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2010年11月

ピルナイって作曲家、知ってる?/一筋縄ではいかぬ児玉宏の名曲コンサート

ザ・シンフォニーホールへ。

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児玉宏/大阪交響楽団による名曲コンサート。

  • ワーグナー/ニュルンベルクのマイスタージンガー
  • ピルナイ/ドイツ流行歌の愉快な遊び
  • ベートーヴェン/交響曲 第3番「英雄」

何といっても注目は2曲目のピルナイだろう。当日会場で、既に聴いた経験のある人は皆無だった筈。ここに児玉さんの「名曲とは何か?」という問題提起がある。

果たして普段からしばしば耳にする作品は本当に名曲なのか?一方、演奏される機会の少ないものは聴く価値がないのだろうか?

ドイツ流行歌の愉快な遊び」が作曲されたのは1968年。小編成のオーケストラとピアノにより、まず1920年代ドイツのビアホールで流行った歌「膝で何する、親愛なるハンス」がテーマとして演奏される。第1変奏はバッハ風。ピリオド(ノン・ヴィブラート)奏法で弾かれる。第2変奏はモーツァルト「魔笛」風。第3変奏はピアノの分散和音がシューベルトの歌曲を彷彿とさせる。第4変奏はピアノ・ソロでメンデルスゾーン「無言歌」を。第5変奏はロッシーニ「セビリアの理髪師」仕立てでクラリネット・ソロがオペラのアリアに見立てられる。第6変奏はトランペットが勇壮にヴェルディ「アイーダ」凱旋行進曲の雰囲気を描く。第7変奏はプッチーニ「蝶々夫人」の登場で、弦楽器が夢見るような甘美なヴィブラートを奏でる。第8変奏は厳しくレーガー「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ」風。第9変奏は音楽がうねり、R.シュトラウス「ドン・ファン」もどき。第10変奏は十二音技法でシェーンベルクをからかう。そして第11変奏はリストのピアノ協奏曲で始まり、「ハンガリー狂詩曲」風味に早変わり。これぞ音楽の冗談。機知に富んだ大人の遊びが展開された。

こういった趣向を楽しめるかどうかは、原曲に対する知識があるかどうかに左右される。つまり、聴衆の音楽的教養が試されることにもなるわけだ。児玉さん、お主も中々の策士よのぅ……。

ワーグナーはどっしり堂々とした演奏で、しなやかに歌う。中間部では軽やかに。

休憩を挟み後半のベートーヴェンはしばしば「英雄」第1楽章で聴かれる気宇壮大な解釈ではなく、むしろ押さえ気味。室内楽的と言えるかも知れない。繊細で明晰、歯切れがいい。作曲家がスコアに記したメトロノーム記号に即した速めのテンポ。第2楽章も悲劇性はあるが、決して荘厳にならず推進力、勢いがある「葬送行進曲」だった。僕は当初戸惑い、「児玉さんの意図はどこにあるのだろう?」と考えて、はたと気付いた。

このシンフォニーはフルトヴェングラーやカラヤン、ベームの時代、第1,2楽章と第3,4楽章の齟齬がしばしば問題となった。つまり「重い」前半と比較し、後半の音楽は「軽い」のだ。ところが児玉さんの解釈で聴くと、その落差が消え、違和感が無くなるのである。筋肉質に引き締まったベートーヴェン。見事なアプローチだった。
 

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さあ、カイシで~す!! in 繁昌亭 ~オール新作落語の会~

桂かい枝さんの落語会

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全て演者自身の新作が披露された。

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  • 笑福亭智之介/マジカルうどん屋
  • 桂かい枝/恋するオ・ト・メ
  • 桂 雀喜/ダンゴマン
  • ナオユキ/漫談
  • 桂かい枝/短パン刑事

智之介さんは手品を披露しながらの口演。設定に無理はあるが、ユニーク。サゲも上々。

雀喜さんは最初、桂米朝さんに弟子入り志願したが断られ、雀三郎師匠を紹介されたエピソードをマクラに。なかなか米朝・大師匠に名前を覚えてもらいないことをぼやく。「ダンゴマン」を聴くのは2回目。奇を衒っているだけで詰まらない。

ナオユキさんの呟くような漫談はじわじわ可笑しみがこみ上げてくる。いいねぇ。

かい枝さんの新作には「ハル子とカズ子」という名作(NHK新人演芸大賞受賞)があり、センスある人だなぁと感心しつつも、作品数が少ないことを残念に想っていた。

マクラでは落語における魔法の言い回し「わぁわぁ言うとります……でございました」を紹介。これを覚えておけば、どんな場面でも噺を切れると。「わぁわぁ落ち」というそう。落ちてないけど。「恋するオ・ト・メ」は女子高生がデートする噺で、お相手は「冬のソナタ」のヨン様風に甘い言葉を囁く男と、理数系の堅物。その対比がすこぶる痛快。

短パン刑事」は新米刑事にニック・ネームを付ける所から始まり(「太陽にほえろ!」のパロディ)、謎かけへと続く爆笑篇。いやぁ、笑った笑った。しかしあっけない終わり方で、些か物足りない感も。今後後半が膨らめば、さらに面白くなりそう。

かい枝さんの豊かな才能を再認識した会だった。是非これからもどんどん新作を発表して、「繁昌亭創作賞」を狙って下さいね!期待しています。

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宗助ひとり会/亀屋寄席(11/28)

大阪・高槻市にある割烹旅館「亀屋」へ。

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  • 笑福亭呂竹/寄合酒
  • 桂   宗助/不動坊
  • 桂    宗助/蔵丁稚

呂竹さんは開口一番「落語会の市川海老蔵です」と。タイムリーなネタだけに大うけ。

不動坊」は風呂屋での妄想の場面が、なんとも愉しい。

芝居噺「蔵丁稚」のマクラで宗助さんは、歌舞伎における様々な”泣く型”を披露。これが見応えがあり、圧巻だった。また本編では丁稚さんの可愛らしさに参った。

上方落語において「丁稚を演じさせたら右に出るものなし」と言われているのが桂雀々さん。雀々さんが描くのは、鼻水垂らしたアホそうな丁稚。一方、宗助さんが描く丁稚はもっと賢く、愛くるしい。精一杯生きているのだけれど、そこは子供。ついた嘘を直ちに大人たちに見抜かれてしまう。そんな印象を受けた。どちらも魅力的で、僕は好きだなぁ。

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カルミニョーラ&ヴェニス・バロック・オーケストラの「四季」

兵庫県立芸術文化センターへ。

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イタリアの名ヴァイオリニスト、ジュリアーノ・カルミニョーラヴェニス・バロック・オーケストラの共演。ガット弦を張った古楽器による演奏。カルミニョーラが使用しているのはストラディヴァリ最晩年(1732年)88歳のときに製作された”バイヨー1732”という楽器。

曲目は下記( * 印はヴェニス・バロック・オーケストラ単独)

  • アルビノーニ/弦楽と通奏低音のための四声の協奏曲 *
  • ガルッピ/弦楽と通奏低音のための四声の協奏曲 *
  • タルティーニ/弦楽と通奏低音のための四声のソナタ第3番 *
  • ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲「狩り」
  • ヴィヴァルディ/ヴァイオリン協奏曲「海の嵐」
  • ヴィヴァルディ/《調和と創意への試み》より「四季」

ヴェニス・バロック・オーケストラは13名で、弦楽器およびチェンバロとアーチリュート(通奏低音)という編成。

音は真っ直ぐ伸び、あくまで軽やか。歯切れはいいが攻撃的ではない。今回はリーダーのアンドレーア・マルコンが来日せず、彼ら単独での演奏は大人しく微温的で、些か物足りなかった。

しかしカルミニョーラが登場するやいなや、がらっと演奏スタイルは変化した。彼の紡ぐ音には弾性があり、挑発的で刺激的。畳み掛ける緊張感があった。「海の嵐」は激しく、悪魔のような気迫が感じられた。

「四季」もスタイリッシュで切れがあった。「夏」の第1楽章は乾いた感じ、渇望があり、第3楽章プレストは、他の奏者と目で対話しながらの丁々発止のやりとりがスリリング。「冬」の第1楽章は薄氷を踏むような凍てつく寒さがあり、第2楽章では暖炉の傍らで談笑する温もりが感じられた。

アンコールは、

  • ヴィヴァルディ/《調和と創意への試み》より 第6曲 第1楽章
  • タルティーニ:ヴァイオリン協奏曲 イ長調 D-96 第4楽章
  • ヴィヴァルディ:《調和と創意への試み》より 「夏」 第3楽章

「夏」のテンポはさらに速く、激しく。これぞバロック!

僕が小学生の頃、クラシック・レコード売り上げトップテンに必ず入っていたのはイタリアの合奏団、イ・ムジチが演奏する「四季」(ヴァイオリン独奏:2代目コンサートマスターのミケルッチ)だった。彼らのはモダン楽器を使用し、ヴィブラートをたっぷりかけたスタイル。当時はそれが当たり前だった。

しかしここ20-30年の間に、バロックや古典派音楽を取り巻く環境は完全に変わった。今やヴィヴァルディはバロック・ヴァイオリンを用い、ノン・ヴィブラート(ピリオド)奏法するのが主流であり、イ・ムジチは時代遅れの過去の遺物に成り果てた。何だか不思議な気がする。しかし最早、後戻りすることなど出来はしない。

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第23回全日本マーチングコンテスト(高校以上の部)2010 後編

この記事は第23回全日本マーチングコンテスト(高校以上の部)2010 前編と併せてお読み下さい。

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さて、関西以外の金賞団体の感想を書いていこう。

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東関東代表
船橋市立船橋高等学校 曲は歌劇「トゥーランドット」~喜歌劇「微笑みの国」~喜歌劇「こうもり」~歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」。喜歌劇は鈴木英史さんのアレンジ。大変人数が多く、隊列が綺麗に揃っている。また生徒さんたちの歌声が爽やかだった。

柏市立柏高等学校(市柏) 曲はサーカス・ビー~組曲「展覧会の絵」より。赤ブレザーに白いハットが印象的。ここも人数が多い。だから見栄えがする。高速・精密な演奏に舌を巻く。またピカピカに磨き上げたシンバルが鮮烈で、最後はそれで回転する花模様を描き、美しかった!

