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2010年8月

笑福亭たま レイトショー「ナイトヘッド」/繁昌亭朝席

8月28日(土)繁昌亭へ。21時45分開演のレイトショー。

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  • 桂 福丸/桃太郎
  • 笑福亭たま/青菜
  • 笑福亭喬若/野ざらし
  • 笑福亭たま/新作ショート落語 +
    アンデルセン童話
    (たま 作、ミドル落語)、東京ねずみ物語(たま 作)

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入門して三年に満たない福丸さんは卓越したセンスの持ち主だが、今回の相手はたまさんのレイトショーに来るようなディープな客である。古典落語の聴き慣れたくすぐりでは誰も笑わないので、彼も相当苦労しているようだった。

たまさんは一週間くらい前からTwitterを始めたこと、「落語会の女性」という記事を書いて自身のブログが炎上したことなどを語られ、場内爆笑となった。アクセスが集中し、なんとアメーバ・ブログのランキングで25位になったとか!

青菜」は噺に登場する”お咲”さんが暑さのせいで、ゾンビか「リング」の貞子みたいになっているのが可笑しい。

たまさんの二席目はまだ新作が完成していないという(ナイトヘッドではよくある)ことで、喬若さんと福丸さんが登場し、「すべらない話」を披露したりして時間稼ぎ。

新作ショート落語をいくつか演じた後、(長さが)”ミドル落語”の「アンデルセン童話」。親指姫や小指など、指同士の会話という趣向が新鮮。

東京ねずみ物語」は東京ディズニーランドで熱中症になったらどうなるかというユニークな視点の噺。短めだったが、エピソードをふくらませばさらに面白くなりそう。

翌29日(日)は朝席へ。

  • 露の団姫/狸賽(たぬさい)
  • 桂 福車/首屋
  • 桂 一蝶/にぎやか寿司(三枝 作)
  • 露の団四郎/蛙茶番
  • 笑福亭鶴志/猫の災難

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珍しい噺「首屋」と「蛙茶番」が聴けたのが良かった。ただし、「首屋」は状況設定に無理があるとも感じた。滅多に高座に掛けられないネタというのにはやはり理由があるんだなと想った。

猫の災難」は鶴志さんの酔っ払いぷりが絶品!これぞ笑福亭のお家芸。

 

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アカデミー外国語映画賞受賞/アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」

評価:A-

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ラテン・アメリカの中で、メキシコは優れた映画作家を多数輩出している。「リトル・プリンセス」「天国の口、終わりの楽園」「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のアルフォンソ・キュアロン、「パンズ・ラビリンス」「ヘルボーイ」のギレルモ・デル・トロ、「アモーレス・ペロス」「バベル」のアレハンドロ=ゴンザレス・イニャリトゥらがその代表選手である。またブラジルは「セントラル・ステーション」「モーターサクル・ダイアリーズ」「ダーク・ウォーター」のウォルター・サレス、「シティ・オブ・ゴッド」「ナイロビの鉢」のフェルナンド・メイレレス監督らを生んだ。

しかし、アルゼンチン映画というのは珍しい。僕が今まで観たことがあるのは「タンゴ」(1998)くらいしかない。しかし、それはスペインとの合作で、監督もスペイン人のカルロス・サウラだから純粋なアルゼンチン映画とは言えないだろう。

「瞳の奥の秘密」映画公式サイトはこちら

出色のミステリーである。ラストのどんでん返しはお見事としかいいようがない。25年に及ぶ主人公の恋愛はかったるく、どうでもいいが、作劇が巧く最後まで飽きさせない。全編に漂う哀感を帯びた雰囲気もいい。ダークな内容だが、コミカルで笑える場面もある。サッカー競技場の遠景空撮ショットからカメラがどんどん近づき、満員の客席に紛れ込んだ主人公を一気に捉えるワン・カット(マクロからミクロへ)は映像の醍醐味を感じさせた。

日本代表の「おくりびと」に続き、米アカデミー会員の判断は今回も正しかった。必見。

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歪なブラームス~大植英次/大阪フィル 交響曲全曲演奏会 II

ザ・シンフォニーホールへ。

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大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団(独奏:長原幸太)で、

  • ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
  • ブラームス/交響曲 第2番

弦は対向配置。大植さんは全て暗譜で、指揮棒なしというスタイル。

長原さんのヴァイオリンは、ブラームスを弾くならもっと音に潤いや豊穣さが欲しい気がした。

大植さんはソリストに寄り添うのがとても巧い指揮者である。全体にゆったりしたテンポで、のびやか。ただ、ここはもうちょっと緊張感が欲しいという場面でも、締りがなく緩い演奏で物足りなさが残る。ソロが入る所ではオケを抑えすぎで、もっと自己主張があっても良かったのではないだろうか?

