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2010年9月 3日 (金)

大植英次/大阪フィル「青少年のためのコンサート 2010」

NHK大阪ホールへ。

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏で、第8回となる「青少年のためのコンサート」。今年のテーマは ~シンフォニック・サウンド in スポーツ~

会場には多くの中高生たちが詰めかけていた。

D01

曲目は、

  • ロッシーニ/歌劇「ウィリアム・テル」序曲より”スイス軍隊の行進”
  • メンデルスゾーン/交響曲第4番「イタリア」より第1楽章
  • アンダーソン/トランペット吹きの休日
  • R.シュトラウス/ホルン協奏曲 第1番より第1楽章
  • ビゼー/歌劇「カルメン」前奏曲
  • ティルザー/私を野球に連れてって
  • 古関裕而/六甲おろし
  • シュニトケ/タンゴ
  • チャイコフスキー/バレエ音楽「くるみ割り人形」より”花のワルツ”
  • ホルスト/組曲「惑星」より”木星”
  • ヴァンゲリス/炎のランナー
  • コープランド/バレエ音楽「ロデオ」より”ホーダウン”
  • ヴェルディ/歌劇「アイーダ」より”凱旋行進曲”
  • エルガー/威風堂々 第1番(アンコール)

まずアーチェリーに関連した「ウィリアム・テル」序曲。この曲は大植さんの恩師レナード・バーンスタインがアメリカCBSでテレビ放送された"Young People's Concert"で取り上げた楽曲でもある。レニーが客席の子供たちに向かって「この曲は何か分かるかい?」と問うと、一斉に「ローン・レンジャー!」という答えが返ってきたのが印象的であった。1949-1958年にテレビ放送された西部劇のテーマ。弦の刻みが小気味よい。

「イタリア」は自転車レースをテーマにしたアメリカ映画「ヤング・ゼネレーション」(BREAKING AWAY,1979)で使用された。燦々と降り注ぐイタリアの陽光。新鮮で軽やか。第1主題は勢いがあり、第2主題は歌心に満ちていた。

ワクワク感ある「トランペット吹き」を経て、R.シュトラウスは現在、京都市内の高校2年生である山本愛沙子さんがホルン・ソロを務めた(使用楽器は”アレキサンダー”)。彼女は中学1年生の時、吹奏楽部でホルンに出会ったそうで「その形が好きになりました。シルエットが可愛いんです!」と。今回の起用については「お話を頂いたときから長い夢を見ているようでした。明日から現実に戻ります」彼女は大フィルの村上哲さんに師事しており、今回先生は出演せずに客席で彼女の演奏を聴いていた。

「カルメン」前奏曲は野球映画「がんばれ!ベアーズ」(THE BAD NEWS BEARS,1976)に使用された。

大リーグでホームチームが7回裏の攻撃に入る前に観客全員で歌う「私を野球に連れてって」はプログラムに英語歌詞と楽譜が添付されており、客席も歌った。「これでは休憩に入れませんね!」と大植さん。そしてプログラムに記載がなかった「六甲おろし」へ。聴衆は全員立ち上がり、大フィルの伴奏で斉唱。コンサートマスターの長原幸太さんは広島県呉市出身なので、ここでおもむろに広島カープの帽子を被り、弾いていた。

シュニトケ「タンゴ」は映画音楽。2010-2011年のシーズンに浅田真央選手がフィギュアのショート・プログラムで使用予定だそう。チェレスタで始まり、それがヴァイオリン・ソロに受け継がれ全体の合奏へ。最後はヴァイオリン・ソロからチェレスタに手渡され、シンメトリーな構造を持った素敵な小品であった。

「花のワルツ」はゴルフ場を舞台に展開されるコメディ映画「ボールズ・ボールズ」(CADDYSHACK,1980)で使用されたそう。開放感とロマン漂う演奏。

「木星」は2007年世界陸上大阪大会でサラ・ブライトマンが歌った「ランニング(ジュピター~栄光の輝き)」の原曲。大植さんらしい、変幻自在なテンポであった。

オリンピック選手を主人公にしたアカデミー作品賞・作曲賞受賞作「炎のランナー」を経て、「ロデオ」は弾けるリズムと躍動感が魅力的。

そしてアイーダ・トランペットが6本登場して華やかな「凱旋行進曲」と、アンコールで「威風堂々」というサッカーに因んだ音楽が並び、パワフルで推進力のある演奏を聴かせ〆となった。中々充実したコンサートだった。

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