習志野市立習志野高等学校 必殺!~Gメン75~大江戸走査網~鬼警部アイアンサイド~はぐれ刑事純情派~ワンダフルガイズという構成。吹奏楽コンクールは不本意な結果に終わった習志野だが、今回は弾けていて高校生らしく、良かった。冒頭のトランペットのソロが上手い!そして人文字で"G75"を描く。隊の先頭を行く生徒が法被を着て「御用」と書かれた提灯を持ち、盗人を追いかけて、途中で刑事風トレンチコートに着替えるといった小芝居もあって面白かった。

九州代表
熊本県立熊本工業高校 曲はAsian I, II(原 幸雄)。ここは和の調べで独自の世界を築いていた。途中、沖縄民謡の節回しも。演奏は少々荒っぽいが、音はよく出ていた。

玉名女子高等学校 セントルイス・ブルース~バンドワゴン(P.スパーク)~ムーンライト・セレナーデ~スウィング・スウィング・スウィングという構成。ここはきびきびした動きと、低音部(トロンボーン、ユーフォニアム、チューバ)の厚みのあるサウンドに特徴がある。後半はしっかりスウィングし、パンチ力と熱狂があった。お見事!

佐賀学園高等学校 曲はアトランティス(樽谷雅徳)。人数が多く、隊列の直線が真っ直ぐ整って綺麗。演奏も上手い。そして14人のカラーガード隊が蝶のように舞い、とても良かった。

金賞校以外も印象に残った団体をいくつか。

西関東代表
群馬県立高崎商業高等学校 銅賞という結果であったが、ドラムメイジャーの女子生徒がのバトン捌きが速く、上手かった。

埼玉県立伊奈学園総合高等学校 曲はアニヴァーサリー・ファンファーレ(森田浩一)~マーチ・エイプリル・メイ(矢部政男)~歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(宍倉晃 編)。色とりどりの旗を持ったカラーガード隊12人の演技が美しかった。宇畑知樹 先生自ら指揮され、心を込めた演奏が展開された。ここは伝統的に金管(特にホルン)が弱く、それ故の銀賞と推察するが、僕は金賞に値する内容だったと想う。

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さて、表彰式の前にエキシビションプレーがあり、登場したのはジャパンカップ9連覇を達成した、箕面自由学園高等学校チアリーダー部"GOLDEN BEARS"だった。実は今年「ジャパンカップ2010チアリーディング日本選手権大会」において、箕面の10連覇を阻止したのは大阪・梅花学園高校レーダースであり(テレビ「笑ってコラえて!」でも取り上げられた)、もしかしたら梅花が登場するのではないかと期待していた。しかし、さすが"GOLDEN BEARS"は見事な演技で、今まで見たことのない新技も披露してくれた。

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月亭可朝 登場/繁昌亭昼席~上方講談を聞く会 (11/25)

11月25日、繁昌亭昼席へ。

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220人以上の入りで、補助席も出る盛況。

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  • 桂 福丸/時うどん
  • 桂 三弥/転失気
  • 桂 出丸/酒の粕
  • 伏見龍水/曲独楽
  • 桂 勢朝/ハイウェイ歌合戦(小佐田定雄 作)
  • 月亭可朝/坊主茶屋
  • 笑福亭鶴笑/紙切
  • 笑福亭仁扇/池田の猪買い
  • 林家花丸/鉄砲勇助
  • 桂小春團治/職業病(小春團治 作)

開口一番の福丸くんは、たった10分の持ち時間なのに喜六と清八が郭から出てくるところから最後まで演じた。当然中身はあちこち抜いてあるが、そのカットの手腕が見事で舌を巻いた。非凡なリズム感、そして声のトーンの変化。絶妙な「息と間」。文句なし。

兎に角、勢朝さんの「ハイウェイ歌合戦」が滅茶苦茶面白かった!「民主党政権編」という趣向で、観光バスに乗り込む面々が菅首相や蓮舫など政治家が多数登場。時事ネタを盛り込み、風刺が効いている。替え歌が愉しく声もいい。

出丸さんはお酒の温度によって「花冷え(10℃)、日向燗(30℃)、人肌燗(35℃)、ぬる燗(40℃)、上燗(45℃)、熱燗(50℃)、飛びきり燗(55℃)」などと呼ばれることを紹介。へぇ、やっぱり日本人の感性って繊細なんだなぁと感心した。

今回お目当てだったのは可朝さん。初体験。カンカン帽にちょび髭とスッポンメガネ、腕時計を身に付けて登場。「も~ホンマにね」を連発。

繁昌亭の昼席と夜席では客層ががらっと違う。昼は団体客、他県からの客が多い。だから昼席はある意味、上方落語のショーケースであり、噺家も演目の選択に気を使うことになる。端的に言えば「当たり障り(毒)のない、笑えるネタ」が好まれる傾向にある。

そういう意味で「坊主茶屋」は遊郭のネタで、さらに梅毒で鼻がなくなった遊女が登場するのだから昼席向きとは言えない。それを敢えて高座に掛けるというのはさすがだなと唸った(客席には確かにビミョ~な空気が漂っていたけれど)。

可朝さんは得体の知れない、(いい意味で)不気味な魅力があった。「嗚呼、これが”昭和の芸人”の匂いなんだ」と想った。十分堪能した。

鶴笑さんにはパペット落語を期待していたのだが、紙切でちょっとガッカリ(素晴らしい芸だが何度も見ているので)。福笑さんと昼席で一緒に出るときは「逃げるな!戦え!」と発破をかけられパペットを毎日されるようなのだが(→鶴笑さんの日記へ)、今回は「息抜き」週間だったのだろう。来週から「国境なき芸能団」としてイラクのクルド人自治区に行かれるそう。どうぞご無事で。

繁昌亭が跳ねた後は「上方講談を聞く会 ワッハ亭」へ。

入りは15人くらい。

  • 旭堂南斗/真田大助駿府の使者
  • 旭堂南湖/水沼の腹切魚
  • 旭堂南海/拳骨和尚
  • 旭堂南鱗/河村瑞賢

やっぱり僕は南湖さんの語り口が一番好きだな、と感じた夜だった。

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立川談志 繁昌亭初登場!/三枝・米團治 二人会

11月22日(月)、天満天神繁昌亭へ。

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桂三枝さんと米團治さんの二人会。

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開幕のご挨拶は二人ともスーツ姿でStand up talk。三枝さんから足の指の調子を問われる米團治さん。左母趾打撲が悪化し骨髄炎となり、一時入院されていたが「今は大分回復しました」と靴下を脱いでズボンをまくり上げる。「君、汚い足やな!しっかり毎日稽古して正座しとったら、足の毛は薄くなるはずやで」と三枝さんもまくり上げると、確かにつるつる!会話を続けながら、三枝さんがしきりに米團治さんの足を踏みつける真似をして客席から笑いが起こる。まるで漫才みたい。

「実は今日、東京からゲストを招いています。本当に来て下さるかどうか心配していましたが、たった今新大阪駅で身柄を確保したと連絡が入り、こちらに向かっているそうです。中入り後、三人で対談となります。本当は落語をして頂きたいところですが、色々難しいことがありまして」と三枝さん。僕はこの時点で、「きっと立川談志さんだ!」と確信した。

談志さんは昨年10月2日に大阪のシアタードラマシティで「朝日東西名人会」、翌3日は繁昌亭で「談志・三枝ふたり会」への出演が予定されており、僕は両者のチケットを購入していた。

ところが体調を崩し急遽入院されたため、「東西名人会」は談春さんが代演、「談志・三枝ふたり会」は公演中止・払い戻しとなった。

だから今回は、その果たせなかった会の再挑戦を意図したものに違いないと思い至ったのである。

番組は以下の通り。

  • 三枝、米團治/ご挨拶
  • 米市/小噺 二題
  • 三若/私がパパよ(三枝 作)
  • 米團治/掛取り
  • 談志、三枝、米團治/鼎談
  • 三枝/背なで老いてる唐獅子牡丹(三枝 作)

足の怪我が完治していない米團治さんは座椅子を使っての口演。歌劇「トゥーランドット」のアリアを替え歌で歌ったり、借金取りを作曲家尽くしで撃退したりと彼らしい高座。

そして仲入りを挟み、本当に談志さんが登場。場内がどよめき、大きな拍手が巻き起こる。「師匠に完成した繁昌亭を一度見て頂きたかった」という桂三枝・上方落語協会会長の夢が実現した場に立ち会えた、この喜び!