休憩を挟み、後半。シンフォニーの第1楽章は提示部の反復が敢行された。穏やかで優しく、たっぷり歌う。

以前にも書いたが、大植さんのブラームスを”新古典派”というよりもむしろ”ロマン派”の作曲家として捉えた解釈である。その端的な例が第2楽章だろう。音楽が止まってしまうのではないか?というくらいギリギリまでテンポを落とし、しっとり濃厚な演奏。まるでマーラーのように響く。

一転して第3楽章は軽みのある演奏。木管のアンサンブルが表情豊かで清々しい。

最近の大植さんは恣意的にテンポを大きく動かすのが特徴だが、第4楽章 第1主題は勢いのあるスタートを切り、グイグイ推進する。ところが第2主題になると、急激にブレーキが踏まれ、音楽の流れが寸断される。そして展開部に入るとまた快速球に戻る。どうもその移行がぎこちなく、不自然に感じられる。終結部直前になるとテンポを落とし、それから一気に加速(アッチェルランド)。劇的クライマックスを築き、聴衆は熱狂しブラボーが飛び交ったが、僕は「またか!」と鼻白んだ。この外面的効果を狙ったやり方、大植さんがよく使う手なのだ(ベルリオーズ/幻想交響曲、マーラー/巨人、ブラームス/1番)。いや、マーラーやベルリオーズなどは確かにハッタリが威力を発揮するが、ブラームスはそういう音楽ではないと想うのだが……。

僕にとってこの日の演奏は、作曲家が感興の赴くままに筆を走らせた交響曲からかけ離れた、居心地の悪い音楽であった。

ところでローム ミュージック ファンデーションの助成でライブ・レコーディングも同時に行われたが、金管のスタッカートが不揃いな第1楽章、アインザッツがバラバラに突入した第4楽章などアンサンブルの精度が低く、これでCD化して本当にいいんだろうか?という疑問が残った。

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旭川にて

旭川にて

写真はバレエ・スタジオ。古風でしょ?

やっぱり旭川に来たんだからと、今日は「ラーメンや天金」へ。あっさり醤油味。縮れ麺でgood job !

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ぼくのエリ 200歳の少女

評価:B-

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とっても珍しいスウェーデンの吸血鬼映画。原作はヨン・アイヴィデ・ リンドクヴィスト(著)「モールス」。少年と少女が交わすモールス信号がこの作品の中核となる。映画の原題は"Låt den rätte komma in"で、”「正しき者」を仲間に入れよ”という意味だそう。ヴァンパイアの少女が、自分を守ってくれる仲間を探す物語と言えるだろう。公式サイトはこちら

スウェーデン映画は本当に久しぶり。イングマール・ベルイマン監督の映画は結構観たが、5時間越えの大作「ファニーとアレクサンデル」(1982)が最後。恐らく1987年に米アカデミー賞の監督賞と脚色賞にノミネートされた名作「マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ」(ラッセ・ハルストレイム監督)以来ではないだろうか。

抒情的でスウェーデンの寒々とした光景が物語によく似合い、悪くなかった。ただ、余りにも前評判が良かったので、期待が大きすぎたかも。

僕はどちらかというとヴァンパイアものには耽美系を求めるので(理想型は萩尾望都の漫画「ポーの一族」)、本作はどちらかというとスプラッター描写で、残酷シーンにもう少し"品”が欲しかった気がする。

既にハリウッドでリメイクが製作され(原題"Let me in")予告編も登場している→こちら!監督は「クローバーフィールド/HAKAISHA」のマット・リーヴス。いや、中々出来がよさそう。むしろキャスティングはハリウッド版の方が良いのでは?これも日本で公開されたら結局、観に行っちゃうんだろうな。

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関空から旭川へ!

関空から旭川へ!

携帯電話より投稿。北海道は大阪より10℃涼しいし、なにより湿度が低いから快適。夕食は大黒屋の成吉思汗(ジンギスカン)に舌鼓を打つ。肉が柔らかくて美味しい。

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小川洋子(著)「猫を抱いて象と泳ぐ」

芥川賞作家・小川洋子の小説「猫を抱いて象と泳ぐ」を読了。

現代を舞台にしながら、イマジネーションが飛翔する大人の寓話になっており、さすがの力量。

第1回本屋大賞を受賞した「博士の愛した数式」は秩序だった数式の潔さに魅せられた主人公の話だったが、「猫を抱いて象と泳ぐ」(2010年本屋大賞第5位)はチェスの駒が描く軌跡の美しさに囚われた人々の物語。そういう意味で姉妹篇と言えるだろう。

主人公はロシアのグランドマスター、アレクサンドル・アリョーヒン(1892-1946)に憧れる。そして彼はいつしか”リトル・アリョーヒン”と呼ばれるようになる。

本文中に、ある写真を描写した、次のような一節が登場する。

 どこか部屋の片隅、温熱器のそばにチェス盤が置かれている。アリョーヒンは黒。相手は首元にスカーフを巻いた、教授風の男だ。(中略)肩幅の広い立派な身体つきをしたアリョーヒンは、椅子を斜めにずらし、ゆったりと足を組んでいる。(中略)
 そして猫だ。何とポーンと同じ、白と黒のまだら模様をしている。アリョーヒンの右手に抱かれ、耳をピンと立て、ご主人様より真剣な面持ちでチェス盤を見つめている。(中略)猫の名前はカイサ、チェスの女神だ。

この写真は、現実に存在するのだろうか?と調べてみたら、あった、あった!

