどんちり「利久」へ。

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利久寄席は7年前に他界した桂喜丸さんが世話人として発足。その死後は桂米平さんが引き継がれている。

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この会は奇数月に開催され、桂雀々さんは年一回出演される。

そば付きで木戸銭たった2,000円なり!

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  • 佐ん吉/田楽喰い(ん廻し)
  • 米平/道具屋
  • 雀々/くっしゃみ講釈

雀々さんは人寄り場所として、スポーツ・ジムに集う様々な人々の姿を面白おかしく活写しネタへ。「くっしゃみ講釈」はスピード感に溢れ、フレーズの繰り返しが心地よいリズムを生む。これぞマシンガン・トーク!汗をかきかきの大熱演だった。

狭いお座敷に60人以上の客が詰めかけ、文字通り身動きできないくらいの寿司詰め状態。そして場内の興奮は雀々さんの登場で頂点に達した。終わってからも人々が顔を高潮させ、口々に「凄く面白かったねぇ!」と語り合っていた。

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2011年1月17日 (月)

ソーシャル・ネットワーク(デジタル上映)

「ソーシャル・ネットワーク」はアカデミー作品賞・監督賞の最有力候補。映画公式サイトはこちら

本作がオスカーを獲る意義は2点ある。まず第1に、ここ数年、作品賞は「ノーカントリー」(2007)、「スラムドッグ$ミリオネア」(2008)、「ハート・ロッカー」(2009)といったインディーズ/独立系映画会社が席巻してきた。だから久しぶりのメジャー系受賞(ソニー・ピクチャーズ)ということになる。

第2に、インターネットを題材にした映画がアカデミー作品賞を受賞するのはこれが初めて。それだけ今の時代を反映していると言えるだろう。その走りとなったのはメグ・ライアンとトム・ハンクス主演、ノーラ・エフロン脚本・監督のロマンティック・コメディ「ユー・ガット・メール」(You've Got Mail, 1998)あたりだろうか?あの頃はまだ「出会い系サイト」という言葉すらなかった。

さて、「ソーシャル・ネットワーク」の話に戻ろう。

評価:A+

The_social_network

ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)“フェイスブック”誕生の裏側を描く。日本のSNSとしてはミクシィ(mixi)が有名。

Facebookの創業者で、この映画の主人公マーク・ザッカーバーグ(ジェシー・アイゼンバーグ)はハーバード大学2年生。ボストン大学に在学している彼の恋人エリカ(ルーニー・マーラ)とカフェバーでのマシンガントークから幕を開ける。この雰囲気が何だかハワード・ホークス監督の「ヒズ・ガール・フライデー」(1940)を彷彿とさせる。次第に二人の会話は喧嘩腰となり、エリカはもう帰って勉強すると言い出す。

マーク「君は勉強する必要なんてないよ」
エリカ「(ムッとした口調で)どうして!?」
マーク「だって君はボストン大学だから」

ここでエリート学生の不遜さ、無神経ぶりがしっかりと描かれる。

むしゃくしゃして酔っ払ったマークは大学の寮に戻るとブログにエリカの悪口を書き、ハーバード中の寮の名簿をハッキング、女子学生たちの写真を並べて彼女たちのルックスをランク付けするサイト“フェイスマッシュ”(Facemash)を立ち上げる。これはたった2時間で22,000アクセスに達し、マークの名前はハーバード中に知れ渡ることになる。

このエピソードを観ながら僕は「嗚呼、あるある!」と首肯した。日本の大学においても、男子学生が3人集まれば女子の品評会になる。高校の卒業アルバムを持ち寄って「どの子が一番可愛いか」人気投票している連中もいたっけ。そして当然、彼らはマーク同様に女子学生から顰蹙を買い、軽蔑の視線を浴びることになる。こうしたリアルさが本作の面白さである。

マークには劣等感があった。ハーバード大学には上流階級のファイナルクラブが8つあり、入会には個人の能力、家柄や資産などの厳しい審査が行われる。学内男女のインターネット上における出会いの場“ハーバードコネクション” を運営している資産家の息子ウィンクルボス兄弟(双子)はルーズベルト大統領も会員だったという最古のクラブ“ポーセリアン”のメンバーであり、マークの友人エドゥアルド(アンドリュー・ガーフィールド)にも“フェニックス”から入会の誘いがあるが、マークにはない。

エリカを見返してやりたいとか、階級差別志向で排他的なファイナルクラブへの反感という個人的感情がFacebook誕生へ結びついていく経緯が非常に丁寧に、説得力を持って描かれる。脚色を担当したアーロン・ソーキンの上手さが冴える。

