大阪市音楽団 第101回定期演奏会
ザ・シンフォニーホールへ。
プロの吹奏楽団、大阪市音楽団の定期演奏会。
今回は“吹奏楽の可能性”と題され、指揮・ピアノに渡邊一正さんを迎えた。
- フィリップ・スパーク/シンフォニエッタ 第4番(吹奏楽版世界初演)
- リロイ・アンダソン(作)イェルク・ムルシェインスキー(編)/ピアノ協奏曲
- キャスリン・サルフェルダー/カテドラル
- ジュリー・ジロー/ポセイドン(世界初演)
- アルフレッド・リード/オセロ
イギリスの作曲家スパークって「オリエント急行」(1996)を書いた頃よりも「宇宙の音楽」(2005)とか、このシンフォニエッタ 第4番など、近年の作品の方がより洗練されているなと想った。第3楽章はマンボのリズムでバーンスタイン作曲「ウエストサイド物語」を想い出した。
「トランペット吹きの休日」「シンコペイテッド・クロック」「ブルー・タンゴ」「そりすべり」など沢山の作品をボストン・ポップスのために書いたルロイ・アンダーソンはとても美しくロマンティックなピアノ・コンチェルトを残した。優しい気持ちになれる曲。JAZZのイディオムが取り入れられ、ガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」を彷彿とさせる箇所も多々ある。この滅多に演奏されない逸品を聴けるとは何とも贅沢。吹奏楽(用に編曲された)伴奏によるピアノ協奏曲というのも悪くない。渡邊さんはピアノの上に置かれたスコア(総譜)を自分で捲りながらの弾き振りで、見ているだけで手に汗握るパフォーマンスだった。
続くサルフェルダーとジローはどちらも珍しい女性作曲家。「カテドラル」はルネサンス様式の音楽を吹奏楽の語法に変換し、ミニマル・ミュージックのフレイバーをかけたたものでとてもユニーク。「ポセイドン」はギリシャの神ポセイドンを描写した音楽的肖像画。
そして泣く子も黙る吹奏楽の古典的名曲「オセロ」が登場。第1楽章「前奏曲」で聴衆に強烈なパンチを見舞い、第2楽章「朝の音楽」は一転して爽やか。第3楽章「オセロとデズデモナ」は濃厚なロマンが漂う。第4楽章「廷臣たちの入場」は勇壮なファンファーレで第5楽章「デズデモナの死、終曲」は悲痛な慟哭の音楽。
渡邊さんの指揮ぶりはとてもスマートで、余すところなく吹奏楽の魅力を描いた。
アンコールは
- ジョゼフ・コスマ(作)リード(編)/枯葉
- デイヴ・ブルーベック(作)S.シュワルギン(編)/トルコ風ブルーロンド
リードがアレンジした「枯葉」は暗い音色で始まり、最初はあたかも「オセロ」の続きを聴いているかのようであった(一瞬、「えっ、これはもしや組曲でカットされた『オセロ』の未発表曲?」と想った)。この配置がニクイね!
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