東野圭吾と「白夜行」映画化
東野圭吾のミステリー小説は13冊ほど読んでいる。
中でも僕がとりわけ傑作だと想うのは「白夜行」(1999年刊)。直木賞を受賞した「容疑者Xの献身」(2006)はそれほど面白いとは想わない。「白夜行」は直木賞候補になったが、あの時点で受賞させていれば、少しは直木賞のことを見直したのに(「容疑者…」では遅きに失した感は否めない)。
小説「白夜行」の何がすごいって、主人公ふたりの感情を全く描写しないこと。”雪穂”と”亮二”の行動は常に第三者の目から語られ、彼らが何を考えているのかは読者の想像力に委ねられる。そこにはある意味、宮部みゆきの「火車」にも通じる、作者の卓越した技巧が感じられる。
そして東野圭吾は明言していないが、実質的に「幻夜」(2004)は「白夜行」の続編と言えるだろう。この小説のヒロイン”美冬”と「白夜行」の”雪穂”が同一人物であることを匂わせる記述が、そこかしこに仕組まれている。彼女の人生をリセットする装置が阪神大震災というわけ。
「白夜行」は2009年に韓国で映画化され(日本には来ないのだろうか?)、現在日本版も製作進行中。”雪穂”を演じるのは掘北真希である。公開は2011年の予定。
そして「幻夜」は今年11月にWOWOWのドラマWの枠で放送が決まっている。ヒロインは深田恭子が演じるらしい(詳細はこちら)。
そうか、掘北真希が後にフカキョンになるのか……。何となく奇妙な感じはするし、一抹の不安がないではない。しかし、ふたりとも好きな女優さんなので、どちらも愉しみに待ちたいと想う。
| 固定リンク | 0
「Cinema Paradiso」カテゴリの記事
- 2020年 アカデミー賞・答え合わせ〜徹底的に嫌われたNetflix!(2022.03.29)
- 映画「ドリームプラン」でウィル・スミスはアカデミー賞受賞という悲願を達成出来るのか?(2022.03.08)
- 2022年 アカデミー賞大予想! 〜今年のテーマは被差別者・マイノリティーを祝福すること(2022.03.27)
- 映画「ウエスト・サイド・ストーリー」(スピルバーグ版)(2022.03.10)
- ジェーン・カンピオン vs. スピルバーグ、宿命の対決!!「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(2022.02.17)
「読書の時間」カテゴリの記事
- カンヌ国際映画祭で脚本賞受賞。村上春樹原作「ドライブ・マイ・カー」〜表題に込められた意味を知っていますか?(2021.09.29)
- チベット文学「白い鶴よ、翼を貸しておくれ」に刮目せよ!(2021.07.19)
- スパイ小説「あの本は読まれているか」と「ドクトル・ジバゴ」の想い出(2021.01.13)
- 又吉直樹原作の映画「劇場」と朝井リョウ原作「何者」(2020.07.20)
コメント