Facebookはインターネットという仮想現実上で「友達になる」、つまり人と人を結びつけるコミュニケーション・ツールである。しかし映画の主人公はFacebookが世界的に広がってゆく中で恋人を失い、たった一人の親友エドゥアルドとも決別し、どんどん孤独になってゆく。なんという人生の皮肉。

僕がデヴィッド・フィンチャー監督の才能に最初に瞠目させられたのはキリスト教の七つの大罪をモチーフにしたサイコ・スリラー「セブン」(Se7en, 1995)であった。アメリカ合衆国で実際に起きた連続殺人事件を題材にした「ゾディアック」(2007)も印象深い。両者は現代社会の闇を描き、底知れぬ不気味さと不安感に満ちていた。ある意味、「ソーシャル・ネットワーク」もそれに繋がるものを僕は感じる。とにかく、モデルとなった人物全員が生きている中で、これだけ人間を深く掘り下げた映画を世に問うた意気込みと、その卓越した成果を大いに讃えたい。また音楽が全編、コンピューター・ミュージック仕立てになっているのも相応しい。必見。

本作はデジタル撮影され、フィルムレスで編集された。その過程はこちらのサイトに詳しく記載されている。僕は「ノルウェイの森」をフィルム上映版とデジタル上映版の両方観たが、クオリティの差は歴然としている。デジタル撮影されたものをフィルム上に焼き直すと、輪郭が曖昧になり、フィルターがかかった様に画面全体がぼんやりしてしまうのだ。「ソーシャル・ネットワーク」のデジタル上映版は細部までくっきりとし、特に夜の暗い場面における解像度が鮮明だった。もし環境が可能ならば是非こちらをお勧めする。

最後に余談。デヴィッド・フィンチャー監督の次回作はスウェーデン発のミステリー「ミレニアム」3部作のハリウッド・リメイク「ドラゴン・タトゥーの女」。現在、撮影中である。そのヒロイン、リスベット・サランデルを演じるのは「ソーシャル・ネットワーク」のエリカ役ルーニー・マーラ。可愛い女優さんである→こちら。彼女がリスベットとしてどう変貌するか、その写真が公開された→こちら!いや~凄い。メイクひとつでこんなに変わるものか。映画公開がとても愉しみだ。

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2011年1月15日 (土)

高木和弘/イザイへの憧憬~近代フランス&ベルギー ヴァイオリン作品の神髄

大阪倶楽部へ。

ウジェーヌ・イザイ(1858-1931)はベルギーの名ヴァイオリニスト。また作曲家として、無伴奏ヴァイオリン・ソナタ(全6曲)が有名。そのイザイに焦点を当てたユニークなプログラム。

  • サン=サーンス(イザイ編曲)/ワルツ形式の奇想曲
  • フォーレ/子守唄、モルソー・ドゥ・レクチュール、ロマンス、アンダンテ
  • ショーソン/詩曲
  • フランク/ヴァイオリン・ソナタ
  • フランク/アンダンティーノ・クイエトーソ (アンコール)

ショーソンの「詩曲」とフランクのヴァイオリン・ソナタはイザイのために作曲された。

高木和弘さんは大阪生まれ。フランス国立リヨン国立音楽院などで研鑽を積んだ。現在は東京交響楽団や山形交響楽団のコンサートマスターを務め、いずみシンフォニエッタ大阪のメンバーでもある。

ピアノの佐藤勝重さんはパリ国立音楽院などで学んだ。二人はパリ時代からコンビを組んでいるという。

高木さんのヴァイオリンは芯の太い音がする。無色透明(pure)というよりは、むしろ(いい意味で)ささくれ立った感じ。いぶし銀の響きを堪能。

フランクのソナタは、ほの暗い情念が熾火(おきび)のように燃え、心が騒いだ。

先日聴いたベルリン・フィル第1コンサートマスター・樫本大進さんの演奏(レビューはこちら)より高木さんの紡ぎだす音楽の方が断然良かったな。

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2011年1月14日 (金)

ミュージカル「モーツァルト!」(山崎育三郎 主演)

梅田芸術劇場へ。

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「モーツァルト!」はウィーン発のミュージカル。台本・作詞がミヒャエル・クンツェ、作曲がシルヴェスター・リーヴァイという大ヒット・ミュージカル「エリザベート」の名コンビ。日本版演出は宝塚歌劇団のエース、小池修一郎(2010年 菊田一夫演劇大賞受賞)。

僕は2002年の初演(ヴォルフガング:中川晃教、コンスタンツェ:松たか子、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:久世星佳)と2005年の再演(ヴォルフガング:中川晃教&井上芳雄、コンスタンツェ:西田ひかる、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:香寿たつき)を観ている。

