ユベール・スダーン/大阪交響楽団 定期
ザ・シンフォニーホールへ。
ユベール・スダーン/大阪交響楽団で、
- ベートーヴェン/序曲「コリオラン」
- ベートーヴェン/ピアノ協奏曲 第4番
- フォーレ/組曲「ペレアスとメリザンド」
- ルーセル/交響曲 第4番
ピアノ独奏は小菅 優。
オランダ出身の指揮者スダーンは2004年から東京交響楽団の音楽監督に就任し、同楽団を一気に日本一のレベルまで引き上げた《オーケストラ・ビルダー》としての評価が高い。音楽評論家が選んだ「レコード芸術」誌オーケストラ・ランキングで東響はNHK交響楽団を抜かし、No1の評価を得た(ちなみにこの時、関西のオケは一票も入らなかった)。
スダーンと言えばハイドンやモーツァルトでオケにピリオド(ノン・ヴィブラート)奏法を要求することで有名だが、ベートーヴェンは普通にヴィブラートをかけて演奏したので、むしろ驚いた。これはベートーヴェンの時代で方法論を切り替えるのか、今回は手兵の東京交響楽団ではなく、客演だからそこまで求めなかったのかは不明。
小節の頭は音を叩きつけるように奏で、音尻はあくまで短い。荒々しいまでに振幅の大きな音楽が展開された。
小菅さんのソロは繊細だがタッチに力強さがなく、歯切れの悪い曖昧な演奏に終始した。多くの女性ピアニストが抱える問題点が浮き彫りにされる結果となった。
むしろアンコール武満徹/Rain Tree Sketch 1の方がペダルを踏みっぱなしで、彼女の資質にあっている気がした。
良かったのは後半のフランスもの。スダーンのフォーレは甘くなく、各声部の旋律線がくっきりと浮かび上がる。「前奏曲」から恋人たちの心臓の鼓動が聴こえるよう。「シシリエンヌ」は速めのテンポでリズミカル。ああ、これは舞踏曲なんだなぁと初めて気が付いた。「メリザンドの死」では決然と死を受け入れる高潔なヒロイン像が見えた。むしろそこには生の輝きがあった。
ルーセルはマグマが噴出するような凄まじいエネルギーが感じられる演奏。どんどん変化するリズムが面白い。
スダーンという人はリズム感が抜群な指揮者であることを認識した夜だった。
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