大阪クラシック 2010 《最終日》/大阪に響け、友愛のハーモニー!
大阪クラシック最終日、《第87公演》@三菱東京UFJ銀行。”ハーモニー(調和)”をテーマに一週間、のべ5万人以上の集客があったイヴェントもいよいよフィナーレである。北は岩手県盛岡市、南は佐賀県からわざわざ来た人もいたという。
大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団で、
- R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」
- チャイコフスキー/幻想序曲「ロミオとジュリエット」
- 大阪市歌
- ラヴェル/ボレロ
- 夕やけ小やけ/七つの子/ふるさと(アンコール)
- 外山雄三/「管弦楽のためのラプソディ」より”八木節”(アンコール)
外国生活が長く、日本語が聞き取りにくい大植さん。コンサートマスターの長原幸太さんから「ゆっくり喋りなさい」と言われたそう。
「ドン・ファン」はテンポが変幻自在でドラマティックな演奏だった。終盤、フライングの拍手を指揮者が手で制す。
「ロミオとジュリエット」について大植さんは、派手に終わる初稿と、静かに、ふたりの魂が浄化される終結部が追加された改定稿との違いについて語られた。「この終わりの部分は”祈り”、”愛”、そして”ハーモニー”が描かれているんです」と。
冒頭部、ロレンス神父草庵の場面は速めのテンポで軽やかに。主部に入り、情熱的な第1主題が現れても押さえ気味の演奏。しかし甘美な第2主題を経て、再び第1主題が戻ってくると次第に音楽は動的になり、激しさを増してゆく。
ここで平松・大阪市長が初日に大植さんから送られたネクタイを身に付けて登場。
「素晴らしいですね”ハーモニー”。(橋下知事と)喧嘩している場合じゃないですね」会場から笑いが起こる。
そしてプログラムに印刷してある歌詞・楽譜を見ながら聴衆も共に「大阪市歌」を斉唱。
「ボレロ」について大植さんは「この曲はリズムとメロディで始まりますが、次第にハーモニーが加わってきます。ホルンが登場する場面は倍音が吹かれます」と解説。
さらに日本で唯一シンバルの製造を行っている“KOIDEシンバル”(大阪府大阪市平野区)と、会場に来られている小出社長の紹介もあった。
力強く、高らかに鳴り響く「ボレロ」であった。そして恒例のアンコールで〆。
本当に充実して愉しい一週間だった。大植さん、そして大フィルの仲間たち、ありがとう。そして来年もよろしく!
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コメント
今年は大阪クラシックに1回も行けなかったので、大変気になっていたのですが、こちらのレポートで写真入りで拝見できて本当に有難かったです!!!
ありがとうございます
普段の定演では絶対見れないような演目だらけで
これからもがんばって欲しいですね。
投稿: jupiter | 2010年9月15日 (水) 23時52分
jupiterさん、嬉しいコメントをありがとうございます。
大フィル定期はまるで「名曲コンサート」の様相を呈していますが、大阪クラシックでは珍しい曲が沢山聴けて嬉しかったです。定期でもこれくらいの冒険心が欲しいところですね!
投稿: 雅哉 | 2010年9月16日 (木) 00時51分
自分も今年も参加できませんでした。大植さん、もう絶好調ではないですか!ドヴォルザークの8番、これは聴きたかったです。
ベートーヴェンのレポートを拝見して、そういえば7月のシューマン・8月のブラームスを聴いたときに、弦が、凄くすっきり明瞭になってるなあと思ったのですが、朝比奈時代からの大フィル伝統(?)の、音尻をテヌート気味に伸ばす癖がなくなっている気がします。延原さんの薫陶によるものなのか、大植さんの解釈の変化なのか、今後も興味を持って聴いていこうと思いました。
投稿: ヒロノミンV | 2010年9月16日 (木) 22時59分
ヒロノミンVさん、コメントありがとうございます。
確かに大フィルの演奏スタイルは、ここ1年で大きな変貌を遂げています。ご指摘の通り、特に音尻の処理にそれは顕著です。
これからの展開、大いに期待しましょう!
投稿: 雅哉 | 2010年9月17日 (金) 00時35分