仲道郁代/ショパン 鍵盤のミステリー 第4回「祖国への遺言」
10月17日(日)兵庫県立芸術文化センターへ。
仲道郁代さんの2年間に渡るシリーズ最終回。この日はショパンの命日で、仲道さんは黒のドレスで登場。過去のレポートは以下の通り。
今回のプログラムは晩年の作品ばかりで、
- ノクターン 第17番(作品62-1)
- ワルツ 第6番《小犬のワルツ》、第7番(作品64-1,2)
- マズルカ 第36、37、38番(作品59-1,2,3)
- 幻想ポロネーズ(作品61)
- ピアノ・ソナタ 第3番(作品58)
- マズルカ 第49番(作品68-4、絶筆)
曲の合間に、スライドを交えて仲道さんの解説が展開された。作曲家自身や、恋人のジョルジュ・サンドが書いた手紙が朗読され、ショパンを撮った現存する唯一の写真(最晩年)も登場。
ショパンとサンド破局の原因が、サンドの娘ソランジュの結婚騒ぎにあったというエピソードは初耳だった。
また失意のショパンがパリを離れロンドンに演奏旅行をした際に、彼の演奏スタイルはご婦人方から一様に「まるで水のような(like water)」と評されたというのが興味深い。
病状が悪化したショパンはパリに戻る。彼は手紙で大好きなすみれの花を部屋に飾っておいて欲しいと求めたという。
ショパンの葬儀では遺言によりモーツァルトのレクイエムが演奏され、彼の亡骸はパリの墓地に埋葬された。しかし心臓だけは彼の意思により姉ルドヴィカの手で祖国ポーランドに持ち帰られ、聖十字架教会(ワルシャワ)の柱の中に収められた。享年39歳。
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仲道さんのタッチは丁寧でたおやか。気品に溢れた演奏であった。
最後に第3回で行われた「もう一度聴きたいアンコール曲」のアンケート結果発表があった。
- 英雄ポロネーズ
- 幻想即興曲
- アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ
- 前奏曲「別れの曲」
- バラード 第1番
- 練習曲「革命」
- スケルツォ 第2番
ダントツで第1位に輝いた「英雄ポロネーズ」が弾かれ、さらに仲道さんから聴衆に感謝の気持ちを込めてエルガー/愛の挨拶がそれに続き、〆となった。有意義で密度の濃い演奏会であった。
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