大阪で5年ぶりの再演となる今回はヴォルフガング:山崎育三郎、コンスタンツェ:島袋寛子(SPEED)、ヴァルトシュテッテン男爵夫人:涼風真世というキャストで観劇した。

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「エリザベート」がほぼ完全無欠のミュージカルであるのに対し、「モーツァルト!」はいろいろと瑕がある作品である。例えば主人公をヴォルフガング(成人)とアマデ(子役)という二つの人格に分けて描く必然性が本当にあったのか?とか、お父さん(レオポルド)やお姉さん(ナンネール)などの脇役にソロ・ナンバーが多すぎ、物語を停滞させてるんじゃないか?とか、疑問に感じる要素はある。

しかし音楽は「エリザベート」に勝るとも劣らぬ完成度を誇るし、繰り返し観ているうちに味が出てきて、作者が言わんとしたことが次第に見えてくる奥深い作品であることも確かだ。僕は今回の公演に一番感銘を受けた。

新人の山崎くんは伸びやかな歌い方で好感が持てるし、イケメン。狂気を感じさせる演技もgood。以前観た井上くんのヴォルフガングは線が細すぎる気がするし、彼のクラシック的歌唱法はロック調の楽曲に合っていない。

コンスタンツェ役の島袋寛子も歴代ベストではなかろうか?とにかく歌唱力が見事。しっかりと感情を込めて歌える人だ。彼女の演じるエポニーヌ(「レ・ミゼラブル」)とかキム(「ミス・サイゴン」)も是非観てみたい!

男爵夫人を演じる涼風真世は気品があり、はまり役だった。

初演から不動のキャストーレオポルド:市村正親、ナンネール:高橋由美子、コロレド大司教:山口祐一郎、シカネーダ:吉野圭吾らも文句なし。素晴らしいカンパニーである。必見。

ちなみにモーツァルトにオペラ「魔笛」作曲を依頼するシカネーダはアン・デア・ウイーン劇場を建設し(1801年落成)、後にそこでミュージカル「エリザベート」(1992)や「モーツァルト!」(1999)が初演された。2006年以降はオペラハウスとして復活したそうである。

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第五回 繁昌亭大賞受賞記念落語会

補助席も出る盛況ぶり。

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  • 桂 三枝/ご挨拶
  • 桂かい枝/恋するオ・ト・メ
  • 林家花丸/ナイモンガイ(改作)
  • 桂 文三/崇徳院
  • 授賞式(司会:笑福亭たま、プレゼンター:笑福亭松枝)
  • 桂 鯛蔵/強情灸
  • 桂 文華/景清

繁昌亭大賞は入門25年以下の噺家を対象に、繁昌亭における一年間の成果をみて選出される。選考委員は新聞記者・演芸ジャーナリスト・繁昌亭支配人・大阪天満宮宮司ら。

繁昌亭では通常、撮影禁止だが、今回は特別に授賞式で許可が下りた。

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上の写真左からかい枝さん(創作賞)、文三さん(奨励賞)、文華さん(大賞)、花丸さん(爆笑賞)、鯛蔵さん(輝き賞:入門10年以下が対象)。

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背後の「楽」と書かれた色紙は人間国宝・桂米朝さん直筆のもの。

桂三枝・上方落語協会会長は冒頭の挨拶で「繁昌亭大賞を受賞しても、その後精進しない者もおりますので、客席の皆様は今後も厳しい目で彼らを見守っていただき、勉強してないなと感じられたら、みかんの皮でも投げて下さい」と。

かい枝さんは鉄板ネタ「ハル子とカズ子」をされるのかなと思いきや、昨年末ネタおろししたばかりの「恋するオ・ト・メ」を。これはつい先日、NHK「笑・神・降・臨」でもオン・エアされたもの。あの時と比べ力みが抜け、間がしっかり取れていて、さらに良くなっていた。NHKでは「河合塾」のくだりが省略されていたが、これは放送コードに引っかかるためだろう。

花丸さんは繁昌亭大賞授賞式の前に宝塚雪組の「ロミオとジュリエット」を観劇されたそうで、その魅力を熱く語られた。気が合うわぁ。

披露されたネタは古典落語「無いもん買い」を改作したもので、ヒロシとビリー(外国人)の会話で物語が展開される。天神橋筋六丁目交差点から出発し、商店街を「無い物買い」しながら南森町へ。中村のコロッケを冷やかして繁昌亭に到着。ここで花丸さん本人も登場するという愉快なネタだった。

文三さんは手伝いの”熊五郎”が甲高い大きな声で、陽気な一席。

鯛蔵さんは昨年、大阪ミナミにある某・鯨料理屋で開催された「毎日寄席」(ここで客席から笑い)で、お客さんが0人だった壮絶な体験をマクラで語られた。そしてスピードと躍動感に溢れる「強情灸」。

