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2010年11月29日 (月)

カルミニョーラ&ヴェニス・バロック・オーケストラの「四季」

兵庫県立芸術文化センターへ。

K01

イタリアの名ヴァイオリニスト、ジュリアーノ・カルミニョーラヴェニス・バロック・オーケストラの共演。ガット弦を張った古楽器による演奏。カルミニョーラが使用しているのはストラディヴァリ最晩年(1732年)88歳のときに製作された”バイヨー1732”という楽器。

曲目は下記( * 印はヴェニス・バロック・オーケストラ単独)

  • アルビノーニ/弦楽と通奏低音のための四声の協奏曲 *
  • ガルッピ/弦楽と通奏低音のための四声の協奏曲 *
  • タルティーニ/弦楽と通奏低音のための四声のソナタ第3番 *
  • ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲「狩り」
  • ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲「海の嵐」
  • ヴィヴァルディ/《調和と創意への試み》より「四季」

ヴェニス・バロック・オーケストラは13名で、弦楽器およびチェンバロとアーチリュート(通奏低音)という編成。

音は真っ直ぐ伸び、あくまで軽やか。歯切れはいいが攻撃的ではない。今回はリーダーのアンドレーア・マルコンが来日せず、彼ら単独での演奏は大人しく微温的で、些か物足りなかった。

しかしカルミニョーラが登場するやいなや、がらっと演奏スタイルは変化した。彼の紡ぐ音には弾性があり、挑発的で刺激的。畳み掛ける緊張感があった。「海の嵐」は激しく、悪魔のような気迫が感じられた。

「四季」もスタイリッシュで切れがあった。「夏」の第1楽章は乾いた感じ、渇望があり、第3楽章プレストは、他の奏者と目で対話しながらの丁々発止のやりとりがスリリング。「冬」の第1楽章は薄氷を踏むような凍てつく寒さがあり、第2楽章では暖炉の傍らで談笑する温もりが感じられた。

アンコールは、

  • ヴィヴァルディ/《調和と創意への試み》より 第6曲 第1楽章
  • タルティーニ:ヴァイオリン協奏曲 イ長調 D-96 第4楽章
  • ヴィヴァルディ:《調和と創意への試み》より 「夏」 第3楽章

「夏」のテンポはさらに速く、激しく。これぞバロック!

僕が小学生の頃、クラシック・レコード売り上げトップテンに必ず入っていたのはイタリアの合奏団、イ・ムジチが演奏する「四季」(ヴァイオリン独奏:2代目コンサートマスターのミケルッチ)だった。彼らのはモダン楽器を使用し、ヴィブラートをたっぷりかけたスタイル。当時はそれが当たり前だった。

しかしここ20-30年の間に、バロックや古典派音楽を取り巻く環境は完全に変わった。今やヴィヴァルディはバロック・ヴァイオリンを用い、ノン・ヴィブラート(ピリオド)奏法するのが主流であり、イ・ムジチは時代遅れの過去の遺物に成り果てた。何だか不思議な気がする。しかし最早、後戻りすることなど出来はしない。

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