「いい小屋だね」と談志さん。声が掠れて出ていないが(ピン・マイク使用)、しっかりした足取りだった。「(繁昌亭も見たし)もうくたばってもいいや」

昨年の入院の時、鶴瓶さんがニセ医者の格好でお見舞いに行った件を三枝さんが振ると、「あの時は朦朧としていて憶えてねぇんだ」と。なお、そのエピソードについては以前、鶴瓶さんも詳しく語っておられる。

そして色々と芸談があり、「ミューズ(落語の神様)が下りてきた」という「芝浜」の話題(2007年12月18日よみうりホール、10枚組DVD-BOX「談志大全 上」に収録)も。

さらにパトリック・ハーランがら教わったという漂流して無人島にたどり着いた男女の小噺を披露して下さり、聴いているこちらは大満足。

談志さんは「米朝さんに挨拶してから(東京に)帰るよ」との言葉を残し、鼎談は〆となった。

トリは三枝さん。「談志師匠、昔からかっこよくて憧れていました」と。

そして若い頃、談志さんに連れられ団鬼六さんの自宅に行き、鬼六さんからSM写真が詰まった箱を見せられ「どれでも気に入ったのを持って帰ったらいい」と言われて、困ったことなどを明かされた。

「僕は落語家として、これからどう老いていったらいいのか、悩んでいるんです」と語り、老いをテーマにした「背なで老いてる唐獅子牡丹」へ。大変面白く、中身の濃い高座であった。

三枝さんはブログで、この日のことを「落語史に残るイベントだった」と振り返っておられる→こちら(写真あり)

正にその歴史的瞬間に僕も立ち会えた幸運を、今は落語の神様に感謝したい気持ちで一杯である。

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亜門版「ファンタスティックス」2010

シアタードラマシティへ。

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宮本亜門が演出するミュージカル「ファンタスティックス」を観劇。ブロードウェイでこの作品を見逃してしまった痛恨の出来事や、日本での出会いについては下記記事に詳しく書いた。

僕はこの亜門版を2003年の初演、05年の再演と観ているが、観れば観るほど味わいが増し、感動が深化するスルメのような作品。もしかしたら現時点で一番好きなミュージカルかも知れない。結局、大掛かりなバリケード(レ・ミゼラブル)とか、天井から巨大なヘリコプターが下りてくる仕掛け(ミス・サイゴン)、豪華なシャンデリア(オペラ座の怪人)なんて必要ないんだ。シンプルな物語と、素敵な楽曲さえあればいい。

菱形の舞台があり、美術装置は何もない。それを客席(ステージシート)が取り囲む。やがて8人の役者たちが登場し、2つの箱を置き、そこから色々と小道具を取り出す。オーケストラピットは4人で演奏(エレクトーン2台、ピアノ、パーカッション→写真はこちら)。たったそれだけの空間に虹のように七色の照明が当てられると、そこに魔法が生まれ、イマジネーションの世界が無限に広がってゆく。

物語の主人公は家が隣同士の青年(マット)と少女(ルイザ)。大人に憧れ、ちょっと背伸びしたくなる年頃。しかし彼らを結び付けようとする父親たちの浅はかな計画にむきになって怒り、反発した青年は未知なる世界へ飛び出してゆく。やがて現実を知った彼は傷つき、心が折れて帰郷する。再会した二人は初めて本当の幸せとは何かに気付く。そして「トライ・トゥ・リメンバー」の美しい旋律が劇場を優しく包み、観客の魂を浄化する。

なんて清々しく、愛すべき作品だろう!心打たれる名作である。

亜門版の初演でエル・ガヨ(ナレーター)を演じたのは山路和弘。マット:井上芳雄、ルイザ:高塚恵理子で、05年の再演ではルイザが大和田美帆に代わった。

そして2010年版はエル・ガヨが鹿賀丈史、マット役をテノール歌手・田代万里生(「マルグリット」でミュージカル・デビュー) 、ルイザは神田沙也加が演じた。特に若い二人が新鮮でよかった。歴代のベスト・キャストじゃないかな。田代くんは兎に角、イケメンだし歌唱力がある。同じく東京芸大声楽科を卒業した人気のミュージカル・スターといえば石丸幹二や井上芳雄が思い出されるが、彼らは声量がなく、線が細いので僕は余り好きではない。その点、田代くんの歌声は文句の付けようがない。神田沙也加は彼女のデビュー作「INTO THE WOODS」(宮本亜門 演出)を観ているし先日の「ピーターパン」も観劇したが、今回のルイザが一番のはまり役だと想った。音程は些か怪しく、声も出ていない。でも台詞は上手いし、とにかく可愛い!もうそれだけで他の全てを大目に見ようという気になってしまう。さすが一度は映画「ドラゴンヘッド」で主役を張っただけのことはある(相手役は妻夫木聡)。それから彼女は金髪がよく似合う。

「可愛いことは正義である」という真実を痛感した夜だった。

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第23回全日本マーチングコンテスト(高校以上の部)2010 前編

大阪城ホールへ。

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ここで第23回全日本マーチングコンテストが開催された。

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「高校以上の部」と言っても、出場25団体全てが高校だった。

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今年金賞を受賞したのは以下の団体。

東関東代表 市立船橋高等学校(千葉)、柏市立柏高等学校(千葉)、習志野市立習志野高等学校(千葉)

関西代表 大阪府立淀川工科高等学校大阪桐蔭高等学校

九州代表 佐賀学園高等学校熊本県立熊本工業高等学校玉名女子高等学校(熊本)

中でも大阪桐蔭高等学校柏市立柏高等学校(市柏)のパフォーマンスが抜きん出ていた。

北海道(1)、東北(2)、北陸(1)、東京(1)、西関東(2)、東海(3)、中国(2)、四国(2)それぞれの地区代表に金賞なし。北海道代表は銅賞で、東北の2団体ものみ。やはり北が低調、今年も地域格差が明白だった。

また、昨年金賞を受賞した京都橘高等学校と、福岡県の精華女子高等学校は今年、大会規定により三出休み(三連続出場後、一回休み)であった。

まずは地元・関西代表校から感想を書いていこう。

淀川工科高等学校 演奏されたのは、リンカンシャーの花束(グレンジャー)~ハイデックスブルク万歳!(ヘルツァー)~カーペンターズ・フォーエバー(真島俊夫 編)~六甲おろし(古関裕而)。淀工は毎年曲目と演技内容が同じなので、特記すべきことはない(あくまでコンクールであり、ショーではないのだから、それでいいと僕は思う)。弱音が美しく、強弱のコントラストが鮮明。ただ例年と比較すると、演奏に若干乱れがあり、サウンド面で些か危いところがあった。丸谷先生もドキッとされたのでは?会場の声援がすごく、行進で手拍子が起こったのは淀工のみ。さすが地元の強みである。

大阪桐蔭高等学校 演奏されたのはトロルドハウゲンの婚礼の日(グリーグ)~「バトル・オブ・ブリテン」よりBattle, Ending(ウォルトン)。例年、先頭ドラムメジャーのバトン捌きが鮮やかなのが、大阪桐蔭と精華女子である。回転が速く、バトンを空中高く投げ上げてキャッチする時にポジションを移動することがない。今年もお見事。そして磨き抜かれ輝くサウンド、その音圧が凄かった。最後は人文字でTOIN。危なげのない、完璧なパフォーマンスであった。なお、「バトル・オブ・ブリテン」は映画「空軍大戦略」(1969)の為に書かれた音楽。梅田先生の選曲センスが光る。

滝川第二高等学校 曲はアルセナール(ヴァン=デル=ロースト)~ジェームズ・ボンドのテーマロシアより愛をこめて。滝二はステップが綺麗で洗練されている。そして恒例ながら「アルセナール」での行進は爽やかで、スカッとした気分になる。人文字で007を描き、最後はTAKI IIで〆。行進のパフォーマンスには文句の付けようがないのだが、惜しくも銀賞だったのはやはりサウンド面での減点か?

京都府立京都すばる高等学校 昨年はだったが今年は銀賞。曲は交響詩「モンタニャールの詩」(ヴァン=デル=ロースト)。冒頭はサックス四重奏で、半ばにリコーダー四重奏が登場。正直今回は選曲ミスだったのではないだろうか?この曲はマーチングに向いていない。アルプスの雄大さが表現出来ておらず、アンサンブルの乱れが気になった。「モンタニャールの詩」は今年、全日本吹奏楽コンクールにおける東海大学付属高輪台高等学校の圧倒的名演があっただけに、分が悪かった。

関西以外の団体の感想は後編で語る予定。

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文我・宗助 二人会 (11/19)

梅田・太融寺へ。

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客は70人くらいの入り。盛況。

  • 笑福亭生寿/狸の鯉
  • 桂 文我/矢橋船
  • 桂 宗助/質屋蔵
  • 文我&宗助/ネタあれこれ
  • 桂 宗助/べかこ
  • 桂 文我/大仏餅

狸の鯉」は余り演じられないが、導入部は「狸賽(たぬさい)」と同じ。子狸が主人公への恩返しに、サイコロではなく鯉に化けるという展開。

矢橋船」は”東の旅”シリーズのひとつ。今回初めて聴いた。

べかこ」は米朝直伝で、一門では他に演じ手がないとか。他に珍しい(米朝直伝の)ネタとして宗助さんは「三年酒」「ぬの字鼠」「釜猫」といったものを持っておられると文我さんから紹介があった。

宗助さんは板場の修行を一人前になるまでやって、それでもやっぱり噺家になりたいと24歳の時に米朝師匠の門を叩いた。場所は大津市民会館の楽屋。一度は断られたが、付き添ってきたお母さんが「師匠頼みますから、うちの息子を3日だけでもええさかい置いたってください」と深々と頭を下げ、漸く入門が許されたと、その場にいた文我さんの証言。きりりとして品がある高座だった。