文華さんはマクラで噺家になろうとした若い頃に舌癌になったことを語られ、目貫師(めぬきし=彫金職人)の説明をしてからネタへ。

文華さんは昨年、奨励賞を受賞された際に「子は鎹」を掛けられた。これは「泣かせ」の趣向が強すぎ、僕は好きになれなかったので批判的なことを書いた。

しかし今回の「景清」は人の《情》に訴えるシリアスな部分と、《笑い》のバランス(匙加減)が絶妙で、深い余韻の残る文句なしの一席となった。このネタは他の演者で何度か聴いたことがあるが、「こんなに面白い噺だったのか!」と目を瞠った。これぞ名人芸。また、ふんだんにハメモノ(お囃子)を使った、今までにない演出もすごく良かった。

全体としてハイ・クオリティで、ギュウギュウに中身が詰まった会だった。高揚した気分で帰途に就いた。

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2011年1月12日 (水)

ロビン・フッド

評価:C

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「グラディエーター」でアカデミー作品賞・主演男優賞を受賞したリドリー・スコット監督とラッセル・クロウのコンビによる最新作。共演はケイト・ブランシェットほか。公式サイトはこちら

リドリー・スコットの作品系譜の中で「グラディエーター」や「キングダム・オブ・ヘブン」に近い作品と言えるだろう。中世ヨーロッパを舞台に肉弾戦が展開される。特に十字軍の時代だから「キングダム・オブ・ヘブン」に完全に重なる。つまりこの映画に目新しい要素は何もない。

勿論ウェルメイドな娯楽作品に仕上がっているので観ている間決して退屈はしないが、とりたててワクワクするとか手に汗握ることもない。その程度の映画である。暇つぶしにどうぞ。

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2011年1月11日 (火)

ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 1

評価:C

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「ハリー・ポッター」シリーズは全て映画館で観てきたが、やはり面白かったのは第3話「アズガバンの囚人」までという気がする。

あの頃は「これから何が起こるんだろう?」というワクワク感があったが、次第にダークなトーンを強め、ファンタジーとしての愉しさが失われていったように想う。

音楽は第3作目までジョン・ウィリアムズが担当していた。しかしその後、作曲家が次々に替わり、統一感が欠如してグダグダになった。

デイビッド・イェーツ監督は第5話「不死鳥の騎士団 」、第6話「謎のプリンス」に続き今回3度目の登板だが、ここに来てどうして音楽が前2作を担当したニコラス・フーバーからアレクサンドル・デプラ(「ラスト、コーション」「ライラの冒険/黄金の羅針盤」「英国王のスピーチ」)に交代するの??もう全く理解に苦しむ。

子供の頃のハリー、ロン、ハーマイオニーを演じる役者たちはみな可愛かったけれど、成長した彼らが現時点における理想のキャスティングかどうか、僕は甚だ疑問に感じる。背の高さのバラバラ具合ひとつとっても、画面に上手く収まってない。こういう長期のシリーズものは難しいねぇ。

登場人物が多く、伏線が複雑で、危機は何でも魔法で解決してしまう安易さにもそろそろ飽きてきた。

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林家一門顔見世興行

1月10日は十日戎(とおかえびす)。

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この日、天満天神繁昌亭へ。

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  • 林家染太/手水廻し
  • 林家笑丸/野ざらし
  • 林家竹丸/へっつい盗人
  • 林家染二/しじみ売り
  • 林家染弥/天狗裁き
  • 林家そめすけ/看板の一
  • 林家染丸/三十石 舟歌合戦

笑丸さんは勢いとスピードのある高座。

染二さんの「しじみ売り」は初演を聴いているが、その時は唐突なサゲで半ばで終わった。今回はサゲなしに最後まで。丁度、十日戎の時期の噺。若い衆の描写がコミカルで良かった。

持ちネタが三つしかないというそめすけさん。泥棒ネタは先にされてしまったと博打の噺を。江戸から来た”親っさん”の気風がいい。

三十石」は通常の「夢の通い路」ではなく、噺の終盤に花丸、染吉、愛染らが船を漕ぎながら船歌を唄い、染丸さんの後方を通り過ぎるという趣向。若手の染吉、愛染らはさすがに下手だったけれど、こういう趣向は初体験でとても面白かった。来てよかったと満足できる会だった。

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雀三郎きき放題 その壱

大丸心斎橋劇場へ。

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  • 桂 二乗/子ほめ
  • 桂雀三郎/親子酒
  • れ・みぜらぶるず/音曲漫才
  • 桂雀三郎/哀愁列車(小佐田定雄 作)
  • 雀三郎 with まんぷくブラザーズ/お笑いミニコンサート

