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2010年8月28日 (土)

歪なブラームス~大植英次/大阪フィル 交響曲全曲演奏会 II

ザ・シンフォニーホールへ。

20100827185150

大植英次/大阪フィルハーモニー交響楽団(独奏:長原幸太)で、

  • ブラームス/ヴァイオリン協奏曲
  • ブラームス/交響曲 第2番

弦は対向配置。大植さんは全て暗譜で、指揮棒なしというスタイル。

長原さんのヴァイオリンは、ブラームスを弾くならもっと音に潤いや豊穣さが欲しい気がした。

大植さんはソリストに寄り添うのがとても巧い指揮者である。全体にゆったりしたテンポで、のびやか。ただ、ここはもうちょっと緊張感が欲しいという場面でも、締りがなく緩い演奏で物足りなさが残る。ソロが入る所ではオケを抑えすぎで、もっと自己主張があっても良かったのではないだろうか?

休憩を挟み、後半。シンフォニーの第1楽章は提示部の反復が敢行された。穏やかで優しく、たっぷり歌う。

以前にも書いたが、大植さんのブラームスを”新古典派”というよりもむしろ”ロマン派”の作曲家として捉えた解釈である。その端的な例が第2楽章だろう。音楽が止まってしまうのではないか?というくらいギリギリまでテンポを落とし、しっとり濃厚な演奏。まるでマーラーのように響く。

一転して第3楽章は軽みのある演奏。木管のアンサンブルが表情豊かで清々しい。

最近の大植さんは恣意的にテンポを大きく動かすのが特徴だが、第4楽章 第1主題は勢いのあるスタートを切り、グイグイ推進する。ところが第2主題になると、急激にブレーキが踏まれ、音楽の流れが寸断される。そして展開部に入るとまた快速球に戻る。どうもその移行がぎこちなく、不自然に感じられる。終結部直前になるとテンポを落とし、それから一気に加速(アッチェルランド)。劇的クライマックスを築き、聴衆は熱狂しブラボーが飛び交ったが、僕は「またか!」と鼻白んだ。この外面的効果を狙ったやり方、大植さんがよく使う手なのだ(ベルリオーズ/幻想交響曲、マーラー/巨人、ブラームス/1番)。いや、マーラーやベルリオーズなどは確かにハッタリが威力を発揮するが、ブラームスはそういう音楽ではないと想うのだが……。

僕にとってこの日の演奏は、作曲家が感興の赴くままに筆を走らせた交響曲からかけ離れた、居心地の悪い音楽であった。

ところでローム ミュージック ファンデーションの助成でライブ・レコーディングも同時に行われたが、金管のスタッカートが不揃いな第1楽章、アインザッツがバラバラに突入した第4楽章などアンサンブルの精度が低く、これでCD化して本当にいいんだろうか?という疑問が残った。

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