松田理奈ヴァイオリン・リサイタル/ツィゴイネルワイゼン
昔からクラシック音楽業界には”美人演奏家”というジャンルが存在する。実力はそれほどでもないが、容姿で人気があるタイプである。
しかし最近は日本の優れた音楽教育の結果、見た目の美しさと内面的実力を兼ね備えた演奏家もちらほら出てくるようになった。
現在、世間の注目を集めている美貌のヴァイオリニストと言えば、日テレ「NEWS ZERO」のキャスターとしても活躍中の宮本笑里、そして南紫音、松田理奈らがそれに該当する。
その松田理奈のリサイタルを兵庫県立芸術文化センターで聴いた。ピアノ伴奏は江口玲。入場料はA席2,000円、B席1,000円。
- モーツァルト(クライスラー編)/「ハフナーセレナード」より”ロンド”
- グルック(クライスラー編)/歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」より”メロディ”
- ポンセ/エストレリータ
- マスネ/タイスの瞑想曲
- サラサーテ/ツィゴイネルワイゼン
(休憩) - イザイ/無伴奏ヴァイオリンソナタ 第3番「バラード」
- ブラームス/ヴァイオリン・ソナタ 第3番
プログラム前半は普段クラシック音楽を聴かない人々にも親しみやすいポピュラーな小品を並べ、後半は渋めの、自分が本当にやりたい勝負曲で真価を問うという、したたかな構成。
モーツァルトやグルック、マスネでは深みのある甘く豊かな音色で聴衆を魅了。また彼女の奏でるハーモニクス(フラジオレット=倍音)はとても美しい。
メキシコの作曲家ポンセでは芯がしっかりして強靭な音を聴かせた。
「ツィゴイネルワイゼン」は冒頭から野太い音を奏で、劇的な表現力でロマ(ジプシー)の濃厚さが醸し出されていた。
ブラームスではこの作曲家固有のメランコリーが感じられ、陰影のある音楽が展開された。非常に聴き応えのある演奏であった。
松田理奈、25歳。天は彼女に類希なる美貌と才能を授けた。この世の中って、やっぱり不公平に出来てるよなぁと感じた、日曜の昼下がりであった。
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