れ・みぜらぶるず」は「まんぷくブラザーズ」のリーダー、リピート山中さん(ギター)とその相方、フランシー堺さん(アコーディオン)のコンビ。「神田川」「悲しい酒」「浪花節だよ人生は」等のパロディがあって愉しい。

「親子酒」は陽気な酔っ払いがいい。

哀愁列車」はさすが《当て書き》(先に演者を決め、その人をイメージしながら台本を書くこと)だけあって、途中しりとり歌合戦などが挿入されて大いに盛り上がる。

コンサートの楽曲は

  • ミュージックコンサートのテーマ
  • ヨーデル食べ放題
  • やぐら行進曲
  • 二人のやぐら(ムード歌謡)
  • はまかぜラプソディー
  • 想い出の渚(ザ・ワイルドワンズ)
  • おばあさんの古時計(おじいさんの古時計のパロディ)
  • コモエスタひとり鍋
  • 江戸の人気者
  • それぞれの味(サッポロ黒ラベル讃歌)
  • 忘れん坊のサンタ苦労ス

「本職は歌手です」と豪語する雀三郎さん。いい声しているし兎に角、歌詞が可笑しい。リピート山中さんは作曲家としてセンスあるなぁ。

盛り沢山の充実した2時間半だった。

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桂吉弥 IN 岡町落語ランド(1/9)

豊中市立伝統芸能館へ。桂吉弥さんが世話人を務める会。「岡町落語ランド」という命名は九雀さんだそう。

吉弥さんのHPにも情報が掲載されていなかったためか、入りは五十数名と少なめ。木戸銭1,500円也。

  • 桂弥太郎/時うどん(吉朝 版)
  • 桂 二乗/正月丁稚
  • 旭堂南湖/講談・柳田格之進
  • 桂吉の丞/七度狐
  • 桂 吉弥/池田の猪買い

吉弥さんの一番弟子・弥太郎さんはうどんを食べて「あぁ〜」という言い方が師匠仕込みだなと想った。ただ彼は入門して一年経つが、まだ余り進歩がみられない。口調が間延びしてるんだよなぁ。「時うどん」は喜六・清八の二人組みが出てこない吉朝バージョン。

正月丁稚」はなかなか聴く機会がないネタなので嬉しかった。

柳田格之進」は南湖さんが昨年末、文化庁芸術祭新人賞を受賞したネタ。登場人物の心理の機微がじっくりと描かれ、聴き応えのある一席。とってもよかった。

吉弥さんは「柳田格之進」にふれ、「いやぁ、聴き入ってしまいました。でも僕は落語家の習性として、どうしてもあの緊張感を緩和したくなるんですよね」と、自分だったらどうやるか、一部実演された。これがむちゃくちゃ可笑しかった!

彼の「池田の猪買い」を聴くのは初めてで、満足度の高い会だった。

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2011年1月 8日 (土)

音月桂 主演/宝塚雪組「ロミオとジュリエット」

宝塚大劇場へ。

フランス産ミュージカルの大傑作「ロミオとジュリエット」(作詞・作曲:ジェラール・プレスギュルヴィック)を観劇。

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ロミオはこれがトップお披露目となる音月桂、ジュリエットは役代わりで僕の回は舞羽美海

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昨年、梅田芸術劇場で宝塚星組の公演を観た感想は下記。

この時の主な配役は、ロミオ:柚希礼音、ジュリエット:夢咲ねね、ティボルト:凰稀かなめ だった。 

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さて雪組公演だが、冒頭の「愛」(大湖せしる)と「死」(彩風咲奈)のデュエット・ダンスから魅了された。幕切れの合唱も素晴らしく、雪組の底力を感じさせた。フランス版にはない宝塚独自のエピローグもいい。黄泉の国で幸福そうに踊るロミオとジュリエットの背景で、「愛」と「死」が融合する演出はやはり感銘深いものがある。さすが小池修一郎

音月桂は歌唱力があり、どんどん転調する難しい楽曲なのに、決して音程を外さない。ただダンスに関しては柚希礼音の方が一枚上手かな?