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また別に、アリョーヒンと猫だけが写ったものも見つかった。

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テーブルチェス盤の下に潜り込むことを愛する"リトル・アリョーヒン”は11歳で成長を止めることを決意する。この設定って、ノーベル文学賞を受賞したギュンター・グラス(著)「ブリキの太鼓」みたいだなぁと想って検索したら、僕と同様のことを感じておられるブロガーが沢山いらっしゃった。また、少年に初めてチェスの手ほどきをしてくれるマスターが廃バスに住んでいることについて、エーリッヒ・ケストナー(著)「飛ぶ教室」との関連性を指摘されている方がおられ、なるほどなぁと首肯した。

「ブリキの太鼓」は映画化され、アカデミー外国語映画賞を受賞したが、「猫を抱いて象と泳ぐ」も是非映像として観てみたい。ただ実写が似合うのか、あるいはアニメーションの方がこのファンタジーに相応しいのかは迷うところである。

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笑福亭松喬 夏の一門会/林家染二 原点回帰・最終回スペシャル

繁昌亭へ。8/21(土)「笑福亭松喬 夏の一門会」

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  • 笑福亭生寿/子ほめ
  • 笑福亭遊喬/遊山船
  • 笑福亭三喬/次の御用日
  • 笑福亭松喬/住吉駕籠

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次の御用日」で三喬さんは住友の浜を図解入りで説明してくれたのが良かった。そうだったんだ!と、目から鱗。また「アッ!」の繰り返しがギャオスかはたまたラドンか、怪鳥の鳴き声みたいで面白かった。ただ丁稚の可愛らしさはやはり師匠の松喬さんの方が一枚上手かな。

もうすぐ4周年を迎える繁昌亭で松喬さんが「住吉駕籠」を掛けるのはこれが初めてなのだそう。長講なので酔っ払いが登場する場面で切られることが多いが、松喬さんはきっちり駕籠の底が抜け八本足で歩く最後まで。愛嬌があって見事な高座。吃音で喋る人物を登場させキャラクターを際立たせ、またこの人は”アホ”の描き方が上手い。歯を見せて”ニカッ”と笑うのは、恐らくテクニックなのだろう。

翌8/22(日)は「林家染二 原点回帰」

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  • 桂福丸/たぬさい
  • 林家染二/軽業講釈
  • 笑福亭松之助/高津の富
  • 林家染丸/金明竹
  • 林家染二/南瓜屋

福丸さんは入門3年未満の新人なのだが、マクラから客のつかみ方が本当に巧み。心地よい口調でリズム感が抜群。

沢山の高座を聴くようになリ分かってきたのは、落語家のピークは50~60歳代あたりだなということ。それを越えると”老い”を感じるようになる。言葉に勢いがなくなり、発音が不明瞭になってくる。松之助さんは85歳。それでも、まだまだお元気だ(水泳もされているという)。淡々とした味わいがあった。

南瓜屋」は江戸の「唐茄子屋政談」(詳しい物語は→こちら)。所詮人情噺なので、特に後半が面白くない。というかプロットが強引で無理がある。貧しい母子から店賃を奪っていった大家を主人公の若旦那が殴り、長屋の者も加勢する。しかし、借家料を払ってない方が悪いと想うのは僕だけだろうか?まるで集団ヒステリー(暴徒)である。大家に非はないのに、最後は裁きを受けるなんて余りにも理不尽。

染二さんのハイ・テンションな「軽業講釈」は今まで聴いた中でベストというくらい絶品だった。下座から聞こえる軽業興行の賑わい(ハメモノ)と、講釈が渾然一体となり最高潮に達する場面は上方落語の真骨頂と言えるだろう。

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第2弾! AKASO 笑KASO 〜音と笑いを工事中〜 

大阪・梅田のライブハウス「umeda AKASO」へ。

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昨年11月、好評を博した落語イベントの第2回目。入場料2,000円+ドリンク代500円(アルコールあり)。

まずは前半、演芸コーナー。

  • 笑福亭笑子/腹話術
  • 林家市楼/時うどん
  • 笑福亭鶴笑/ゴジラ対モスラ(パペット落語)
  • おしどり/音曲漫才
  • 桂 三金/七度狐(ハメモノパーカッション・バージョン)

シンガポールから一時帰国した笑子さん、人形の”ケンちゃん”が浴衣姿で、南京玉簾(たますだれ)を披露する等、色々工夫あり。”ケンちゃん”がさらに腹話術をする人形”キリンちゃん”という新キャラクターも登場。なお、玉簾のことを英語で"Miracle Bamboo Blind"というそうな。

鶴笑さんの「ゴジラ対モスラ」を観るのはこれが3度目だが、どんどん進化している。今回は”喜六”、”清八”人形が登場。またゴジラが破壊する町のビガチュア(大きなミニチュア)も2Dから3Dへ。ますます面白くなった。

おしどりはケンの針金アートと、マコのアコーディオンの組合せ。マコが大人っぽくエロティックに歌うシャンソン「アンパンマン」「ドラえもん」「ゲゲゲの鬼太郎」「サザエさん」が最高に可笑しかった!

古典落語「七度狐」はハメモノをお囃子ではなく、パーカッションで効果音を入れて。通常、三金さんが古典をされるときは眼鏡を外すが、今回は掛けたままポップに。こういう趣向もいいね。

仲入り後、ゲストの斉藤雪乃さん、パーカッション奏者・中村岳さんを交え全員でパフォーマンス(STOMP風、音コント)。

寄席の二番太鼓とカホン(Cajón=箱のパーカッション)によるアンンサンブルや、「ヒゲダンス」「テルミン・コント(おしどり)」「空中浮揚」といった出し物が目白押し。実に愉しいイベントだった。

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笑福亭たまVS.桂三幸 ふたり会@コモンカフェ

中崎町のコモンカフェへ。

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10日前に決まった、緊急の落語会。それでも17人くらいの集客あり。

  • 桂 二乗/短命
  • 桂 三幸/色鉛筆(仮題)
  • 笑福亭たま/新景累ヶ淵(たま 作)
  • 桂 三幸/三人旅
  • 笑福亭たま/人型ロボット(たま 作)
  • 対談(たま、三幸)

三幸さんはマクラでiPadのスライドショー機能を駆使し、紋の解説。徳川幕府の葵紋と水戸藩の紋の微妙な違いが分かり、目から鱗。それを「マナ・カナの相違」に喩える落ちが秀逸。この芸は三枝師匠のお誕生日会でも披露されたそうだが、繁昌亭で披露してもバカ受けするんじゃないかな?

