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九雀の噺「江島屋騒動」(7/26)

天満天神繁昌亭へ。桂九雀さんの会。前回「九雀の噺」の感想はこちら

K01

  • 笑福亭生寿/花色木綿
  • 桂 九雀/軽石屁
  • 噺劇「江島屋騒動」
  • 桂 九雀/青菜
  • 総踊り「かっぽれ」

K02

軽石屁」は東の旅シリーズ(伊勢からの帰り道)の一篇で、落語作家の小佐田定雄さんが脚色、復活させたもの。お馴染み喜六、清八コンビの珍道中。非常によく出来た、軽やかで愉しい噺。ただ「アホの喜ぃ公」が復讐する為に、このような気が利いた趣向を凝らせられるのか?という点が些かひっかかるのだが……

噺劇(しんげき)は落語を芝居仕立てにしたもの。生の三味線と鳴物入りで、衣装はあるが舞台装置はなし。小道具は扇子と手ぬぐいだけ。まず九雀さんが噺劇の趣旨と、物語の前説を落語的に。それから鍋島 浩嶋田典子西田政彦桝井聖美ら役者さん達が出演した。特に嶋田さん演じる母親の恨みに凄みを感じ、背筋が凍った。ただ以前観た「淀五郎」「蜆売り」のような人情噺は、そもそも落語で聴いても面白くも何ともないので噺劇に直すのは極めて有効だが、「江島屋騒動」みたいな怪談噺は元々の落語自体が結構愉しめるので、わざわざ噺劇にする意義はあるのかな?という疑問を今回感じたもの事実である。まぁ見応えあったので文句はありません。次回公演も期待しています。

さて、ここまで九雀さんは眼鏡を掛けての《JAZZ型》の口演。仲入りを挟み後半は眼鏡を外して《クラシック型》へ。

僕は今まで何人の「青菜」を聴いてきたのだろうと調べてみると、九雀さんが12人目だった。すっかり忘れていたけれど、柳亭市馬さんや林家彦いちさん等、東京の型も聴いている。そして今回の九雀さんが一番面白かった。これは絶品。

まず地球温暖化-南極の氷が溶け、水面が上昇する話題から始まるマクラが秀逸。「百年後の二度(気温上昇)より、今日の三度(冷房で下げること)」が大事というフレーズには大笑い。上手いっ!

マクロ(地球規模)からミクロ(ある屋敷の庭先)へ。この手法は九雀さんの師匠・桂枝雀さんによる「日和ちがい」や「雨乞い源兵衛」のマクラを彷彿とさせた。原始の地球から始まり、プランクトンの誕生を経て人間登場に至るまでの進化論を一気に語る、ものすごいスケールの高座であった。

九雀版「青菜」は屋敷の主人が植木屋に「柳陰」という酒をガラスの徳利からガラスの杯に注いでくれる。なんとも涼しげである。そして噺の終盤になると、植木屋が友人に手渡したすし屋の湯飲みに酒を注ぐ。うゎ、暑苦しい!そのコントラストが鮮やか。

その他にも独自の工夫が色々あって、爆笑ネタに仕上がっていた。お見事!

なおこの日の「軽石屁」と「青菜」は映像収録され、繁昌亭らいぶシリーズDVD・CDとして9月22日に発売されるそうである。これはお勧め。

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コメント

書き込み、待ってました!(笑)
もちろん私も行ってました。
「軽石屁」は、滅びていただけあって、ネタは隙だらけですね。しかし(初演は聞いていませんが)初期の頃に比べるとおびただしい数のマイナーチェンジが繰り返されていて、代表作(ネタ)になっていった感があります。九雀さんでなければ再び廃れていたのでは、とさえ思います。九雀さん成長の歴史=軽石屁の進化、と言えるのではないでしょうか?
今回の収録にこのネタを選ばれたのは、このあたりが理由のような気がします。
「青菜」は去年、南座の米朝一門会で聞いた高座があまりに素晴らしくて、あれを超えるのは難しいと思っていました。
が、恐れ入りました。
昨日のは神懸かっていました。
「江島屋騒動」は(
私も人情噺は嫌いですが)落語で聞いたら「淀五郎」「蜆売り」よりさらに退屈ですよ。
ほとんど語りで進行するので講談と言う感じですし。
そもそも通してやる人が居ないんじゃないでしょうか。
そういう意味では、九雀さん的には、噺劇に選ぶネタ群の一つなんでしょうね。
長くなりました。

投稿: おたべ | 2010年7月27日 (火) 21時13分

おたべさん、コメントありがとうございます。

「軽石屁」は確かに面白いネタだと想います。ただ喜六の行動としてはどうも符に落ちない、その一点のみ気になります。

「江島屋騒動」は落語では詰まらないんですか。考えてみたら僕は講談でしか聴いたことがありません。柳家喬太郎さんなら、もしや期待出来るかも?

投稿: 雅哉 | 2010年7月27日 (火) 22時08分

追記です。
喜六の行動として腑に落ちない
とは、さすがです。
何故なら、小佐田氏が書かれた時には、喜六と清八の役割が今とは逆だったんです。
つまり旦那の振りをして騙すねが喜六
おなら作戦を敢行するのが清八
だったんです。
このバージョンも何度も聞きました。
この2人の立場をある時(不明)を境に入れ替えはった。
これはマイナーチェンジじゃないですね。
超メジャーチェンジ。
そして、これは九雀さん自身の発案ではありません。
指示をしたのは…
枝雀師匠。
「3日連続ツアーの初日が終わった後、明日から入れ替えなさい、と言われて必死で作り直した」
と九雀さんがどこかの座談会で言うてはりました。
私見(単なる予想)では、自分を旦那である、とカタるのが喜六らしくないと、枝雀師匠は思われたのではないでしょうか。

投稿: おたべ | 2010年7月27日 (火) 22時49分

おたべさん、大変興味深い話を教えて下さりありがとうございます!

いやぁ、驚きました。「軽石屁」に枝雀さんがそんな形で関わられていたとは!こういう貴重な情報は正にブロガー冥利に尽きます。大変勉強になりました。

投稿: 雅哉 | 2010年7月27日 (火) 23時24分

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