星組@梅芸と比較すると、ヴェローナ大公(大凪真生)とマーキューシオ(早霧せいな)は実力・ビジュアル的に雪組に軍配が上がるだろう。

ただティボルト(緒月遠麻)は断然、星・凰稀かなめの方が良かったな。それからベンヴォーリオ(未涼亜希 )は歌がお粗末でいただけない。転調に完全についていけてない。

舞羽美海はガリガリに痩せていて、ジュリエットとしてどうなんだろう?と違和感を感じた。ダンスは上手かったけれど。

全体として僕は星組版のキャストの方が好きだった。いや、それさえ知っていなければ十分質の高い舞台であったし、"Aimer" (エメ=日本語で「愛する」)など楽曲の美しさは文句の付けようがないのだが(試聴はこちら)。

幕間には音月桂がプロデュースしたスイーツ「ロミオの熱い林檎」を食べた。

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完全予約制、1,200円也。なかなか豪華で美味しかった。

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2011年1月 6日 (木)

2011年新春 関西のお勧めクラシック・コンサート!(吹奏楽を含む)

ある方から「お勧めのクラシック・コンサートを教えて欲しい」とのリクエストがあったので久しぶりに企画した。2011年3月~6月に関西で開催される要注目演奏会を列挙しよう。それぞれタイトルをクリックすると詳細情報に飛ぶ。

何といっても「道」や「ゴッドファーザー」の作曲で名高いニーノ・ロータ/交響曲 第4番「愛のカンツォーネに由来する交響曲」だろう。これが日本初演となる。しかし決して難解な現代音楽ではなく、ロータの映画音楽「魔の山」やヴィスコンティ監督「山猫」の旋律が引用されており、ロマンティックで親しみやすい(僕はこのシンフォニーのCDを所有している)。詳しくは→シリーズ《映画音楽の巨匠たち》第1回/ニーノ・ロータ篇 へ。天才指揮者・児玉宏がこれをどう料理するかも愉しみだ。僕が大好きなロータ/「魔の山」の試聴は→こちら

日本の映画音楽特集というのが嬉しい。伊福部昭/SF交響ファンタジー(ゴジラ含む)とか芥川也寸志/「八つ墓村」(試聴は→こちら。是非聴いてみて!)といった名曲を生で聴けるチャンスは滅多にない。木戸銭も安い。

森 麻季(ヴィオレッタ)、佐野成宏(アルフレード)という日本で考えうるベスト・キャスト!指揮は現田茂夫。チケットの最高額8,000円という(オペラにしては)安価な設定も嬉しい。イタリア語上演だが日本語字幕スーパー付き。「椿姫」は名作中の名作だし、オペラ初体験という方にも自信を持ってお勧めしたい。なお、「椿姫」がどんな話か興味ある方は、ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー主演、バズ・ラーマン監督の映画「ムーラン・ルージュ」を御覧になることをお勧めする。

ヒラリー・ハーンは妖精のようなひとである。ヴァイオリンの世界的名手がたった5,000円で聴ける機会は逃したくない(倉敷市民会館での公演はS席7,000円である)。2009年に彼女を聴いた感想はこちら

同じ3月21日(月・祝)に大阪・いずみホールではこんな演奏会もある。

ドイツから著名なオルガニスト、ヴォルフガング・ツェラーが登場。このホールにはたいへん立派なオルガンがある。CDでは決して味わうことが出来ない、ズシリと腹に来る荘厳な音の大伽藍を愉しめるだろう。過去にこのシリーズを聴いた感想はこちら

兵庫県西宮市生まれの河村尚子は僕が今、日本で一押しのピアニスト。昨年彼女の演奏に驚嘆した時のレポートはこちら

アカペラの合唱を聴きたいならこれ止めを刺す。彼らの歌声を聴けば神聖な気持ちになり、背筋が自然と伸びるだろう。

ブラームスの交響曲を聴きたいなら絶対これ。ハーディングが以前レコーディングしたものはなんとピリオド・ティンパニを使用し、ノン・ヴィブラートで演奏したブラームスだった!時代の最先端を行く、衝撃の体験が我々を待ち構えているだろう。ハーディングは若くてイケメンだし、特に女性にお勧め。

また一度、吹奏楽の素晴らしい演奏を聴いてみたいという方には次がお勧め。

目玉は何といっても淀川工科高等学校(淀工)吹奏楽部を日本一のバンドに育てた丸谷明夫 先生が両者を指揮されること。丸谷先生は大阪音楽大学の特任教授でもある。入場料はどちらも1,000円。

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2011年1月 5日 (水)

桂吉弥がトリ! 動楽亭昼席(1/4)

桂ざこばさんが席亭を務める動物園前の動楽亭へ。

米朝一門による昼席を聴く。今年から若手にトリや中トリを任せる試み。

  • あおば/子ほめ(開口0番)
  • 鯛蔵/強情灸
  • 吉坊/軽業
  • 雀松/おごろもち盗人
  • 米左/親子茶屋
  • 九雀/たいらばやし
  • 吉弥/かぜうどん

吉弥さんがトリということで定員100名ギュウギュウの満席。雀松さんが「(動楽亭が)こんなに入ったのは見たことない」「いつもこれくらい来ましょう」との呼びかけに場内から笑いがこぼれる。

ざこばさんの八番弟子・あおばさんの高座は開演時間15分前から。中々の好青年で爽やか。

鯛蔵さんは勢いとスピード感があった。

吉坊さんはさすがの上手さ。

おごろもち盗人」では蚊取り線香のことを昔は蚊燻べ(かくすべ)と呼んでいた事を初めて知った。雀松さんの演じる飄々とした人物像が愉快だ。

九雀さんの「たいらばやし」は眼鏡をかけたままの《JAZZ型》で。「平林」という漢字の読み方をめぐる騒動を描く物語を解体し、再構成した斬新な一席。お見事!

