アカデミー外国語映画賞受賞/アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」
評価:A-
ラテン・アメリカの中で、メキシコは優れた映画作家を多数輩出している。「リトル・プリンセス」「天国の口、終わりの楽園」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン、「パンズ・ラビリンス」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ、「アモーレス・ペロス」「バベル」のアレハンドロ=ゴンザレス・イニャリトゥらがその代表選手である。またブラジルは「セントラル・ステーション」「モーターサクル・ダイアリーズ」「ダーク・ウォーター」のウォルター・サレス、「シティ・オブ・ゴッド」「ナイロビの鉢」のフェルナンド・メイレレス監督らを生んだ。
しかし、アルゼンチン映画というのは珍しい。僕が今まで観たことがあるのは「タンゴ」(1998)くらいしかない。しかし、それはスペインとの合作で、監督もスペイン人のカルロス・サウラだから純粋なアルゼンチン映画とは言えないだろう。
「瞳の奥の秘密」映画公式サイトはこちら。
出色のミステリーである。ラストのどんでん返しはお見事としかいいようがない。25年に及ぶ主人公の恋愛はかったるく、どうでもいいが、作劇が巧く最後まで飽きさせない。全編に漂う哀感を帯びた雰囲気もいい。ダークな内容だが、コミカルで笑える場面もある。サッカー競技場の遠景空撮ショットからカメラがどんどん近づき、満員の客席に紛れ込んだ主人公を一気に捉えるワン・カット(マクロからミクロへ)は映像の醍醐味を感じさせた。
日本代表の「おくりびと」に続き、米アカデミー会員の判断は今回も正しかった。必見。
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