大阪市音楽団/第2回 さわやかウインド・コンサート
大阪市鶴見区民センターへ。
司会は落語家の笑福亭岐代松さん(今回はスーツ姿)。中学校は水泳部だったが、大阪府立淀川工業(現在は工科)高等学校の3年間は吹奏楽部に所属されていたそう。現在は噺家ロックバンド「ヒロポンズ・ハイ」のドラマーもされている。その写真は→こちら。岐代松さんが現役の1970年代後半、既に丸谷明夫先生率いる淀工は毎年吹奏楽コンクール全国大会に進出していたが、まだ銀賞や銅賞の時代だった。淀工が破竹の金賞連覇を勝ち取るようになるのは1980年(自由曲「大阪俗謡による幻想曲」)以降のことである。
まず鶴見区内中学校5校の有志で結成された花博20周年記念フェスティバルバンド(指揮:吉田行地)の演奏で、
- スーザ/行進曲「美中の美」
- 久石譲(作)後藤洋(編)/となりのトトロ
~コンサート・バンドのためのセレクション~
スーザははきはきと元気な演奏。
「トゥーランドット」のアレンジで一世風靡した後藤さん。トトロの編曲は中学生でも吹ける易しい譜面でありながら、洗練され楽しいものに仕上がっている。特に”風の通り道”から”ねこバス”に移行するところが巧みで、”ねこバス”のJAZZYな雰囲気に後藤さんのセンスが光る。
出演した中学生計53名のうち男子は3人。「となりのトトロ」が公開されたのは1988年だが、クラリネットの女の子1人を除き、全員が映画を観たことがあるとのことだった。
続いて吉田行地/大阪市音楽団の演奏で、
- ギリングハム/ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス
- スパーク/ハーレクィン(ユーフォニアム独奏:池田勇人)
- チャイコフスキー(作)木村吉宏(編)/序曲「1812」
- オットー・M . シュワルツ/80日間世界一周
- ボック(作)後藤洋(編)/「屋根の上のヴァイオリン弾き」メドレー
- モリコーネ(作)ロングフィールド(編)/映画「ミッション」より
”ガブリエルのオーボエ”(オーボエ独奏:福田 淳) - J.ウィリアムズ(作)ラヴェンダー(編)/映画「ジュラシック・パーク」サウンドトラック・ハイライト
- スーザ/星条旗よ永遠なれ(アンコール)
ギリングハムは打楽器が大活躍して見ていて面白い。華やかなファンファーレ、そして引用される古いスペインの聖歌"Come, Christians, Join to Sing"の旋律が真に美しい。
「オリエント急行」「宇宙の音楽」で有名なイギリスの作曲家スパーク。「ハーレクィン」を今回聴きながら感じたのは、彼は稀代のメロディ・メーカーだなということ。前半のゆったりしたバラードは哀愁を感じさせ、後半のおどけた仮面劇はユーモラス。曲調は「ホラ・スタッカート」を彷彿とさせるロマの音楽。
そして重厚な「1812年」。岐代松さんは淀工時代に同じ編曲でこれを演奏されたことがあるそう。
「80日間世界一周」は有名なヴィクター・ヤングによる映画音楽ではなく、2008年に作曲された吹奏楽オリジナル作品。ロンドンの時計塔「ビッグベン」→フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」→アラビア風旋律→象の鳴き声とボンゴのリズム→エキゾチックなムード→「ニューヨーク・ニューヨーク」のテーマなどが次々に登場し、音楽で世界一周を体感。
名曲「ガブリエルのオーボエ」は歌心に満ち、雄弁に語りかけてくる福田さんの演奏が素晴らしい。
「ジュラシップ・パーク」はラプトルの不気味なモチーフから始まり、”ジュラシック・パーク視察旅行” を経て、勇壮で金管が輝かしいメイン・テーマへと続く。 そして穏やかなラスト・シーンの後は再びメイン・テーマが登場し、格好いい市音の演奏で締めくくられた。この編曲も良かったなぁ。
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