東海大付属高輪台と「モンタニャールの詩」
日本テレビ「笑ってコラえて!」”吹奏楽の旅”に畠田貴生先生率いる東海大学付属高輪台高等学校吹奏楽部が登場した。
前にも書いたが、畠田先生は熊みたいなワイルドな風貌である。でも、今回のドキュメンタリーを見て、本当にいい先生だなと改めて想った。生徒を一人一人をよく見ているし、彼らの意見にしっかり耳を傾けておられる。
ただ、「コンクールで勝つ」ということを考えた場合、子供たちの自主性を尊重するというのは諸刃の剣でもある。
番組の冒頭で彼らは「ダフニスとクロエ」を練習していた。これは2007年全日本吹奏楽コンクールで畠田/高輪台が金賞を受賞した自由曲である。
昨年、いわゆる”ダメ金”で全国大会に駒を進められなかった高輪台、今年は「守り」に入ったのかな?と想った。
ところが、それからどんどん自由曲候補が変化していった。
最終的に残ったのはクロード・T・スミス/「華麗なる舞曲」とJ.ヴァンデルロースト/交響詩「モンタニャールの詩」。「華麗なる舞曲」は昨年、九州代表の精華女子高等学校が全国大会で金を受賞した超難曲。一方の「モンタニャールの詩」は一度も全国大会に登場したことがない。インタビューされた女子生徒が「私たちは今年、チャレンジャー(挑戦者)の立場だから『華麗なる舞曲』の方がいい」と言っていたが、僕もその意見は正論だと想う。しかし、話し合いの結果、高輪台は「モンタニャールの詩」を選んだ。
「モンタニャールの詩」はイタリア北部の市民バンドからの委嘱で作曲された、アルプスの雄大な自然を連想させるのびやかで美しい名曲。途中、イタリアの古楽的旋律も登場し、僕は結構好きだ。しかし「華麗なる舞曲」のように速いパッセージや、派手なテクニックを見せ付ける場面はなく、あまりコンクール向きではないかも知れない。
でも畠田先生はそんなことは百も承知の筈。それでも敢えてこの曲を選ばれたからには、何らかの勝算があってのことだろう。面白い。その心意気を買いたい。今年の高輪台の活躍を大いに期待する。
僕の手元に作曲者自身の指揮で大阪市音楽団が「モンタニャールの詩」を演奏したライヴCDがある。この所要時間が17分55秒。吹奏楽コンクールの持ち時間は12分だから課題曲を差し引いて、自由曲に使えるのはせいぜい8分以内。つまり半分以上カットしなければいけない。その作業だけでも、これから大変だ。
よし、今年も普門館へ全日本吹奏楽コンクールを聴きに行こう。畠田先生、是非東京都大会を勝ち抜いて来て下さい!
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コメント
2年前の「なにわ」で、畠田先生は「モンタニャールの詩」振ってますから、この曲に思い入れがあるんでしょうね。
投稿: 弦兵衛 | 2010年7月20日 (火) 08時38分
コメントありがとうございます。
仰るとおりですね。畠田先生は言ってみれば「危険な賭け」に出たわけですが、聴く側としてはとても愉しみです。是非、4本のリコーダーで演奏する箇所はカットしないで欲しいなと希望します。あそこは「モンタニャールの詩」のハートですから。
投稿: 雅哉 | 2010年7月20日 (火) 12時12分
よこからすみません。
高輪台高校の自由曲選定はすごかったですね。
島根県の某中学校(没落後の出雲第二中です)で2002年のコンクールでモンタ二ャールやったんですが支部でダメ金。モンタ二ャールがあのホールに響いてうれしいですね。
あと去年の精華はフェスヴァリなきがします。
失礼しました。
投稿: | 2010年11月 3日 (水) 22時20分
全国大会金賞おめでとう御座います。^^
本日放送の笑ってこらえてを見ましたよ。
細切れで放送されていましたが、風景が見える演奏で結果が出る前に金賞が見えました。当日その場所で演奏を聴きたかったです。
放送の中に、2曲の中から選ぶシーンが有りましたが、曲を聴いた瞬間にモンタニャールの詩で行くべきと瞬時に私はそう思いました。
素晴らしい曲ですね。モンタニャールの詩!!
非情に難易度の高い曲だと思います。
時に流れる様に時には力強く自然の力を感じました。
全部の曲を聴きたかったです。
これからも、聴く皆が感動出来る音楽を奏でて下さい。
演奏する人は全身全霊楽しんで、聴く人皆を感動させられる音楽を奏でる事が、全国で金賞に繋がると思います。
本当におめでとう御座いました。
此れからも、音楽を楽しんで下さい。
投稿: オーディオマニア | 2010年11月 3日 (水) 22時28分
>あと去年の精華はフェスヴァリなきがします。
是非こういう不確かな書き込みは一度調べられてからにして下さいね。精華が「フェスティバル・バリエーションズ」を演奏したのは2008年。2009年は「華麗なる舞曲」です。僕はどちらも普門館で生を聴きました。
投稿: 雅哉 | 2010年11月13日 (土) 22時35分