色えんぴつ」(仮)は新作集団DIMAの作家が書いた原案を基にした新作で、ネタおろしとのこと。三枝師匠の創作落語「鯛」(魚が喋る)や「ロボ・G」を参考にしたという、色鉛筆たちが会話する噺。発想がユニークで、これは将来面白いものに発展しそうな予感。

三幸さんのもう一席は「売れないの占い」と予告されていたのだが、「二乗さんを聴いていて、古典が演りたくなりました」と急遽「三人旅」に変更。これが完全な稽古不足で、登場人物の名前を取り違える等、ぐだぐだ。新作してくれた方が良かったなぁ。

後でたまさんが、三幸さんをフォロー。高座での色々な失敗エピソードを話され、それが爆笑ものだった。

新景累ヶ淵」(豊志賀の顔)は初演から聴いている。三遊亭圓朝(作)「真景累ヶ淵」(しんけいかさねがふち)へのオマージュというかパスティーシュ。よく練られているので完成度は高い。

人型ロボット」は前半の小ネタ(ギャグ)の連発が愉しい。ただロボットたちが「人間になりたい」という願望を抱く(「鉄腕アトム」的展開)あたりからトーン・ダウン。惜しい。

最後は二人の対談。三枝・福笑・あやめら新作派創作台本の書き方の違い、ノートかパソコンか?など多岐にわたり興味深い話が色々聴けた。充実した内容だった。

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月亭遊方/とくとくレイトショー(8/15)

上方ビル(鯨料理・徳家)の3階、徳徳亭へ。

月亭遊方さんの会。21時開演。

  • クレーマー・クレーマー(遊方 作)
  • 葬マッチ・トラブル(遊方 作)

まずは遊方さんの日常あれこれ。ある東京の噺家が高座で「落語会の”星の王子様”です!」と自己紹介したとこに触れ、「大阪の噺家の場合、自分を貶めることはあっても、絶対そんなことは言わないです」という言葉に共感。やっぱり気質が全然違う。

また新宿末廣亭では21時30分より23時ごろまで二ツ目4名が出演する深夜寄席が開催されているそうで、なんと木戸銭500円で盛況とか。大阪でもそういう企画が出来れば良いけれど、交通事情(深夜の電車)も違うし、中々難しいかも。

クレイマー・クレイマー」は実際に遊方さんが体験したエピソードをもとに構成されたもの。以前聴いたことがあるが、細部は工夫が加えられ、さらに面白くなっていた。

葬マッチ・トラブル」はお盆らしく葬式にまつわる噺。如何に経費を安く抑えるかという発想が大阪人らしい。

毎月15日に開催されてきたこのレイトショー、9月以降も継続されるとのこと。真にめでたい(平日は21時20分からスタート)。

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桂よね吉「すいた落語研究所」/「桂吉弥一門会」

8月14日(土)吹田市文化会館メイシアターへ。桂よね吉さんネタ下ろしの会。

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  • 桂 二乗/強情灸
  • 桂よね吉/狐芝居(小佐田定雄 作)
  • 桂歌之助/たいこ(幇間)腹
  • 桂よね吉/遊山船

満席。女性率8-9割。和服姿が3割くらい。

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よね吉さんはシャワーを浴びている時に”ぎっくり背中”になったこと、天満橋・京阪モールのデザート・バイキングで2Kg体重が増えてしまい、吉朝一門で一番肥えてしまったこと(それまではK兄さんがトップランナーだったそう)等を語られた。「これはいかん」と現在レコーディング・ダイエットを実践中とのこと。

入門当初は歌舞伎が嫌いだったよね吉さん、それでも師匠と話を合わせるために観に行くようになり、ある日女形の所作の美しさに突然、色気を感じるようになったそう。また、初めて中座に足を踏み入れた時、大向こうが掛かりびっくりしたこと、都丸(現・塩鯛)さんが南座で独演会をされた時、花道から登場するというので、その突き当たりにある鳥屋(とや)の揚幕(あげまく)係りをしたエピソードなどを披露。

狐芝居」はネタおろし。しばらくの間、芝居噺は意識的に避けていたそうだが、やはり吉朝一門の真骨頂だけに見事な高座。口調・所作、ピタッと決まった。いずれ近いうちに彼の「本能寺」も是非観たい。

歌之助さんは「よね吉兄さんは、お盆に落語会をすることで皆さんを試しているんです。よね吉をとるか、ご先祖様をとるかと」というマクラで大爆笑を誘発。「本人はもうお盆にはやらないと言ってますが、きっと今度はクリスマスにぶつけてくると思いますよ」

トリの「遊山船」で夏らしい夕涼みをして、落語の愉しさを満喫。

さて翌日15日(日)は河内長野ラブリーホールへ。

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  • 桂弥太郎/千早ふる
  • すずめ家すずめ/看板の一
  • 桂 吉弥/皿屋敷
  • すずめ家ちゅん助/青菜
  • 桂 吉弥/親子酒