大仏餅」は三遊亭圓朝が三題噺で創作したと言われるもの。そのときのお題は「大仏餅」「袴着の祝い」「新米の盲乞食」だったという。ちなみに「芝浜」も圓朝が三題噺で創り、そのときのお題は「芝浜」「財布」「酔っ払い」だったとされる(この説を疑問視する声もある)。「大仏餅」は八代目林家正蔵→三代目桂文我→四代目(現)桂文我と口伝されたものだそう。「芝浜」の完成度に比べると、些か展開に無理があるなぁと想った。

珍品が色々と聴けて、値打ちのある会だった。

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森 麻季 ソプラノリサイタル(11/17)

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いずみホールへ。

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森 麻季のコンサート。ピアノは山岸茂人

プログラムは以下の通り(P = ピアノ・ソロを示す)。

  • グノー/歌劇「ファウスト」から”宝石の歌”
  • ラヴェル/シャブリエ風に P
    (グノー「ファウスト」第2幕のアリアによるパラフレーズ)
  • シューマン/歌曲集「ミルテの花」から”献呈”
  • クララ・シューマン/歌曲集「愛の春」から”美しさゆえに愛するなら”
  • シューマン/歌曲集「ミルテの花」から”はすの花”
  • シューマン/「子供の情景」から P
    知らない国々と人々について/おねだり/満足/トロイメライ
  • シューマン/歌曲集「愛の春」から”ばらと海と太陽は”
  • 越谷達之助(石川啄木 詞)/初恋
  • 山田耕筰(北原白秋 詞)/からたちの花
  • マーラー/交響曲第4番 第4楽章「天上の生活」
  • サン=サーンス(ゴドフスキー 編)/白鳥 P
  • ルッツィ/アヴェ・マリア
  • ケルビーニ/アヴェ・マリア
  • グルック(ズカンパーティ 編)/メロディ P
  • ラモー/エジプトの女 P
  • ロッシーニ/歌劇「セミラーミデ」から”麗しい光が”

アンコールは、

  • プッチーニ/歌劇「ジャンニ・スキッキ」から”私のお父さん”
  • プッチーニ/歌劇「ラ・ボエーム」から”ムゼッタのワルツ”
  • 新井 満(日本語訳詩、作曲)/千の風になって

森さんは衣装のセンスが抜群で、しかも4着用意されている。

まずはワイン色のドレスで登場、途中でラヴェンダー色に着替える。プログラム後半は白に水色の花柄で現れ、さらに紅葉をあしらった白に着替えるといった具合。

彼女の声はまるでビロードのように滑らかで艶があり、繊細かつ絶妙な弱音(ピアニッシモ)が美しい。ヴィブラートの振幅は小さく、しかも高速なので決して「嫌らしく」ならない。その澄み切った歌声に陶酔した。

ロッシーニの「セミラーミデ」はコロラトゥーラの技巧が駆使された曲で、音符がコロコロと軽やかに駆け回り、華やかで耳に心地よかった。

歌詞はフランス語、ドイツ語、日本語、イタリア語、ラテン語と多岐にわたる。演奏の合間に森さんによる丁寧な解説(お話)があり、それがとても良かった。

ピアノ・ソロでは超絶技巧の限りを尽くした作風で知られるゴドフスキー編曲による「白鳥」が大いに気に入った。無駄な装飾が過剰なまでに散りばめられた凝りまくりのアレンジで、聴いていて愉快な気持ちになった。試聴は→こちら(独奏:アムラン)

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レナード・バーンスタイン/ミュージカル「ワンダフルタウン」 

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梅田芸術劇場へ。

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レナード・バーンスタインが作曲したミュージカル「ワンダフルタウン」を観劇。これが日本初演となる。彼の系譜を見ると、

  • ミュージカル「オン・ザ・タウン」(1944年初演)
  • ミュージカル「ワンダフル・タウン」(1953年初演)
  • ミュージカル「キャンディード」(1956年初演/1989年最終改稿)
  • ミュージカル「ウエストサイド物語」(1957年初演)

という時系列となる。オリジナル作詞がベティ・コムデンとアドルフ・グリーン、この名コンビは「オン・ザ・タウン」の作詞も担当、映画の仕事では「踊る大紐育」「雨に唄えば」「バンド・ワゴン」等が有名。

まず音楽が素晴らしい。「コンガ!」あり、「スウィング」ジャズあり、そして「調子はずれのラグタイム」なんて抜群に愉しい。バラエティに富む。美しいバラードの旋律はジョージ・ガーシュウィンのそれを彷彿とさせる。

安蘭けいがコメディエンヌとして、そしてエンターティナーとして魅力を発散。彼女のスウィング感は見事。大和田美帆もコケティッシュでいい。実にチャーミング。別所哲也は誠実な演技。 

美術セットが些か地味で、オギーこと荻田浩一の演出にもう少し「洗練」とスマートさが欲しかったが、カンパニーの実力はその欠点を補って余りあるものだった。やっぱり生の舞台に勝るものはないね。「作品が呼吸している」のを肌で感じられるんだ。これはお勧め。公演は11月24日(水)まで。

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月亭遊方/とくとくレイトショー(11/15)

難波、上方ビル(鯨料理・徳家)の3階、徳徳亭へ。

月亭遊方さんの会。21時20分開演、22時35分終演。

  • 憧れのひとり暮らし(遊方 作)
  • 犬の目

遊方さんはマクラで学校寄席に行った時、中学生から「ものまねやってください!」「一発芸やってください!」とリクエストされ、どんな芸を披露されたか再現。

また、京都のBLAN BALIで1万5千円コースのSPAマッサージを受けた体験を臨場感たっぷりに語られた。これがもう抱腹絶倒で、繁昌亭では絶対聴けない深夜寄席ならではの内容。来てよかった。

犬の目」は弟弟子の八斗さんに現在、稽古を付けておられるそう。滅多に聴けない遊方さんの古典が聴けてラッキー!

この「とくとくレイトショー」は次回12月15日が最終回とのこと。名残惜しい。

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アイルランドの風 2010/アイリッシュ・ハープ&フルート

兵庫県立美術館へ。

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守安 功(アイリッシュ・フルート、ホイッスル)、守安雅子(アイリッシュ・ハープ、コンサーティーナ)、グローニャ・ハンブリー(アイリッシュ・ハープ)のコンサート。

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3人の経歴や、コンサーティーナという楽器のこと、そして「アイルランド最後の吟遊詩人」ターロック・オキャロラン(1670-1738)については昨年のコンサート・レポートに詳しく書いたので、そちらをご参照ください。

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前もって曲目は発表されず、その場の雰囲気に合わせ(インスピレーションで)次々に演奏されてゆく。だから毎回違うそう。

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今回のプログラムは(Hp.=ハンブリーのハープ・ソロを示す)、

  • 小さい妖精、大きい妖精(オキャロラン 第1作)
  • (作者不詳、1724年に出版された楽譜にある聖職者の葬式の曲)Hp.  
  • (パトリック・デイビーが鉄道をモティーフに書いた曲)Hp. 
  • ウォーラー夫人(オキャロラン)
  • (クレア地方のコンサーティナー、メアリー・マクナマラが弾いていた曲)Hp.
  • ブラーニーへの旅路(オキャロラン)Hp. 
  • ブラーニー城への巡礼(アイルランド民謡)
  • エレノア・ブランケット(オキャロラン)
  • シングル・ジグHp. 
  • 聖母マリアに捧げる曲(賛美歌)
  • イエス・キリストが生まれた日(賛美歌)
  • 無花果(いちじく)をあげるからキスして頂戴
  • (綿のなる植物の名前が付いた曲)
  • インチクィン卿(オキャロラン)
  • キースのためのラメンテーション(スコットランド民謡)Hp. 
  • (ブルターニュ半島の伝承曲)Hp.
  • あなたは私のペギーを見ていない
  • イニシア島"Inisheer"(トマス・ウォルシュ)
  • (クレア地方の伝承2曲、ハンブリーによるコンサーティーナ)
  • 酒よさらば
  • 夏の終わり(フィル・カニンガム)
  • マハラ・マウンティンズ(マーティ・ヘイジ)
  • (トマス・キャラハンの曲)Hp.
  • ディール(パトリック・デイビー)Hp.
  • ブリジット・クルーズ(オキャロラン)
  • サンザシの木(グローニャ・ハンブリー)
  • オキャロラン協奏曲(オキャロラン)
  • (1724年に出版された楽譜の1ページ目の曲)
  • 盲目の王様(作者不詳)

トマス・キャラハンという作曲家はグローニャ・ハンブリーのお友達とか。

バッハと同時代、18世紀の古い曲と現代の曲が何の違和感もなく織り交ぜて演奏される妙。

金属製のモダン・フルートとは異なり、木製アイリッシュ・フルートの音色の温もりが素敵だ。正にアイルランドの《風》、《息吹》を感じる。

ブラーニー城への巡礼」は縦笛2本を同時に奏でる。まるで汽笛みたいな音で面白い。

アイルランド南部、ブラーニー城にあるブラーニー・ストーン(雄弁の石)にキスをすると、口が達者になるという伝説があるそうで、巡礼者が絶えないとか。

ブリジット・クルーズ」は夏の海のイメージでという客席からのリクエストに応えて演奏された。いい曲だ。

アイルランド民謡は素朴で、スッと胸に入ってくる。それは《癒し》というよりもむしろ、《赦される》音楽という印象を受けた。是非また聴きたい。

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南湖だんご ~旭堂南湖話術研究会~ (11/12)

