テーマ落語会「お囃子をこき使え!」特集/月亭遊方「あしたの箱」
10月1日(金)天満天神繁昌亭へ。
ほぼ満席。
- 笑福亭たま/三味線アリ(たま 作)
- 笑福亭福笑/マラソンマン(福笑 作)
- 笑福亭三喬/道具屋
- 笑福亭生喬/青空散髪
- 笑福亭福笑/繁昌亭らぶそんぐ(福笑 作)
たまさんは自分の新作が、福笑師匠から「お前のは複雑すぎるんや。もっと分かりやすくせえ」とよく言われるが、今回は30分の大作になり、自分で原稿読んでいても難しすぎると。
「三味線アリ」はタイトルが「着信アリ」のパロディで、中身はなんと「たちぎれ線香」のパロディ。「たちぎれ」のヒロイン(芸妓)小糸の呪いで、人々が次々と変死(?)していくというもの。これは秀逸で腹を抱えて笑った。途中、小糸の三味線を追って主人公が繁昌亭にやって来て、春團治・三枝・染丸師匠らと会話を交わす場面があり、そこで各々の出囃子がふんだんに盛り込まれた。
福笑さんは「昔から武士道、柔道、剣道などはあったが、精神論が一人歩きして最近では野球道、マラソン道、落語道まで言うようなった」と嘆き、「私は邪道・よこしま道を貫きたい」と宣言。カッコいい。
三喬さんの「道具屋」は本来、途中にハメモノが出てこないが、今回限りの特別バージョンでは道具屋の客として「一文笛」の小僧が来たり、「皿屋敷」のお菊さんが皿を買いに来たりと無理からにお囃子が入った。
生喬さんは700円の散髪屋に通っていて、本当は+300円で洗髪してもらえるのだけれど、それは節約するということをマクラに。また昔は新世界にルナパークという遊園地があったという話も。噺の途中、馬に追いかけられる場面でお囃子が盛り込まれた。
「繁昌亭らぶそんぐ」はTBS「タイガー&ドラゴン」やNHK「ちりとてちん」等による一時期のバブル・落語ブームが過ぎ去り、客足が遠のいた繁昌亭への応援歌。「カルメン」ドヴォルザークの「新世界(家路)」「月の法善寺横丁」「お祭りマンボ」「山の音楽家」の替え歌が登場、いつも過激な福笑さんにしては珍しくほのぼの系の作品だった。何だかあったかい気持ちになって帰途に就いた。
10月2日(土)はギャラリー「あしたの箱」へ。
ここで月亭遊方さんの落語会が開催されるのは2回目となる。
- ゴーイング見合いウェイ(遊方 作)
- スクールバスターズ(遊方 作)
- おまけの時間
「スクールバスターズ」は近いうちに繁昌亭昼席で演じるつもりで、それが可能かどうかこの場で試されたそう。いじめ問題を扱った、かなりブラック・ユーモアが効いた噺で、僕は好きだなぁ。滋賀県教育委員会の先生たちの前で初演し、アドヴァイスを受けたエピソードも。
「おまけの時間」は質問コーナーと抽選会。
新作のアイディアを思いつくのはどんな時?という問いに対し、「人が困っている時」と。
昔、八方師匠は新作をされていたのか?という問いには、八方作「洗濯屋ケンちゃんの戦い」という作品が音源として残っていて、ある時それを遊方さんが聴いていたら、師匠が照れていたというエピソードを披露された。これは聴いてみたい!
また、現在上方に落語家は230-240名くらいいるが、新作を持続的に発表しているのは10人しかいないとのこと。
もっと新作派が増えたらいいのに。そんなことどもを考えた夜だった。
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