児玉宏/大阪交響楽団 ~英雄たちの軌跡~
ザ・シンフォニーホールへ。
児玉 宏/大阪交響楽団の定期演奏会を聴く。
- ビゼー/歌劇「カルメン」より
- プッチーニ/歌劇「蝶々夫人」より
- R.シュトラウス/交響詩「英雄の生涯」
ソプラノ独唱は佐藤しのぶ。
「カルメン」はまず《前奏曲》から躍動する音楽、引き締まったリズムに魅了される。四半世紀以上に渡りドイツの歌劇場で叩き上げてきた児玉さんの独壇場である。そして真紅のロングドレスを身に纏った佐藤さんが登場して《ハバネラ》を歌い、《第2幕への間奏曲》《ジプシー(ロマ)の歌》へと続く。オーケストラは歯切れ良くソリストに寄り添い、そして弾ける。鮮烈なカルメンであった。
「蝶々夫人」では一転、カンタービレをたっぷりと聴かせ、児玉さんの魔法のタクトから雄弁でドラマティックな音楽が紡ぎ出される。プッチーニの原曲に手を加えないまま編纂したダイジェスト・バージョンで《蝶々さんの登場》《愛の二重唱》《ある晴れた日に》《アブラハム・リンカーン号の帰還》《ハミング・コーラス》《愛の家よ、さよなら》《かわいい坊や》などが演奏された。佐藤さんは今度は無垢な純白のドレス姿で2曲を歌った。
プログラム後半の「英雄の生涯」には内側から沸き起こる、マグマのような熱気があった。冒頭の《英雄のテーマ》からホルンと中低弦が力強く旋律を奏で、木管主体の《英雄の敵》には鋭さがあった。いくら大音量になろうと各声部は明快に鳴り渡り、曖昧さは皆無。くっきりとしたリズムを刻みながらもその音楽には柔軟性があり、指揮者 対 オーケストラの丁々発止のやり取りがスリリングであった。
日本のカルロス・クライバー=児玉 宏。その巧みな手綱さばき、オーケストラ・コントロール術、そして天才的なひらめきと感性。改めて感服すると共に、大阪でその演奏が聴けることの至福を噛み締めた。
次回は10月7日(木)、児玉さんの十八番・ブルックナーだ!詳細はこちら。
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