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ポスターやチラシには吉弥さんの二番弟子・弥生さんの名前があったが、彼女が出演しないことについての説明は一切なし。7月17日パンジョ寄席(大阪府堺市)における「煮売家」が(現時点で)最後の高座のようだ。

一番弟子・弥太郎さんは今まで自信なさげで、「なんとも頼りない新人だなぁ」と想っていたのだが、高座で落ち着いた雰囲気が出るようになってきて、間もしっかり取れ、だいぶ上手くなった。前回聴いた「軽業」では客席が凍りついていたが、今回は結構笑い声も多く、なかなか良かった。

吉弥さんはさすが繁昌亭大賞の実力者。目を見開くとか、瞬きを連発するなど、表情豊かで面白い。時折、声のトーンを高くして変化をつけるなど手練手管を駆使した見事な高座。

ただ、酔っ払いの表現力については笑福亭一門(福笑・松喬・鶴瓶・鶴志)の方が、まだ一枚上手かな?

仲入りを挟み後半のマクラで吉弥さんは高校時代にサッカー部に所属していたことや、先日のワールド・カップの話題を取り上げられたので、これはてっきり噂の新作「蹴球W杯 決戦前夜」をするのかと期待したら、「親子酒」だった。

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落語とブログ

ある噺家さんが以前高座で、「最近は落語会の感想をアンケートに書かずに、いきなりインターネットに書き込む輩がいる」とぼやいていた。また別の人は「落語家へのダメ出しはブログではなく、本人に直接言ってやれ」と仰る。

これは一瞬、正論に聞こえる。でもそれは違うと僕は思う。例えばある映画の悪口を書いた人に対し、「それはブログに書くのではなく、映画監督に直接言ってやれ」と言う人がいるだろうか?

師匠から言われるならともかく、一般客がプロの噺家に直接意見したって、腹を立てるだけだろう。アンケートには「面白かったです」とか「いっぱい笑いました」とか当たり障りのないことは書けるが、本人が読むことが分かっていて否定的なことは書き辛い。インターネットだからこそ、正直に書けることもあるのだ。

映画とか音楽、小説などは専門誌や新聞などにたくさん批評を書かれる。否定的なものも多い。だから彼らは色々言われることに慣れているし、そのことに一々目くじらを立てない。でも上方落語に関しては今までメディアに取り上げられる機会が少なく、噺家さんもそういうことに戸惑っておられるのだろう。

だが落語も他の芸能・エンターテイメント同様、気軽に本音で良し悪しを語られる時代が来たのである。市民権を得た、とも言い換えられるのではないだろうか?

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「お笑い怪談噺の夕べ」と繁昌亭昼席「ヴィオロンの嘆き」(8/12)

繁昌亭へ。

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  • 笑福亭たま/陰陽師(たま 作)
  • 林家染雀/現兵衛玉
  • 桂米左/へっつい幽霊
  • 旭堂南鱗/講談「破約」
  • 笑福亭福笑/幽霊狂詩曲(福笑 作)

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米左さんは端正な芸で、さすがの上手さ。

一番良かったのは、やっぱりトリの福笑さん。全然怖くはないけれど、客を笑わせようというサービス精神旺盛で聴き応えあり。噺の終盤でお約束の染雀さんが幽霊の格好をして登場。客に冷たいこんにゃくを押し付ける儀式(?)あり。最後にそれをプレゼント。今年は「板こんにゃく」と「きんぴらこんにゃく」が選べて、醤油も「特選」と「減塩」が用意されているといった具合に進化していた。

翌日は昼席へ。

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  • 桂ひろば/道具屋
  • 笑福亭扇平/勘定板
  • 桂かい枝/ハル子とカズ子(かい枝 作)
  • 姉様キングス(あやめ・染雀)/音曲漫才
  • 笑福亭純瓶/いらち俥
  • 笑福亭呂鶴/青菜
  • サンデー西村/ヴァイオリン漫談
  • 桂あやめ/コンパ大作戦(あやめ 作)
  • 笑福亭生喬/野ざらし
  • 桂九雀/ヴィオロンの嘆き(小佐田定雄 作)

ひろばさんはインド一人旅のエピソードを。不衛生な国なので前回1食50円で周った時は2週間下痢に苦しんだそうだが、今回予算を200円に上げると、1ヶ月快調に過ごせたそう。

ハル子とカズ子」はすこぶる出来がいい。かい枝さんはこれからもどんどん新作を書いて欲しい。目指せ!繁昌亭創作賞。

染雀さんの落語は意外と普通で眠たくなるのだけれど、白塗り・女装した姉様キングスでは生き生きとしていて、最高に可笑しい。珍しい「すととん節」や「阿呆陀羅経」など、音曲の愉しさを満喫。

純瓶さんは途中、座布団を敷いたまま上手に引っ込み、下手から再び登場するというアクション落語(その間、お囃子入り)。ユニークな演出。

あやめさんは「魔女たちの22時」という番組にはまっていて、出たいという話を以前からしていたら、日テレから吉本興業に正式な出演依頼が来たそう。9月初旬に収録予定とか。

生喬さんは大きな声で勢いのある高座。寄席の踊り「吃又(どもまた)」も披露して下さり、愉しかった。

ヴィヨロンの嘆き」はサンデー西村さんが弾くヴァイオリンとの競演。九雀さんによると10年ぶりの再演だそう。ストラディバリウスならぬ、”リストラディバリウス”の精霊が語る数奇な運命。人の手から手へ、国境を越えて旅する様は映画「レッド・バイオリン」(1998)を彷彿とさせる。また、ある夜会服をめぐるジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「運命の饗宴」(1942)という作品もあった。