ワッハ上方・上方亭へ。

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講談師・旭堂南湖さんの勉強会。

  • 旭堂南舟/左甚五郎伝・猫餅の由来(前座)
  • 旭堂南湖/落語紙芝居 雨乞い源兵衛(作・小佐田定雄、画・中西らつ子)
  • 旭堂南湖/小夜衣草紙 ダイジェスト
  • 旭堂南湖/大石内蔵助4 松山城受取
  • 旭堂南湖/木村重成の堪忍袋

開演前に演目になかった南舟さんが一席。

南湖さんはイラストレーター・中西らつ子さんの個展「らつこてん.2」で落語紙芝居を披露(11/27)されるとのことで、今回の試演となった。「雨乞い源兵衛」はご存知の通り、桂枝雀さんが初演した、落語作家・小佐田さんの新作。個展では「皿屋敷」も披露される。

南湖さんによると以前、手塚治虫のデビュー作「新宝島」を共作した酒井七馬(さかいしちま)=紙芝居での筆名は左久良五郎(さくらごろう)の作品を口演したことがあるそう。こちらも観てみたいな。

小夜衣草紙」は怪談。へぇ、こんなのもあるんだと興味深く聴いた。なかなか飽きさせない展開。ハッピー・エンドというのもユニーク。

木村重成の堪忍袋」では《沈勇》(ちんゆう=落ち着いていて勇気のあること)という言葉を初めて知った。《茶坊主》(室町・江戸時代の武家の職名。来客の給仕や接待をした者。剃髪 していたが、出家しているわけではない)も初耳。色々勉強になる(日常生活で役には立たないけれど)。

僕は南湖さんの味のある語り口が好きだ。また行こう。

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シューマン 2010/河村尚子 ピアノ・リサイタル

いずみホールへ。

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河村尚子は兵庫県西宮市生まれ。5歳の時に父親の仕事の関係でドイツのデュッセルドルフに移り住み、現在もドイツに拠点を置き活躍中。時折日本に帰国するというスタイルを取っている。

  • メンデルスゾーン/厳格なる変奏曲
  • シューマン/クライスレリアーナ
  • シューマン/アベッグ変奏曲
  • シューマン/フモレスケ

彼女のピアニズムの特徴はペダルを踏む回数が少なく、余分な感傷を排しているところにある。

メンデルスゾーンは厳かな曲で、力強い。バッハのコラールやフーガを意識して作曲されていると感じられた(彼は100年ぶりに「マタイ受難曲」を蘇演している)。その特徴は河村さんの資質によく似合う。

クライスレリアーナ」は正確無比な表現力で感情に流されず、指が走らない。硬質な抒情があった。

アベッグ変奏曲」は20歳の作品。なんと作品番号1!シューマンは医学生の友人アウグスト・アベッグを「A-B-E-G-G」という音名に置き換え、これを主題としたピアノ作品を書いた。カチッとした演奏で音の粒が揃っている。

フモレスケ」は河村さんがクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝した時に弾いた曲だそう。その演奏が余りにも美しく、審査員たちが次々に涙を流したという逸話が残されている。

キリリとして高潔、そして清楚。あくまで楽譜に忠実、禁欲的ですらある。僕は澄み切った空気を体全体に感じた。これぞ正しく十八番!絶品。

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トロイメライ」は一音一音が研ぎ澄まされている。音量は絶妙にコントロールされ、無限のニュアンスがあった。

ショパンは抑制された抒情があり、魂の震えがあった。まるで綱渡りをしているようなバランス感覚。

河村尚子、恐るべき逸材である。僕が今まで聴いた日本人ピアニストの中で間違いなくNO.1。早速、来年4月14日(木)にザ・フェニックスホールで開催される彼女のリサイタルのチケットを抑えた。

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2010年 R.シュトラウスの旅〜大植英次/大フィル 定期

ザ・シンフォニーホールへ。

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大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団(コンサート・マスター:長原幸太)で、

  • R.シュトラウス/交響詩「ドン・キホーテ」
  • R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

チェロ独奏:堤 剛、ヴィオラ独奏:小野眞優美

ドン・ファン」はまことに優雅な演奏。大フィルからこんな音が紡ぎ出されるとは!また堤さんのチェロが雄弁だった。

ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭、宇宙の起源・人類の夜明けを描く場面からオーケストラはよく鳴り、ド迫力。腹にズシンとくるサウンド。「世界の背後を説くものについて」「大いなる憧れについて」ではグレゴリオ聖歌が登場し、ヴァイオリンが美しく歌い上げる。清浄な祈り。そして「快楽と情熱について」で音楽はうねり、次から次へと波濤が押し寄せる。「科学について」「病から回復に向かうもの」は半音階と全音階を組み合わせたフーガが厳めしく錯綜し、「舞踏の歌」では一転、優雅なウィンナ・ワルツとなる。そこには花の香りが漂い、成る程これが後の楽劇「ばらの騎士」に直結しているのだなと感じさた。終曲「さすらい人の夜の歌」は12回鐘の音が鳴り、音楽は静かに、静かに、謎めいた響きを残しながら虚空へ消えてゆく。

指揮者が手を下ろし、それを固唾を飲んで見守っていた聴衆の拍手が鳴り始めるまでの無音が素晴らしかった。

大植&大フィルの蜜月が充実期に入ったことを伺わせる、手応えのある演奏会だった。

余談だが、「ツァラトゥストラはかく語りき」はスタンリー・キューブリック監督の映画「2001年宇宙の旅」の冒頭で使用されたことは余りにも有名(試聴はこちら)。実は当初、「欲望という名の電車」「スパルタカス」で知られる作曲家アレックス・ノースが音楽を担当し、一部録音も終わっていた。しかしそれを気に入らなかったキューブリックはノースの音楽を却下、イギリスからアメリカへプレミア上映に向かう船の中で編集作業を行い、既成の音楽に置き換えた。ノースの失われた音楽はこちらで聴くことが出来る。

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進化する神尾真由子×ミロスラフ・クルティシェフ/デュオ

ザ・シンフォニーホールへ。

2007年チャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門で優勝した神尾真由子と、同ビアの部門で1位なしの第2位となったミロスラフ・クルティシェフのデュオ・リサイタル。

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僕は以前、神尾さんの生演奏をソロで2回、コンチェルトで2回聴いている。

今までの体験に基づき、彼女のイメージを一言で表現するなら情熱の赤

ところが今回、彼女は花の刺繍をあしらった純白のドレスで登場したので、意表を突かれた。

曲目は、

  • チャイコフスキー/なつかしい土地の思い出
  • チャイコフスキー/憂鬱なセレナード
  • ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ 第5番「春」
  • R.シュトラウス/ヴァイオリン・ソナタ

彼女のチャイコフスキーは線の太いカンタービレを奏でるという特徴はそのままだが、以前に比べ硬さが取れ、丸みを帯びたふくよかな音色へと変貌を遂げていたので驚かされた。「なつかしい土地の思い出」~”I. 瞑想曲”では蝶が舞うような軽やかさがあった。しかし”II. スケルツォ”では一転、激しい表現となる。そして「憂鬱なセレナード」はむせび泣くよう。

ベートーヴェンの「」はいい意味で力が抜けた演奏。一方、クルティシェフのピアノには切れがある。ヴァイオリンはピリオド奏法ではないが音尻が短めに奏でられ、意識的にチャイコフスキーと表現法を変えているのが分かった。歓びに満ち、弾けるような「春」だった。

R.シュトラウスはロマンの芳香漂う美しい曲。ここでも神尾さんは雄弁で、表現の幅が広がったなぁと感じさせた。ピアノもしっかり対等に自己主張をする。ふたりの丁々発止のやり取りがスリリング。「ああこのソナタは”合奏”ではなく”協奏”なのだなぁ」とつくづく思い知った。そして終楽章では神尾さんはそれまで抑制していた情熱を開放し、スケールの大きなクライマックスを築いた。

アンコールは、

  • クライスラー/美しいロスマリン
  • チャイコフスキー/ワルツ・スケルツォ
  • エルガー/愛の挨拶

クライスラーは風に舞う羽の如し。そしてエルガー薄桃色だった。まさか彼女からこんな演奏が聴けるとは……。

神尾真由子は日々、進化を遂げている。そして最早、向かうところ敵なし!そのことを確信させられる演奏会であった。

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バルトークとニールセン/大阪交響楽団 定期

ザ・シンフォニーホールでインボー・イシイ=エトウ/大阪交響楽団の定期を聴く。

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  • ヴォーン=ウィリアムズ/「2つの賛美歌の調べによる前奏曲」“夕暮れ”
  • バルトーク/ヴァイオリン協奏曲 第2番(ヴァイオリン独奏:漆原朝子)
  • ニールセン/交響曲 第5番

ハンガリーの民族色と現代音楽の語法を融合させたバルトークの音楽を聴いていると、同郷の作曲家ミクロス・ローザの作品(ハリウッド映画「白い恐怖」「クォ・ヴァディス」「ベン・ハー」「エル・シド」)を想い出した。漆原さんのヴァイオリンは深い音色で聴衆を魅了する。