また物売りの声の描写が愉しい吉弥さんの「かぜうどん」もよかったな。声のトーンの変化、瞬き、眉毛の上下など、手練手管を弄した鮮やかな高座だった。

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久石譲/関西フィル ジルベスター・コンサート 2010

12月31日、ザ・シンフォニーホールへ。久石譲/関西フィルハーモニー管弦楽団のジルベスタースペシャル。台湾、北京、広州、香港、上海、東京と廻ってきたアジアツアーの最終公演。

全て久石さんの自作で、プログラム前半は作家性の色濃いミニマル・ミュージックから。

  • Links(JAPAN国際コンテンツフェスティバルCoFesta テーマ)
  • MKWAJU 1981-2009
  • Prime of Youth(大阪青年会議所Peace Conference 2010 テーマ)
  • The End of the World(全3楽章)

Linksは変化するリズムが面白い。MKWAJUはマリンバ、マラカス、ボンゴなどリズムセクションが充実。Prime of Youthは複雑な変拍子で、奏者がよく入るところを間違えないなぁと感心。

The End of the Worldは「After 9.11」をテーマにした作品。第1楽章Collapseは鐘の音が印象的。第2楽章Grace of the St.Paulはチェロのソロが悲痛な歌を奏で、オーケストラがJAZZYにSWING。第3楽章Beyond the Worldはリズムが躍動する。

休憩を挟み後半は映画音楽中心で、

  • おくりびと
  • 魔女の宅急便(海の見える街)
  • 千と千尋の神隠し(あの夏へ)
  • 菊次郎の夏(Summer)
  • 天空の城ラピュタ
  • 崖の上のポニョ
  • Oriental Wind(サントリー「伊右衛門」CM曲)

おくりびとからSummerまでの4曲は金管がホルンのみで、トランペット・トロンボーン・チューバはなし。

おくりびとはチェロのソロとピアノの対話が叙情的。魔女の宅急便にはヴァイオリン・ソロがあり、天空の城ラピュタはトランペット協奏曲仕立て。Summerはジャズ・ピチカートが良かった。

全て新たなアレンジ。名曲の数々に酔いしれた。

アンコールは

  • 風の谷のナウシカ(鳥の人~メイン・タイトル)
  • Wave(ピアノ・ソロ)
  • となりのトトロ
  • もののけ姫~アシタカとサン(ピアノ・ソロ)

風の谷のナウシカで客席は最高潮に盛り上がり、スタンディング・オベーションに。

Waveは宮崎駿さんの誕生日に久石さんが贈った曲だそう。

となりのトトロが終了し、オーケストラの楽員全員が引き上げても拍手が鳴り止まず、久石さんが一人だけ再登場し、アシタカとサンを弾いて下さった。

とっても素敵な大晦日の夜だった。

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2011年1月 3日 (月)

繁昌亭・新春公演 (1/1、1/2)

一月一日 第一回公演

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  • 笑福亭たま/憧れの人間国宝(たま 作)
  • 桂 文三/十徳
  • 桂 米左/豊竹屋
  • 来世楽(らせら)/津軽三味線
  • 桂 小枝/愛宕山
  • 桂朝太郎/マジカル落語
  • 桂 文福/大相撲風景
  • 笑福亭仁智/源太と兄貴(仁智 作)

開口一番のたまさんはショート落語の傑作選を披露した後、新作をされたので度肝を抜かれた。きっちり15分で最後まで、さすがである。

津軽三味線って、力強くて打楽器的なところもあるんだなと感心した。

キダ・タロー作曲の新しい出囃子「小枝ブルース」とともに登場した小枝さんはマクラなしで一気にネタへ。真摯な高座であった。これが文枝一門の「愛宕山」なのか……細部で色々違いがある。最後は幇間の一八がちゃんと小判を持って戻ってくる独自のサゲ。これには驚かされた。