演奏される曲は「G線上のアリア」「ます」「美しく青きドナウ」「ツィゴイネルワイゼン」「のんき節」「おまえはアホか」「剣の舞」など。噺の中にシューベルトやサラサーテ、クライスラーなども登場し面白かった。レア・アイテムが聴けてとても満足。

また、配布された九雀月報の論文(?)は落語会(地域寄席)の歴史が分かり、興味深く拝読。ちゃんと落ちがあるのもさすがです。

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日本テレマン協会マンスリーコンサート/バロックヴァイオリンの名手を迎えて

大阪倶楽部へ。

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シュトゥットガルト・バロック管弦楽団のコンサートマスターを務めるバロックヴァイオリンの名手ウッラ・ブランディースを向かえ、延原武春/テレマン・アンサンブル(バロック楽器)の演奏でオール・J.S.バッハ・プログラム。フルート(フラウト・トラヴェルソ)独奏は出口かよ子さん、チェンバロは高田泰治さん。

  • 管弦楽組曲 第5番(偽作?)
  • ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第4番
  • ブランデンブルク協奏曲 第5番
  • ヴァイオリン協奏曲 第1番

生気に満ちたバッハの音楽ももちろん良かったし、なにしろバロックヴァイオリンで奏でるいぶし銀の音色が素晴らしかった!

ウィスキーの製造工程に喩えてみよう。スチール弦を張ったモダンヴァイオリンの音は、糖化・発酵させた醸造酒をさらに蒸留した状態(アルコール度数70度)に近い。無色透明で純度が高く(雑味がなく)、鋭い味がする。それに対し、(羊の腸を縒った)ガット弦を張るバロックヴァイオリンは蒸留酒を樽に詰め、10年くらいかけて熟成させた状態。木の薫りがして、馥郁たる味わいがある。モダン楽器より優しく、自然に近い感じがする。

管弦楽組曲 第5番は弦楽のみ。現在ではバッハに近い人物の手による偽作との見方が強いそうだが、厳しい響きがあり、中々魅力的な楽曲であった。

ブランデンブルク協奏曲 第5番は高田さんの華麗な鍵盤テクニックが光った。

アンコールの速いテンポによる「G線上のアリア」(管弦楽組曲 第3番)も清々しく、魅力的だった。

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「ピーターパン」とスピルバーグ、そしてマイケル・ジャクソン

ミュージカル「ピーターパン」を観ながら、僕が想い出したのは映画「E.T.」(1982)のことである。映画の中で主人公エリオット少年の母親が妹のガーティ(ドリュー・バリモア)に、ベッドの中で本を朗読する。それはティンカー・ベルがピーターパンの身代わりに毒を飲んでしまう場面であった。

また「E.T.」でもっとも有名な、宙に浮いた自転車が月を横切るシーンは、ディズニー映画「ピーターパン」でフック船長の空飛ぶ海賊船が月を横切る場面へのオマージュである。

実は「E.T.」を製作した頃、スティーブン・スピルバーグはマイケル・ジャクソン主演でミュージカル映画「ピーターパン」を撮る計画があった。マイケルが自宅兼遊園地に「ネバーランド」という名称を付けたのはご存知の通り。

スピルバーグの意向を受けた朋友、ジョン・ウィリアムズは「ホーム・アローン」でも組んだ作詞家のレスリー・ブリッカスと共に、数曲のミュージカル・ナンバーを作曲した。

しかし計画は頓挫し、ミュージカル映画「ピーターパン」は幻に終わった。

その後スピルバーグは40歳の大人になったピーターパン(ロビン・ウィリアムズ)を主人公にした映画「フック」(1991)を撮る。ジョン・ウィリアムズは「ピーターパン」のために作曲した旋律をいくつか流用したという。映画はどうしようもない駄作だが、ジョンの音楽はA級の素晴らしさだった(「フック」より”ネバーランドへの飛行”の試聴はこちら)。

永遠の少年ピーターパン。何故彼はこれほどまでに僕たちの心を引きつけるのだろうか?

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笹本玲奈 復帰!/ブロードウェイ・ミュージカル「ピーターパン」

日本一のミュージカル男優といえば市村正親さんだろう。現在61歳。もう色々な役が年齢的にきついが、若い世代で市村さんを越えるスターはいまだにいない。

では一押しのミュージカル女優は?と問われたら、僕は躊躇することなく笹本玲奈(25)と答える。

彼女の舞台で今まで観たことがあるのは「屋根の上のバイオリン弾き」のチャヴァ、「レ・ミゼラブル」のエポニーヌ、「ミス・サイゴン」(東京)のキム、 「ミー&マイガール」(東京)のサリー、「マリー・アントワネット」のマルグリット、そして「ウーマン・イン・ホワイト」のマリアン役である。特に「ミーマイ」は宝塚版を含め、僕にとってベスト・サリーであった。

梅田芸術劇場へ。

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ミュージカル「ピーターパン」は1904年にロンドンで初演され、1954年ブロードウェイに渡り「ウエストサイド物語」のジェローム・ロビンス振付・演出で上演された。この時、本格的なフライング(空中遊泳)が取り入れられた。

