柳家喬太郎・柳亭市馬「二人のビッグショー」/笑福亭たま「ナイトヘッド」
1月29日(土)、トリイホールへ。市馬・喬太郎 二人会。
- 桂 雀五郎/みかん屋
- 柳亭 市馬/高砂や
- 柳家喬太郎/綿医者
- 柳家喬太郎/紙入れ
- 柳亭 市馬/首提灯
市馬さんは「正月の鏡餅を見ると喬太郎の体型を思い出す」と。「高砂や」は自慢の喉を活かした一席。
今年四十八歳で年男の喬太郎さんは「タクシーの助手席に座っていた時、後部座席の(入船亭)扇橋師匠から、『ところで喬太郎くんは六十何歳?』と真顔で訊かれました」大腸ポリープが見つかり、3日間入院して内視鏡的切除術(大腸ポリペクトミー)を受けられたそうで、「通常は《出す》ところから《入れられる》というのは奇妙な体験でした。《目覚め》たらどうしようと心配でした」と。場内大受け。十数年前には髄膜炎で入院され、ナイスバディで唇に赤いルージュを塗った、舌足らずの女医さんに骨髄穿刺を5回くらい受けたときの爆笑エピソードも。髄膜炎による頭の痛みは映画「スキャナーズ」(1981、デヴィッド・クローネンバーグ監督)で描かれた「脳味噌が爆発する感じ」だそう。そしてシュールなネタ「綿医者」へ。巧みな導入。
仲入りを挟み、喬太郎さんのニ席目は間男小咄から「紙入れ」へ。またこの時、市馬さんが触れた「火山ができるまで」を寝転がり、腹芸で披露。最初の「地殻変動」でお腹がブルブルッと震えて、最高に可笑しかった。
続く市馬さん、「怪しい一席でした」と。そして落語「胴斬り」のエッセンスも語りつつ、「首提灯」へ。へぇ、こういうアプローチもあるのか!と膝を叩いた。首を切られてもその事実に気が付かない主人公が、歩き出すと首が次第にずれてくる表現法に味があった。
会がはねて、地下鉄で繁昌亭へ移動。
21時45分開演。
- 林家市楼/猫魔寺
- 笑福亭たま/鼻ねじ(隣の桜)
- 桂 三歩/早口言葉
- 笑福亭たま/新作ショート落語+ふたりの忠信(仮題)
「猫魔寺」は三代目 林家染語楼の原作で、落語作家・小佐田定雄さんが脚色した怪談噺。正直、同じ染語楼(作)「青空散髪」同様、そんなに面白くない。なお、作者は市楼さんの祖父にあたる。
たまさんの「鼻ねじ」は2回目だが、ハイテンションでダイナミック、ますますエキサイティングなものに。ハメモノ(お囃子)とのあ・うんの呼吸も絶妙だった。
芸歴30年のベテラン三歩さんは酒に酔っていたのか、「バナナババロア」という早口言葉(しかも全然早くない)を繰り返すばかりで、一向にネタに入る気配がない。最後はたまさんに助けを求め、舞台袖に引っ込むという醜態を晒した。「わけわからん」と客席から怒りの声。
予定より早く再登場となったたまさん。出囃子を引き伸ばしすぎるので「あれでは(お囃子さんの)血反吐が出るよ」と東京のお師匠さんから苦言を呈されたとか。今回の新作ショート落語は不発。
「ふたりの忠信」(仮題)は昔たまさんが書いた新作「Nobu(のぶ?)」を大幅に改稿したものだそう。快楽殺人鬼と、犯人に間違われた男の噺。プロット自体が古典落語「猫の忠信」のパロディで、途中「初天神」のフレイバーも振り撒かれる。発想はいいと想うが、未整理な印象だった。
帰り際、「たまさんの一席目が良かったね」「そうだね」という会話を耳にした。全く同感。
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