アイルランドの風 2010/アイリッシュ・ハープ&フルート
兵庫県立美術館へ。
守安 功(アイリッシュ・フルート、ホイッスル)、守安雅子(アイリッシュ・ハープ、コンサーティーナ)、グローニャ・ハンブリー(アイリッシュ・ハープ)のコンサート。
3人の経歴や、コンサーティーナという楽器のこと、そして「アイルランド最後の吟遊詩人」ターロック・オキャロラン(1670-1738)については昨年のコンサート・レポートに詳しく書いたので、そちらをご参照ください。
前もって曲目は発表されず、その場の雰囲気に合わせ(インスピレーションで)次々に演奏されてゆく。だから毎回違うそう。
今回のプログラムは(Hp.=ハンブリーのハープ・ソロを示す)、
- 小さい妖精、大きい妖精(オキャロラン 第1作)
- (作者不詳、1724年に出版された楽譜にある聖職者の葬式の曲)Hp.
- (パトリック・デイビーが鉄道をモティーフに書いた曲)Hp.
- ウォーラー夫人(オキャロラン)
- (クレア地方のコンサーティナー、メアリー・マクナマラが弾いていた曲)Hp.
- ブラーニーへの旅路(オキャロラン)Hp.
- ブラーニー城への巡礼(アイルランド民謡)
- エレノア・ブランケット(オキャロラン)
- シングル・ジグHp.
- 聖母マリアに捧げる曲(賛美歌)
- イエス・キリストが生まれた日(賛美歌)
- 無花果(いちじく)をあげるからキスして頂戴
- (綿のなる植物の名前が付いた曲)
- インチクィン卿(オキャロラン)
- キースのためのラメンテーション(スコットランド民謡)Hp.
- (ブルターニュ半島の伝承曲)Hp.
- あなたは私のペギーを見ていない
- イニシア島"Inisheer"(トマス・ウォルシュ)
- (クレア地方の伝承2曲、ハンブリーによるコンサーティーナ)
- 酒よさらば
- 夏の終わり(フィル・カニンガム)
- マハラ・マウンティンズ(マーティ・ヘイジ)
- (トマス・キャラハンの曲)Hp.
- ディール(パトリック・デイビー)Hp.
- ブリジット・クルーズ(オキャロラン)
- サンザシの木(グローニャ・ハンブリー)
- オキャロラン協奏曲(オキャロラン)
- (1724年に出版された楽譜の1ページ目の曲)
- 盲目の王様(作者不詳)
トマス・キャラハンという作曲家はグローニャ・ハンブリーのお友達とか。
バッハと同時代、18世紀の古い曲と現代の曲が何の違和感もなく織り交ぜて演奏される妙。
金属製のモダン・フルートとは異なり、木製アイリッシュ・フルートの音色の温もりが素敵だ。正にアイルランドの《風》、《息吹》を感じる。
「ブラーニー城への巡礼」は縦笛2本を同時に奏でる。まるで汽笛みたいな音で面白い。
アイルランド南部、ブラーニー城にあるブラーニー・ストーン(雄弁の石)にキスをすると、口が達者になるという伝説があるそうで、巡礼者が絶えないとか。
「ブリジット・クルーズ」は夏の海のイメージでという客席からのリクエストに応えて演奏された。いい曲だ。
アイルランド民謡は素朴で、スッと胸に入ってくる。それは《癒し》というよりもむしろ、《赦される》音楽という印象を受けた。是非また聴きたい。
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