しかし今回の白眉は何といってもプログラム後半、デンマークの作曲家ニールセンであった。

この2楽章形式のシンフォニーは20世紀の混沌を描いている。初演されたのが1922年。第一次世界大戦が終わり、第二次大戦へ向かってヨーロッパ全体が俄に動き出していた不安な時代に書かれた。客席通路から聴こえてくる小太鼓が鮮烈な印象を残す。

インボー・イシイ=エトウさんは今までにないくらい熱の入った指揮ぶりで、作品世界の計り知れない深淵を覗き込むかのような体験をさせて貰った。

滅多に聴く機会のない作品ばかりであったが、大変中身の濃い演奏会であった。

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笑福亭たま/緊急落語会(11/6)、 寒空はだか IN セキララ落語会(11/7)

11月6日(土)、動楽亭へ。客は40人前後の入り。

  • 笑福亭たま/前説・落語の時代背景
  • 笑福亭笑子/新作(仮題「42歳」??)
  • 笑福亭たま/高津の富
  • 笑福亭由瓶/足袋と帯(由瓶 作)
  • 旭堂南青/講談・忠僕元助(「赤穂義士外伝」より)
  • 笑福亭たま/プロレス(たまよね 作)

たまさんの前説は富くじが登場する「高津の富」が創作された時代における貨幣価値のお話。

シンガポール在住・笑子さんの新作は彼女得意の腹話術で内なる声を聴かせるという趣向が新鮮だった。これで内容がもっと練られれば、今後の展開に期待出来るかも。

由瓶さんの新作は入門20年目の落語家が主人公。自身はあるホールの最上階(ワッハ上方7階レッスンルームがモデル?)で20人くらいの客を前に勉強会をしているが、同じ日に同期が下の大ホール(1,300人収容)を満席にして落語会をしているという設定。その同期が「芝居噺」を三席披露しているというのがあり得ないけれど、モデルとなった人物が大方推定されて笑える。プロットの出来が良いしサゲも秀逸。落語マニア向き・楽屋受けする噺だが、一方で普遍性があるか(落語をあまり聴かない一般客でも楽しめるか)?と問われたら疑問も残る。このあたりが三枝さんの創作落語との違いだろう。

プロレス」の作者たまよねとは笑福亭たまさんと放送作家・米井敬人さんの合同ペンネーム。プロレス博物館での導入部には意表を突かれた。

さて、翌7日(日)は高津神社・高津の富亭へ。やはり入りは40人くらい。

  • 笑福亭生寿/二人癖
  • 旭堂南湖/講談・子ほめ(南湖 作)
  • 笑福亭たま/七度狐
  • 寒空はだか/漫談(タップリ)
  • はだか・たま・南湖/座談会「寒空はだかを暴く!」
  • 笑福亭たま/初天神

南湖さんが「子ほめをします」と語り始めたときはびっくりしたけれど、奥さんの妊娠から出産、赤ちゃんに名前を付けるまでの”実録もの”ですこぶる面白かった。彼独特の味わいがあって、いいなぁ。

寒空はだかさんは”真空ギター”(いわゆる口三味線)を織り込みながら漫談を展開。憂歌団の「嫌んなった」の替え歌やロシア民謡(プーチンに捧げる歌)、「マタギ」「落研ハイスクール・ロックンロール」「東京タワーの歌」などを次々に披露。

♪たわー、たわー、東京タワーにのぼったわー

という、「東京タワーの歌」が印象深かった。

たまさんの「七度狐」はベチョタレ雑炊にフグの肝やトリカブトが入っていたりと独自の味付けがあり、可笑しかった。サゲもオリジナル。

たまさんの二席目は以前、一度だけ演じたことのある月亭遊方作品をされるつもりだったそうだが(2005年「できちゃったらくご!~遊方トリビュート・ライヴ~」の「オーサカ・シネマロケンロール」か??)、本人の了承を得ようと電話してみると、とある事情で遊方さんが落ち込んでおられて、許可は下りたものの「これは止めといた方がよさそう」と判断。急遽古典に変更となった。

「青菜」「火焔太鼓」「初天神」「寝床」「質屋芝居」の中から客席の拍手で決めることに。

エキセントリックな「初天神」で中々良かったが、やっぱり”たま版”遊方作品も聴きたかったなぁ。

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大阪市音楽団 第101回定期演奏会

ザ・シンフォニーホールへ。

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プロの吹奏楽団、大阪市音楽団の定期演奏会。

今回は“吹奏楽の可能性”と題され、指揮・ピアノに渡邊一正さんを迎えた。

  • フィリップ・スパーク/シンフォニエッタ 第4番(吹奏楽版世界初演
  • リロイ・アンダソン(作)イェルク・ムルシェインスキー(編)/ピアノ協奏曲
  • キャスリン・サルフェルダー/カテドラル
  • ジュリー・ジロー/ポセイドン世界初演
  • アルフレッド・リード/オセロ

イギリスの作曲家スパークって「オリエント急行」(1996)を書いた頃よりも「宇宙の音楽」(2005)とか、このシンフォニエッタ 第4番など、近年の作品の方がより洗練されているなと想った。第3楽章はマンボのリズムでバーンスタイン作曲「ウエストサイド物語」を想い出した。

「トランペット吹きの休日」「シンコペイテッド・クロック」「ブルー・タンゴ」「そりすべり」など沢山の作品をボストン・ポップスのために書いたルロイ・アンダーソンはとても美しくロマンティックなピアノ・コンチェルトを残した。優しい気持ちになれる曲。JAZZのイディオムが取り入れられ、ガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」を彷彿とさせる箇所も多々ある。この滅多に演奏されない逸品を聴けるとは何とも贅沢。吹奏楽(用に編曲された)伴奏によるピアノ協奏曲というのも悪くない。渡邊さんはピアノの上に置かれたスコア(総譜)を自分で捲りながらの弾き振りで、見ているだけで手に汗握るパフォーマンスだった。

続くサルフェルダージローはどちらも珍しい女性作曲家。「カテドラル」はルネサンス様式の音楽を吹奏楽の語法に変換し、ミニマル・ミュージックのフレイバーをかけたたものでとてもユニーク。「ポセイドン」はギリシャの神ポセイドンを描写した音楽的肖像画。

そして泣く子も黙る吹奏楽の古典的名曲「オセロ」が登場。第1楽章「前奏曲」で聴衆に強烈なパンチを見舞い、第2楽章「朝の音楽」は一転して爽やか。第3楽章「オセロとデズデモナ」は濃厚なロマンが漂う。第4楽章「廷臣たちの入場」は勇壮なファンファーレで第5楽章「デズデモナの死、終曲」は悲痛な慟哭の音楽。

渡邊さんの指揮ぶりはとてもスマートで、余すところなく吹奏楽の魅力を描いた。

アンコールは

  • ジョゼフ・コスマ(作)リード(編)/枯葉
  • デイヴ・ブルーベック(作)S.シュワルギン(編)/トルコ風ブルーロンド

リードがアレンジした「枯葉」は暗い音色で始まり、最初はあたかも「オセロ」の続きを聴いているかのようであった(一瞬、「えっ、これはもしや組曲でカットされた『オセロ』の未発表曲?」と想った)。この配置がニクイね!

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繁昌亭夜席 大阪市民寄席~天王寺特集~

繁昌亭へ。

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  • 林家市楼/青空散髪
  • 桂 吉弥/天王寺詣り
  • 桂 米左/弱法師
  • 月亭八天/鷺取り
  • 桂 春若/一文笛(桂 米朝 作)

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青空散髪」は市楼さんの祖父、三代目林家染語楼による新作落語で昭和30-40年代の天王寺公園が舞台となる。

吉弥さんは「天王寺詣り」を、雀三郎さんから稽古をつけてもらったそう。鐘の擬音表現が面白い。死んだ愛犬クロへの情がしみじみと胸にくる。

弱法師(よろぼし)」は「菜刀息子(ながたんむすこ)」を四代目(先代)桂米團治が改題したもの。米團治の残した定本もある。元々は観世元雅 作の能が原作のようだ。表を通り過ぎる物売りの声で四季を表現するところが僕は好きだ。

八天さんの「鷺取り」は江戸っ子雀のきっぷがいいねぇ!また、後半の「俄(にわか)」でエイリアンが登場したのが愉しかった(時間の都合で「俄」はひとつだけ)。

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ブラームス=ロマン派としての解釈~大植英次/大フィル 交響曲全曲演奏会 III

ザ・シンフォニーホールへ。

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大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団(ピアノ独奏:フセイン・セルメット)で

  • ブラームス/ピアノ協奏曲 第2番
    (ソリスト・アンコール:アントニオ・ソレール/ソナタ)
  • ブラームス/交響曲 第3番

コンチェルトで大植さんは指揮棒を使い、シンフォニーは指揮棒なし。弦は対向配置。

セルメットはトルコ・イスタンブール生まれ。まぁ、はっきり言って2流のピアニストだった。ミスタッチが多くしばしば響きが濁り、均一に音を鳴らすことが出来ない。つまり第一、二指(親指、人差し指)に比べ、第四、五指の力(タッチ)が弱いのである。いつものことだが、どうして大フィルはまともなソリストを招聘できないのか?日本にだってもっと優秀な人材が沢山いるではないか。大阪交響楽団を見習うべし。

しかし、オーケストラの方は申し分なかった。以前から書いていることだが、大植さんのブラームスはベートーヴェンの遺志を受け継ぐ新・古典派としてではなく、ロマン派の作曲家としての解釈。濃密な愁いがあり、しなやかに歌う。第3楽章に波濤を感じ、第4楽章はウィットに富んでいた。

