いずみホール/バッハ・オルガン作品連続演奏会 Vol.7
いずみホールへ。
バッハ・アルヒーフ・ライプツィヒ所長クリストフ・ヴォルフを芸術監督に向かえ、進められているバッハ・オルガン作品連続演奏会も7回目を迎えた。バッハ研究家で、いずみホール音楽ディレクターの磯山 雅さんの手元へはヴォルフ氏から「世界を代表する14人のバッハ・オルガン奏者」のリストが届いているという。今回はスウェーデンからハンス・ファギウスが登場した。21歳の時にライプツィヒ国際バッハ・コンクールに優勝したという、バッハのエキスパートである。
曲目は前半が、
- プレリュードとフーガ ト長調 BWV541
- コラール「バビロンの流れのほとりに」
- トリオ・ソナタ 第5番
- プレリュードとフーガ イ短調 BWV543
後半は、
- プレリュードとフーガ ホ短調 BWV533
- トリオ・ソナタ 第1番
- コラール「私たちはみな一である神を信じる」
- プレリュードとフーガ ホ短調 BWV548
つまり休憩を中心として鏡面構造、シンメトリーになっているという面白い構成。磯山さんはこれを「十字架的」と評された。
荘厳で、ひたすら高みーそれは宇宙であり、神の御許であるーを目指す、シンフォニックな構築性を持つ「プレリュードとフーガ」。静謐な祈りの音楽であるコラール。そして天使たちの戯れのように軽やかなトリオ・ソナタ。それぞれの世界を堪能した。
アントン・ブルックナーは生涯を通して教会のオルガニストであった。そして彼の遺体は聖フローリアン教会のオルガンの下にある地下納骨所に納められている。ブルックナーの交響曲にしばしば登場するゲネラル・パウゼ(全休止)の意味は、彼がオルガニストであったことと切り離しては考えられない。
ブルックナーのシンフォニーを聴くのに、バッハのオルガン作品を知っておくことは、必要条件ではないかも知れない。しかしそれなしに、ブルックナーの全容を理解するためのパズルのピースは決して埋まらないだろう、ということは確信を持って言い切れる。
バッハ・オルガン作品連続演奏会の次回は2011年3月21日(月・祝)16時の予定。
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