「お笑い怪談噺の夕べ」と繁昌亭昼席「ヴィオロンの嘆き」(8/12)
繁昌亭へ。
- 笑福亭たま/陰陽師(たま 作)
- 林家染雀/現兵衛玉
- 桂米左/へっつい幽霊
- 旭堂南鱗/講談「破約」
- 笑福亭福笑/幽霊狂詩曲(福笑 作)
米左さんは端正な芸で、さすがの上手さ。
一番良かったのは、やっぱりトリの福笑さん。全然怖くはないけれど、客を笑わせようというサービス精神旺盛で聴き応えあり。噺の終盤でお約束の染雀さんが幽霊の格好をして登場。客に冷たいこんにゃくを押し付ける儀式(?)あり。最後にそれをプレゼント。今年は「板こんにゃく」と「きんぴらこんにゃく」が選べて、醤油も「特選」と「減塩」が用意されているといった具合に進化していた。
翌日は昼席へ。
- 桂ひろば/道具屋
- 笑福亭扇平/勘定板
- 桂かい枝/ハル子とカズ子(かい枝 作)
- 姉様キングス(あやめ・染雀)/音曲漫才
- 笑福亭純瓶/いらち俥
- 笑福亭呂鶴/青菜
- サンデー西村/ヴァイオリン漫談
- 桂あやめ/コンパ大作戦(あやめ 作)
- 笑福亭生喬/野ざらし
- 桂九雀/ヴィオロンの嘆き(小佐田定雄 作)
ひろばさんはインド一人旅のエピソードを。不衛生な国なので前回1食50円で周った時は2週間下痢に苦しんだそうだが、今回予算を200円に上げると、1ヶ月快調に過ごせたそう。
「ハル子とカズ子」はすこぶる出来がいい。かい枝さんはこれからもどんどん新作を書いて欲しい。目指せ!繁昌亭創作賞。
染雀さんの落語は意外と普通で眠たくなるのだけれど、白塗り・女装した姉様キングスでは生き生きとしていて、最高に可笑しい。珍しい「すととん節」や「阿呆陀羅経」など、音曲の愉しさを満喫。
純瓶さんは途中、座布団を敷いたまま上手に引っ込み、下手から再び登場するというアクション落語(その間、お囃子入り)。ユニークな演出。
あやめさんは「魔女たちの22時」という番組にはまっていて、出たいという話を以前からしていたら、日テレから吉本興業に正式な出演依頼が来たそう。9月初旬に収録予定とか。
生喬さんは大きな声で勢いのある高座。寄席の踊り「吃又(どもまた)」も披露して下さり、愉しかった。
「ヴィヨロンの嘆き」はサンデー西村さんが弾くヴァイオリンとの競演。九雀さんによると10年ぶりの再演だそう。ストラディバリウスならぬ、”リストラディバリウス”の精霊が語る数奇な運命。人の手から手へ、国境を越えて旅する様は映画「レッド・バイオリン」(1998)を彷彿とさせる。また、ある夜会服をめぐるジュリアン・デュヴィヴィエ監督の「運命の饗宴」(1942)という作品もあった。
演奏される曲は「G線上のアリア」「ます」「美しく青きドナウ」「ツィゴイネルワイゼン」「のんき節」「おまえはアホか」「剣の舞」など。噺の中にシューベルトやサラサーテ、クライスラーなども登場し面白かった。レア・アイテムが聴けてとても満足。
また、配布された九雀月報の論文(?)は落語会(地域寄席)の歴史が分かり、興味深く拝読。ちゃんと落ちがあるのもさすがです。
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コメント
1日遅れで昼席に行ってきました。
純瓶さんは違うネタだったので残念。
「ヴィオロンの嘆き」は10年前に聞いたはずなんですが、内容は全く覚えてなくて、初めてのように楽しめました。
音楽に詳しくないので「聞いたことあるなぁ」と言う程度でしたが、このブログで曲名を知ることができました。さすがですね。
高尚な気分になる落語でした。
投稿: おたべ | 2010年8月14日 (土) 08時03分
おたべさん、コメントありがとうございます。
「ヴィオロンの嘆き」大変珍しいものが聴けて、良かったですよね!
演芸ジャーナリスト・やまだりよこさんも聴きに来られていたので、そのうち落magaにも本公演の感想が掲載されると思います。
投稿: 雅哉 | 2010年8月14日 (土) 12時51分