日本ではホリプロが1981年に初演。主演は榊原郁恵であった。

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そして5代目のピーターパンが笹本玲奈。彼女は1998年から2002年まで演じ、今回日本での上演30周年を記念して8年ぶりの復帰となった。

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僕はブロードウェイ版をNHKのテレビ放送で観ているが、生の舞台は初めて。

いやぁ~ショートカットでボーイッシュな玲奈ちゃん、むちゃくちゃ可愛かった!びっくりした。いまでもピーターパンがピッタリ。さすが当たり役。彼女は舞台の上で生き生きと、輝いていた。

フライングのワイヤーはピーターパンだけ2本で、他の子供たちは1本。その分ピーターパンの飛行は高速で、生で見ると迫力満点。特に空中でくるくる回転しながら歌う場面は本当に凄いなと想った。

フック船長役の橋本じゅんがコミカルな演技で好演。客席の子供たちは大笑い。ウェンディ役の神田沙也加も良かった。今度、彼女が出演する「ファンタスティックス」も愉しみだ。

100年間愛され、世界中で上演されている作品だけに音楽が素晴らしい。アンサンブル全体の質も高く、ウェル・メイドな名作だなとつくづく感心した(トニー賞授賞式における名曲"I'm Flying"のパフォーマンス映像はこちら)。

笹本玲奈・最後のピータパンということで、カーテンコールで彼女が客席に向かってフライングするところで、舞台上の神田沙也加が感極まって泣き出した。それを見た僕も不覚にも、もらい泣き(二人の写真が公式ブログにアップされている→こちら)。彼女のピーターパンが観れて本当によかった。Theatergoer(芝居好き)であることの幸せを噛み締めたひと時であった。

余談だが、大地真央さんが「マイ・フェア・レディ」から今年限りでようやく降板されることが発表された。是非、イライザ役の後任は笹本玲奈に!ここらで一気に若返りしましょうよ。

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桂ざこば、大いに語る/動楽亭昼席(8/5)

ざこばさんの弟子、桂都丸さんの「塩鯛」襲名を翌日に控えた昼下がり、ざこばさんが席亭を務める動楽亭へ。

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  • 米市/子ほめ
  • 吉坊/千早ふる
  • 紅雀/打飼盗人
  • ざこば/ざっこばらん
  • 団朝/近日息子
  • 米團治/青菜

ざこばさんは落語抜きで、とても興味深いことを語られた。

米朝師匠から「現在、上方の噺家は何人くらいになったんや?」と訊かれ、「大体230~250人くらいです」と答えたら「多すぎるな」と。以前、立川談志さんと話した時、「弟子をどんどん取って、落語家を増やしたらいい。その中から才能のある奴が必ず出てくる」と言われ、「でもアカンのはどうしたらええんですか?」と問うと、あっさり「辞めさせたらいい」と。

そして米朝師匠から「不動坊」の稽古を受けたエピソードへ。中々覚えられなかったざこばさん、でもその横で聴いていた枝雀さんは物覚えがよく、ざこばさんより先に高座に掛けてしまったとか。「僕が教わっとったんや!汚いでしょ?枝雀兄ちゃんは『まるく、まぁ~るく』なんて言っとるけど、実際は尖がっとんや!」に場内大爆笑。

落語家は弟子を取ってもお金は一切取らず、3年間自宅に住まわせてやったり(内弟子修行)、食事をおごったり、出費ばかりかさむ。「ネタを教えたら、弟子のためにそのネタを高座に掛けるわけにはいかないので、また新しいのを仕入れなければならんのです。損するばかりです。でも、うちの師匠なんか孫弟子を含めると50人以上も面倒を見たんです」

そして最後に「甲斐性がないと、弟子は取れんのです」

ところで、米朝事務所HPの一門系図から桂吉弥さんの二番弟子・弥生さんの名前が消えている。何かあったのだろうか?

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夏夜の怪談@繁昌亭(8/4)

繁昌亭へ。

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夏の風物詩、ミストが勢いよく噴出していた。

K01

  • 露の団姫/狸の賽
  • 林家染左/ろくろ首
  • 露の団六/お血脈
  • 露の団四郎/真田山
  • 露の団四郎/怪談 雨夜の傘

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補助席も出る盛況。

団姫(まるこ)さんは狸がサイコロに化けて、数字の一を表現するのに「顔を上に向けてウィンク」ときた。女の子らしい工夫。本人曰く「上方落語に新しい風」と。

染左さんは開口一番「イースター島のモアイ像ではありません」と。これが大受け。客席から「よう分かってるやん!」との突っ込みも。

露の一門といえば怪談噺。さすが団四郎さんは絶品。凄みがある。今、怪談噺を聴くなら団四郎さんがNO.1かも。

雨夜の傘」は晩年の、露の五郎兵衛さんでも聴いた→あみだ池寄席

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「あほーりーらぶ」「迷走配達人」/月亭遊方のゴキゲン落語会(8/2)

ワッハ上方へ。

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月亭遊方さん"The One and Only"の会。

  • 開幕前戯噺(遊方の日常あれこれ)
  • あほーりーらぶ(遊方 作)
  • 迷走配達人(遊方 作)

遊方さんは「余命1ヶ月の花嫁」みたいな恋愛映画が「大っ嫌い!」だそうで、客を感動させるために片方が不治の病で死ぬといったあざとい設定に我慢ならないそう。僕も全く同感なので、云々頷きながら聴いた。そのアンチテーゼとして生まれたのが「あほーりーらぶ」というわけ。