休憩を挟み後半は深まる秋のシンフォニー。正に11月に演奏されるに相応しい。

第1楽章の第1主題はびっくりするくらい速いテンポで開始されるが、途中からググッと落とす。緩急のコントラストが鮮明。そして終結部ではアクセル全快で嵐の如し。

第2楽章はメランコリックな情緒を巧みに醸し出し、第3楽章は美しいメロディ・ラインをニュアンス豊かに歌い上げる。

そして終楽章は疾風吹き荒ぶ。音楽はどんどん熱くなり、激しいうねりとなる。

大植さんのブラームスは第1、第2シンフォニーより後期の方が断然いいね!次回の交響曲 第4番にも大いに期待する。

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教会音楽シリーズ 延原武春が振るバッハ/ロ短調ミサ

11月3日(祝)の昼下がり、カトリック夙川教会へ。

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日本テレマン協会の教会音楽シリーズ。

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延原武春/テレマン室内オーケストラ(バロック楽器使用)・合唱団で、

  • J.S.バッハ/ミサ曲 ロ短調

先日、ヴィンシャーマン/大阪フィルハーモニー交響楽団(モダン楽器、モダン奏法)による同じロ短調ミサを聴いたが、テンポの遅い化石みたいな演奏で酷かった。今年聴いたコンサートのワースト・ワンと言っても過言ではない。

テレマン室内オーケストラの技量は明らかに大フィルよりも劣る。しかし今回聴いた演奏の方が、はるかに感銘深かった。延原さんの颯爽として生き生きした表現力、そしてバッハの時代の楽器によるノン・ビブラート奏法が功を奏したのだろう。宗教曲を教会で聴くという特別な体験も相乗効果になっている。

やっぱりJ.S.バッハの音楽は現代奏法(ヴィブラートの垂れ流し)では絶対に描ききれないと確信した夕べだった。

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シューマン2010 結婚の年に歌う「詩人の恋」「リーダークライス」

10/29 いずみホールへ。シューマン生誕200年を記念した演奏会シリーズ。

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ジョン・エルウィス(テノール)、渡邊順生(フォルテピアノ)で

  • 「リーダークライス」より
  • 「ミルテの花」より
  • 「詩人の恋」(1840年オリジナル20曲バージョン)

日本語のプロフィールには意図的にジョン・エルウィスの生年月日を書いていないので、英語のWikipediaで調べてみると1946年10月生まれ。つまり64歳である。だから当然、高音が掠れ、年齢による声の衰えは隠しようがない。

しかし美声であることは確かだし、十分シューマンの歌曲を堪能した。

またフォルテピアノが伴奏する歌曲というのは初体験だったが、鄙びた優しい音がするフォルテピアノは人の声によく似合う。硬質で冷たい響きがするモダン・ピアノより優れているのでは?

1840年、執拗なクララの父親の妨害工作にめげず、裁判にまで訴えて漸くロベルトは彼女と結婚することが叶った。シューマン30歳のことであった。この一年間で彼は140曲もの歌曲を生み出していく。「ミルテの花」は結婚式の前日、花嫁クララへの贈り物となった。なんともロマンティックで、幸福感溢れた歌曲集である。

「詩人の恋」は出版時にカットされた4曲を含むオリジナル・バージョンが歌われた。これも聴き応えがあった。

はっきり言ってシューマンて、交響曲よりピアノや歌曲の方が断然いいね。多分それはピアニストだったクララへの想いがより濃厚に表出しているからだろうな。

アンコールは

  • ショパン/「17のポーランドの歌」より第13曲「孤独」

ショパンが歌曲を作曲していたなんて初めて知った。いろいろと興味深い演奏会だった。

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第58回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 2010 《後編》

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この記事は、第58回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 2010 《前編》と併せてお読み下さい。

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西関東代表 埼玉栄高等学校 金賞 / 春日部共栄高等学校 金賞 / 前橋市立前橋高等学校 銅賞

昨年はディズニー・アニメ「ポカホンタス」で銀賞だった埼玉栄、今年はプッチーニ/歌劇「マノン・レスコー」で挑んだ。編曲は、大滝実先生と長年タッグを組む宍倉晃さん。大滝先生は国立音楽大学声楽科を卒業されており、常に”歌”にこだわる。一世を風靡したミュージカル「ミス・サイゴン」だってしかり(一昨年の自由曲は歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」だった)。課題曲Iから洗練された響きがあった。優しい歌心に富む。続く自由曲がピアノ・ソロから始まったのには意表を突かれた。クラリネットとの対話。そしてプッチーニの生命線であるカンタービレへ!息の長い旋律を丁寧に歌い、気持ちが途切れない。会心の演奏。

春日部共栄課題曲Vは軽やかな導入部が印象的。自由曲は福島弘和/シンフォニエッタ第2番「祈りの鐘」。ここは常に邦人作曲家の新曲紹介に力を注いできたバンド。その高い志が新たな名演を生んだ。まず冒頭、場外からの鐘の響きとステージのオーボエが聴衆の魂を浄化する。次第にテンポが速まり変拍子の難しい曲調へ。後半はステージ両サイドに設置された鐘の音が絶大な効果を発揮。いい曲だった。

市立前橋高は初出場。吹奏楽コンクールの定員は55人だが、ここは初心者3人を含む31人で臨んだ。だからファゴットなし。正に少子化の時代を象徴する出来事であった。これからこうした学校が増えてくるだろう。頑張れ!小編成バンド。ちなみに、ここの自由曲はバルトーク/「舞踏組曲」より。




東海代表 愛知工業大学名電高等学校 銀賞 / 長野県長野高等学校 銀賞 / 安城学園高等学校 銅賞

愛工大名電の自由曲は真島俊夫/「三つのジャポニスム」(II.雪の河 I.鶴が舞う III.祭り)。日本的抒情が溢れる。ソプラノ・サックスが尺八の奏法を模し、扇子と団扇を叩き合わせることで鶴の飛翔を表現する。そして祭りの熱狂。けだし名曲、いい演奏だった。

長野高課題曲IVは高校生らしい爽やかさ。自由曲はラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲。冒頭のアルペジオが曖昧模糊として、どうも全体的に歯切れが悪い。それから「全員の踊り」はもっと弾けないと!

安城学園課題曲IVは音尻の処理に甘さを感じた。自由曲はチャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」より(鈴木英史 編)。当ブログで何度も書いていることだが、チャイコフスキーは吹奏楽コンクールの鬼門である。弦楽器抜きで彼の音楽の優雅さは絶対表現出来ない。鈴木英史さんのアレンジはオペレッタではその持ち味を発揮するが、それ以外はどうも精彩を欠くなぁ。平板な印象を受けた。まぁ、選曲ミスに尽きるだろう。




関西代表 大阪桐蔭高等学校 金賞 / 明浄学院高等学校 銀賞 / 天理高等学校 銀賞

関西は今年、大阪府立淀川工科高等学校(淀工)が三出休みなので、私立校のみが代表となった。

大阪桐蔭課題曲IIIは沖縄の抜けるような青空と燦々と降り注ぐ陽光を感じさせる。輝くサウンド。指揮する梅田隆司先生が、途中でジャンプしたのが面白かった。自由曲ヴェルディ/レクイエムは解像度が高く、6人のトランペット女子が吹く音がポーンと抜け、心地好い。また「怒りの日」はパンチの効いた演奏で、ド迫力。貫禄、余裕のだった。

明浄学院課題曲IVは柔らかい音色が特徴。自由曲の高昌帥/ウインドオーケストラのためのマインドスケープは細部まで神経が行き届き、まろやかでよく歌う演奏。バランスもよく、後半のハーモニーが美しかった。

天理課題曲I、ホルンがいい音。自由曲の三善晃/「交響曲三章」より第3楽章(天野正道 編)は静謐で透明感があった。




中国代表 修道高等学校 銀賞 / 岡山学芸館高等学校 銀賞/ 江の川学園石見智翠館高等学校 銅賞

中国地区も私立校のみ。

修道は今年唯一の男子校。女子校は3校あったのだけれど。自由曲プッチーニ/歌劇「トゥーランドット」より(後藤洋 編)はメロディー・ラインがもたつき、スタッカートが明瞭でないのが気になった。

岡山学芸館課題曲Vは鋭く磨かれた音で、細部まで鮮明に響く。ドラムスの女の子が熱演。自由曲コダーイ/ガランタ舞曲(森田一浩 編)はアンサンブルの妙味が発揮されスマートな演奏。ハンガリーの匂い、民族色が感じられた。ここは金賞でもよかったのでは?