文福さんは謎かけ、日本昔話、相撲甚句などを経てネタへ。まぁいつも通りの内容だが、正月に聴くとめでたい。

源太と兄貴」今回は”しのぎ篇”。このシリーズには”純情篇”もある。仁智さんの鉄板ネタ。場内は爆笑の渦に。

一月二日 第一回公演

H3

  • 桂阿か枝/延陽泊
  • 桂よね吉/芝居道楽
  • 桂 福車/ぜんざい公社
  • 林家そめすけ/ものまね
  • 笑福亭松喬/禁酒関所
  • 露の団四郎/百面相
  • 笑福亭仁福/転失気
  • 林家染丸/夫婦百景(小噺)、寄席踊りー「奴さん」、「姐さん」

阿か枝さんは立て弁(ペラペラと立て板に水の弁舌を聞かせる)が鮮やか。

よね吉さんは「七段目」の後半をカットし、サゲも変えた「芝居道楽」。十八番だけに文句なし。

福車さんは色々と新しいアイディアを盛り込み、さすがベテランの上手さ。

そめすけさんのものまねは「カウス・ボタン」「いとし・こいし」「くにお・とおる」「ダイマル・ラケット」「大奥のナレーションをする岸田今日子」など。中々芸達者。

松喬さんの「禁酒関所」はようやく聴けたので嬉しかった。愛嬌ある登場人物たちが実に愉快。

染丸さんの滅多に見れない寄席踊りも良かった。

正月ならではの贅沢な興行を堪能した二日間だった。

   

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トリイどっかんBROTHERS Vol. 3

12月28日トリイホールへ。

Dokan

  • 月亭遊方/公園の幼児ん坊(遊方 作)
  • 笑福亭鶴笑/平林(パペット落語)
  • 桂 文華/親子酒

それぞれの噺の前に三人が一緒に出てきて雑談し、マクラとなる構成。この雑談がむちゃくちゃ可笑しい!

お客さんは回を重ねるごとに増えているようで、口コミでその面白さが伝播していっているのだろう。

遊方さんは声が出ない状態で、ネタを直前に変更。年を取ると唾液の分泌が減る人が多い中(だから高座でお茶を飲む噺家もいる)、遊方さんは年々唾液が増えているとか。

前回の「どっかんBROTHERS」で、鶴笑さんがパペットをしなかったら「がっかりした。金返せ」とアンケートに書いた人があったそう。

また面白い名字(姓)についての話題も。「四月一日」(わたぬき)、「一」(にのまえ)、「小鳥遊」(たかなし←天敵=鷹がいないから)、「春夏秋冬」(ひととせ)、「八月一日」(ほずみ)等が紹介された。

また字画の話題から、文華さんの弟子・華紋さんは米團治さんに画数を見てもらったと。

鶴笑さんの「平林」は中国人、インドネシアの留学生、たばこ屋のおばぁちゃんなどが登場、途中劇中劇として指人形「赤ずきんちゃん」があったり、丁稚の定吉が歌って踊り、旦那とのバトルもあったりと腹を抱えて笑った。

文華さんの「親子酒」は酔っ払いの演じ分けが上手い。過剰な人々が登場し、えげつない演出でさすが繁昌亭大賞受賞者。ひと味もふた味も違った。

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2011年1月 2日 (日)

名探偵ナンコ 〜蘇れ!探偵講談〜 /旭堂南湖

12月26日、ワッハ上方 小演芸場へ。講談師・旭堂南湖さんの会。

N1

  • 旭堂南湖/ホームズ 黄色い顔(ドイル 原作)
  • 旭堂南湖/柳田格之進
  • 旭堂南湖/明治探偵講談 ハブ娘
  • 芦辺拓&南湖/対談 ミステリあれこれ

会場の入りは24人くらい。前回南湖さんの勉強会は8人くらいだったので、盛況と言えるだろう。南湖さんはプログラムのコピーを10部しか用意していなかったそうで、これだけ客が入るのは想定外だったようだ。

推理作家・芦辺拓さんとの対談では江戸川乱歩の推理小説に登場する名探偵・明智小五郞が当時の講釈師・神田伯龍がモデルであるという話が出た。へぇ〜。

また手塚治虫と共に名作「新宝島」を書いた酒井七馬が左久良五郎 名義で発表した紙芝居「原子怪物ガニラ」を南湖さんが発掘し、高座にかけた時の話題も。

「柳田格之進」は南湖さんがこの度文化庁芸術祭新人賞を受賞した世話講談。人情味溢れ、しみじみと胸に染み渡る一席。

講談のホームズは明治末期に翻案されたものだそうだが、心斎橋にベーカー街があったり、おでんが登場したりして面白い。

「ハブ娘」は珍しく沖縄が舞台。これは長講だそうで、今回は物語の発端のみ。続きが気になる。

大変充実した会だった。

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