深津絵里、妻夫木聡 主演/映画「悪人」
まず初めに、「告白」と今回の「悪人」で立て続けに人間の暗い部分、悪意を描き、それをしっかり商品としてヒットさせた東宝・川村元気プロデューサー(31歳)の勇気と決断力、そしてその手腕に拍手を送りたい。
評価:B+
映画公式サイトはこちら。
「パーク・ライフ」で芥川賞、「パレード」で山本周五郎賞を受賞した吉田修一の小説「悪人」は2年ほど前に読んだが、陰鬱な内容で好きにはなれなかった。
しかし作家自らシナリオを担当した(監督の李相日と共同脚本)映画版はとっても良かった。プロットは当然同じだが、やはり小説と映画は全く別物だなと実感。
特にクライマックス、五島列島の断崖に立つ大瀬崎灯台の荒涼とした風景がすこぶる印象的。これぞ映像の力だと唸らされた。
モントリオール国際映画祭で主演女優賞を受賞した深津絵里が素晴らしいのは無論のことだが、それ以上に僕が感銘を受けたのは殺される保険会社OL役の満島ひかり。彼女の存在感はもの凄い。映画「川の底からこんにちは」の時よりも濃い目の化粧で、いかにも”九州の田舎娘”という雰囲気を巧みに醸し出している。人生どん詰まり。でも、見栄を張らなければ生きていけないーそういう女の哀しさが滲み出す。演技するために生まれてきたー満島ひかりはそんな女優である。
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