アホアホ星人の地球侵略を描く「あほーりーらぶ」はタイトルに偽りなし。全くあほらしい噺で、何の教訓もない。でもすこぶる面白い。特に遊方さんの顔芸が最高。「意味がないのが最高なんだ」という真理が、つくづく身に滲みる。音楽だってそうだよね。

迷走配達人」は方向音痴な配達人の噺。どんどんエスカレートしていく様が可笑しい。

今回の二作品は繁昌亭昼席では掛けられない「レア・アイテム」とのことで、抱腹絶倒の貴重な体験をさせてもらった。実に愉快な夜だった。

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映画「ノルウェイの森」の色彩

トラン・アン・ユン監督(ベトナム出身)の「ノルウェイの森」(出演:松山ケンイチ、菊池凛子ほか)は今年9月1日に開幕するヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されることが決まった。

まことに喜ばしいことであるが、果たして金獅子賞を受賞できるのか?と考えると心もとない。何故なら今年の審査委員長がクエンティン・タランティーノだからである。犯罪と暴力を描くB級ものを愛するタラちゃんが、果たして恋愛映画「ノルウェイの森」をきちんと評価してくれるのだろうか……。ちなみに彼がカンヌで審査委員長をした年のパルム・ドールが「華氏911」(マイケル・ムーア監督が反ブッシュ政権の狼煙を上げたドキュメンタリー)で、グランプリが韓国の「オールド・ボーイ」、男優賞が「誰も知らない」の柳楽優弥だった。タラちゃんの好みがしっかり反映されている。

さて、先日映画館で「インセプション」を観た際に、「ノルウェイの森」特報が流れたので狂喜乱舞した。映画公式サイトにも既にアップされている→こちら。まず目を奪われるのは圧倒的「」の美しさ。グリーンは小説下巻のカバーにも使用されており、映画の基調色となるであろうと予想される。では上巻の「」はどうだろう?……それは本編を観るまでのお楽しみとしよう。撮影監督は名手リー・ピンビン(「夏至」「花様年華」「空気人形」)。これは期待出来る。

また、特報で既にビートルズのオリジナル音源が使用されているのも嬉しかった。

調べてみると、兵庫県の砥峰(とのみね)高原・峰山高原が映画の主なロケ地となったようである。なお原作者の村上春樹さんは京都市に生まれ、ほどなく父親の転勤で引越し、兵庫県西宮市・芦屋市に育った。

よし、兵庫県なら近くだから近いうちに一度、砥峰・峰山高原に行ってみよう!

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インセプション

評価:B+

Inception

クリストファー・ノーラン監督もまた、ややこしい映画を撮ったもんだ。非凡な作品ではあるが、世紀の大傑作「ダークナイト」には及ばず。

映画公式サイトはこちら

潜在意識=夢をテーマにしたお話である。これ自体は目新しいものではなく、夢(バーチャル・リアリティ)と現実との区別がつかなくなる名作として、例えば押井守監督「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」とか、小説では岡嶋二人の「クラインの壷」を挙げることが出来る。

本作のユニークなところは、夢(仮想現実)をさらに三階層に分けたことである。さらにその奥に”虚無”も存在する。だからプロットはとても複雑で、一回観ただけで全体を把握するのはきわめて困難。商業映画という枠の中で、やりたいことをやり尽くしたという感じ。

で「インセプション」を観ながら想い出したのは、ノーランが脚本・監督した出世作「メメント」(2000)である。10分しか記憶を保てない男を主人公に、物語の終わりから始まりへと、時系列を逆向きに進めていく斬新な作品であった。メメント・モリ(Memento mori)とは、ラテン語で「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という意味の警句。ノーランという人はこういうのが好きなんだな。

他人の潜在意識に入り込み、アイディアを盗むのは「エクストラクション」と呼ばれていて、「インセプション」はその反対。ある考えを“植えつける”こと。

登場人物の名前が風変わり。レオナルド・ディカプリオの役名が”コブ”(Cobb)、妻役のマリオン・コティヤールが”モル”(Mal)。そしてエレン・ペイジが”アリアドネ”(Ariadne)。

アリアドネーはギリシャ神話に登場する名前。テーセウスがクレーテーの迷宮より脱出する手助けをしたことで知られる。映画の彼女の役割に合致している。また、モル(Mal)は”悪”を意味する。色々凝ってますな、この作品。

ただプロットとして弱いのは、このミッションが成功したとして、斉藤(渡辺謙)からの依頼「敵企業を解体する」という目的が果たして実現するのか、極めて不確実であるということだろう。

ところで、登場人物たちが夢から醒めるためのガジェット(小道具)としてエディット・ピアフが歌うシャンソン"Non, Je ne regrette rien"「水に流して」(直訳すると「私はこれっぽちも後悔なんてしてない」)が使用されているのが面白かった(視聴はこちら)。これはマリオン・コティヤールがアカデミー主演女優賞を受賞した「エディット・ピアフ〜愛の讃歌〜」で歌った曲でもある(視聴はこちら)。

映画のラスト、”コブ”が廻した独楽(こま)は永遠に廻り続けるのか(これは夢なのか)、それともいずれ静止するのか(現実なのか)は観客の想像に委ねられる。そしてエンド・クレジットでもピアフの歌が流れる。果たしてこれは”コブ”に「目覚めよ!」という合図なのだろうか、はたまた映画(夢)に身を委ねる我々への合図なのか?何とも奥深いラビリンス(迷宮)である。

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