見智翠館の自由曲レスピーギ/交響詩「ローマの祭」は音をガンガン鳴らしているだけという印象を受けた。アインザッツも揃わない。




四国代表 愛媛県立伊予高等学校 銀賞/ 高知県立高知西高等学校 銅賞

四国は公立が頑張っている。

伊予高課題曲IVは平板な演奏だったが、これといったミスはなし。自由曲R.シュトラウス/楽劇「サロメ」より 7つのヴェールの踊りは特にフルートが上手かった。全体にアンサンブルが整っており、ここは過去10年銅賞が続いていたが、今年は銀賞までいけるんじゃないかと聴きながら思った。

高知西の自由曲はマスランカ/リベレーション(我を解き放ち給え)。ピアノと木琴、鉄琴の調べから始まり、グレゴリアン・チャントを彷彿とさせる美しい響きへ。途中ハミングあり。なかなかいい曲。




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九州代表 原田学園 鹿児島情報高等学校 金賞 / 玉名女子高等学校 銅賞 / 八代白百合学園高等学校 銅賞

九州地区に移ると、俄然また私立が優勢となる。しかも2校が女子校。今年3出休みの精華も女子校。

さて、日テレ「笑ってこらえて!」吹奏楽の旅で話題沸騰、「吹奏楽の神様」屋比久勲先生率いる鹿児島情報高である。譜面台には楽譜が置かれていない。つまり先生を含め生徒も全員暗譜。課題曲IIは威風堂々たるマーチを展開。そして自由曲チェザリーニ/アルプスの詩は冒頭のカウベルが朝の爽やかさを描き、続くホルン・ソロが気持ちいい!嵐の情景では金管が猛烈に咆哮する。そして後半、心に滲みる美しい音楽が展開される。皆の想いがひとつに結集される瞬間を、僕は確かにそこに見た。低音に厚みのあるどっしりした響き。これぞ屋比久サウンド。文句なし、ブラボー!!

玉名女子課題曲IVは速めで一定のテンポ。音がよく出ている。ここはやっぱりマーチング・バンドだなと思った。だから強弱のコントラストについては?マークだった。自由曲「ローマの祭」は面白味に欠けるが、正確・楷書的な演奏だった。

初出場となる矢代白百合学園は高校の部で唯一の女性指揮者。課題曲IVは玉名同様、強弱の変化に疑問符。自由曲スパーク/ウィークエンド・イン・ニューヨークガーシュウィン/パリのアメリカ人の逆バージョン。つまり"Englishman In New York"である。しっかりスウィングしていてJAZZの雰囲気が出ていた。ホーンが呻る感じがgood.それからドラムスがフルートの直ぐ後ろ、2列目正面に配置され、ノリがよかった。残念な結果ではあったが、素敵な音楽をありがとう。十分愉しかった。

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さて最後に、普門館にはこんなポスターも。「アルメニアンダンス・パートI」「大阪俗謡による幻想曲」「リンカンシャーの花束」と淀工の丸谷明夫先生がお好きな曲が目白押し!きっと 4,702席を誇る普門館が満員になるんだろうなぁ。

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第58回全日本吹奏楽コンクール高校の部を聴いて 2010 《前編》

毎年書いていることだが、アマチュア演奏家の実力を左右するのは次の2点であり、楽器経験年数などは全く関係ないというのが僕の信念である。

  1. 指揮者の指導力
  2. 練習量

つまり、コンクールの演奏に対したとえ悪口を書いたとしても、それはあくまで先生(プロ)に向けた言葉であり、これまで死に物狂いで頑張ってきた生徒さんたち(アマチュア)へのものでは決してない。どんな結果が出たとしても、全ては先生(指導者)の責任である。

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さて、東京・普門館で開催される全日本吹奏楽コンクール 高校の部、昨年は波乱の年であった。まず演奏順で朝一番に登場した柏市立柏高等学校(市柏)があり得ないミス・ジャッジで銅賞という辛酸を舐めた。また、埼玉栄高等学校が銀賞という結果も納得出来るものではなかった。

審査員を務めた作曲家の西村朗さんは「どの学校も90~95点の仕上がり。選曲と細部の表現の繊細さが最後の勝負だった」と講評している。つまり選曲で評価が左右されたことを認めているのだ。考えてみればおかしな話である。

しかし今年は市柏も埼玉栄も金賞だったし、昨年のような不可解なジャッジは概ねなかった。審査員に作曲家がいなかったのも(曲の好みに惑わされないという点で)良かったのだろう。東海大附第四や習志野が銀賞だったのも妥当な結果と僕は受け止めた。

それでは感想を恒例に従い北から地区別に書いていこう。

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北海道代表 北海道旭川商業高等学校 金賞 / 東海大学付属第四高等学校 銀賞

旭川商業の自由曲はマスカーニ/歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」より(宍倉 晃 編)。2年前に埼玉栄が全日本で初演したアレンジ。金賞ではあったが、どうもぼやけた印象で、もう少し軽やかさが欲しいと想った。

東海大附第四課題曲IIはゆっくりめのテンポ。北らしい雄大さはあるが、マーチという事を考えた場合、この悠々自適さは果たしてどうなのだろう?と疑問も感じた。自由曲はハチャトゥリアン/バレエ音楽「ガイーヌ」より。滔々とした大河の流れ。全体に大人しい印象で、アルメニアの民族色とかハチャトゥリアン固有のバーバリズム(野蛮性)が感じられなかった。

 

東北代表 福島県立磐城高等学校 銀賞 / 秋田県立秋田南高等学校 銀賞 / 山形県立山形中央高等学校 銅賞

僕の聴いた印象では今年の磐城は金賞に十分値する演奏だった。課題曲IVから荒ぶる魂が感じられ、激しいマーチ。自由曲C.T.スミス/華麗なる舞曲はパンチが効いており、畳み掛ける迫力、音圧が凄かった。野性味溢れ勢いのある演奏。超難曲だが、目立ったミスもなく、そのド迫力に痺れた。ここは男子生徒が学ランというのもいいね!

秋田南もいい演奏だった。課題曲VはJAZZYな雰囲気が上手く醸し出されていたし、ドラム・ソロが超かっこいい!アンサンブルも揃っていた。自由曲はラヴェル/管弦楽のための舞踏詩「ラ・ヴァルス」。編曲は同校出身の作曲家・天野正道さん。このアレンジが見事だった。冒頭、霧の中からウィーンの舞踏会が浮かび上がってくる情景が鮮やかに描かれ、優雅なワルツに聴き惚れた。

山形中央課題曲IIはリズムが少々重たかったかな?自由曲のR.シュトラウス/アルプス交響曲はアインザッツの不揃いが気になった。

 

北陸代表 石川県立小松明峰高等学校 銀賞 / 富山県立高岡商業高等学校 銅賞

小松名峰はそつがない演奏。自由曲はシュミット/「ディオニソスの祭り」。例えば、強烈なアクセントとか、もう少し何か(something)が足りないと想った。

高岡商業課題曲IIはよく揃い、歯切れがいい。自由曲はヤナーチェク/シンフォニエッタより。これはメリハリが乏しく、金管のファンファーレが雑に聴こえた。ただ、フルート・ソロの超絶技巧が見事だった。

 

東関東代表 柏市立柏高等学校 金賞 / 常総学院高等学校 金賞 / 習志野市立習志野高等学校 銀賞

市柏(いちかし)の課題曲IVは切れがあり、強弱のコントラストがお見事。高揚感に溢れた演奏だった。石田修一先生は今年も新曲に果敢に挑戦。自由曲は長生淳/トリトン・デュアリティ。美しく叙情的な旋律から始まる。海のうねりが感じられ、やがて戦闘シーンのような音楽へ。ここで金管の咆哮が凄かった。文句なしの

常総学院課題曲Vは音のバランスやフレーズの息遣いが繊細にコントロールされていた。自由曲リスト/バッハの名による幻想曲とフーガ(田村文生 編)は精緻な演奏。

習志野は柔らかい音でよく溶け合う。強弱もよくついていた。ただ例年と比較すると「おや?これがあの習志野のサウンド??」という違和感を覚えたのも確か。金賞を意識して守りに入ったのか、伸びやかさに欠ける印象を受けた。また過去5回連続で指揮者の石津谷先生自ら自由曲の編曲をされて来たが、ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」よりは既成のアレンジ。これも引っかかった。本来の習志野らしさが希薄だった。石津谷先生、また全日本マーチングコンテストの方を期待しています!

 

東京代表 東海大学付属高輪台高等学校 金賞 / 東京都立片倉高等学校 金賞

高輪台は赤いブレザーが印象的。ここは以前、些か荒っぽい所があるが勢いのある演奏が特徴だと想っていたのだが、今回はむしろ丁寧で細やかな表情に気を使ったものに変化しているように感じられた。畠田貴生先生の心境の変化だろうか?昨年は東京都大会でまさかのダメ金に泣いたが、今年は見事に返り咲き。しかも自由曲にヴァン=デル=ロースト/交響詩「モンタニャールの詩」を持ってきた。全国大会、なんと初登場である!このチャレンジ精神に敬意を表したい。冒頭のウィンドマシーンに風を感じ、リコーダー四重奏(木管奏者持ち替え)の素朴な美しさに鳥肌が立った。コラールの響きがしみじみと胸に滲み、心打たれる名演だった。もう、聴いているうちに「コンクールの審査なんかどうでもいい!目の前にこれだけの感動的な音楽がある。それだけで十分だ」と想った。心から「ありがとう」と言いたい。

片倉の課題曲Vは鉄壁のアンサンブル。先鋭な演奏で文句なし。ドラム・ソロも素晴らしかった。自由曲ラヴェル/バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲よりは繊細な出だしでチェレスタがいい(甘粕宏和 編)。微睡(まどろ)み、夢見るような情景が巧みに醸し出され、洗練された響きがあった。また”全員の踊り”では弾ける感じで熱狂的に終わった。これぞ王者の風格。

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審査結果発表の際、2階席後方に東海大附高輪台の生徒たちが横一列にずらりと立って並んでいた。そして彼らの歓喜の瞬間をテレビ・カメラがしっかり捉えた。日テレ「笑ってコラえて!」吹奏楽の旅 2時間スペシャルは11月3日(水)に放送される。お見逃しなく。

《後編》に続く。

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