クリスティーネ・ショルンスハイム/平均律クラヴィーア曲集 第1,2巻
大阪倶楽部へ。日本テレマン協会マンスリーコンサート スペシャル!クリスティーネ・ショルンスハイムのチェンバロを2夜にわたり聴く。
- J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第1巻(12/11)
- J.S.バッハ/平均律クラヴィーア曲集 第2巻( 1/20)
ショルンスハイムはミュンヘンの音楽芸術大学チェンバロ科教授。チェンバロおよびフォルテピアノの名手として知られるアンドレアス・シュタイアーに師事し、彼とのデュオ・リサイタルを日本でも開いた。彼女の詳しいプロフィールはこちら。日本テレマン協会で活躍する高田泰治さんは定期的にドイツに渡り、ショルンスハイムの薫陶を受けている。つまりシュタイアーの孫弟子ということになる。
バッハの平均律はそれぞれの巻が24曲からなる。1曲ごとに自由な形式のプレリュード(前奏曲)+厳格なフーガで構成され、ハ長調からスタート。2曲目がハ短調で、長調・短調を交互に繰り返しながらハ(ド)→嬰ハ(ド#)→ニ(レ)→変ホ(ミ♭)→ホ(ミ)といった具合に半音ずつ調が上昇していく。ショパンの「24の前奏曲」やショスタコーヴィチの「24の前奏曲とフーガ」は勿論、この作品に触発されたものである。
バッハの音楽は数学的・規則的であり、幾何模様のタペストリーを織り成す。均衡と調和の美しさ。それは人間的な感情を越え、調性の宇宙の彼方から絶対的な神の声が聴こえてくる。
平均律クラヴィーア曲集は完璧であり隙がない。それが長所でもあり、(面白みに欠けるという)短所でもある。結局、バッハの後に登場した古典派やロマン派の作曲家たちがした作業というのは、天上の高みにまで達してしまったバッハの音楽をいま一度、人間の俗世に引き戻す作業ではなかったのか?と僕はこの曲を聴きながら考えた。
ショルンスハイムの演奏はカチッとした構築性がある。虚心坦懐に淡々と弾き、その響きは毅然として誇り高い。しかし同時に音楽の歓び、作曲家の息遣いが伝わってきた。
コンサートは19時に開演し、終了したのは21時45分であった。
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