英国ロイヤル・バレエ団「ロミオとジュリエット」
僕は先日観たマリインスキー・バレエでクラシック・バレエの美しさに開眼した。
英国ロイヤル・バレエ団、パリ・オペラ座、そしてロシアのボリショイ劇場が世界三大バレエ団だそうだ。さらにそれにマリインスキー・バレエ(ロシア)とアメリカン・バレエ・シアター(ABT)を加えると世界五大バレエ団となる。ロシアのバレエ団とパリ・オペラ座の団員が純国産に近いのに対し(最近ではパリ・オペラ座史上初の日本人正団員・藤井美帆が入団するなど、国際化が始まっているようではある)、米英は多国籍軍であることが特徴。ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとしてかつては熊川哲也が活躍し、今回の来日公演を最後に吉田都が退団した。可憐な容姿で僕が大ファンのアリーナ・コジョカルはルーマニア出身である。
さて、兵庫県立芸術文化センターへ。
ジュリエットはロベルタ・マルケス(ブラジル出身)、ロミオはスティーブン・マックレーだった。ティボルト役のトーマス・ホワイトヘッドがなかなか渋いイケメンで、女性から人気があるのでは?
とにかく故ケネス・マクミランの振付が素晴らしかった。この作品がまぎれもない20世紀のバレエであることを体感させるダイナミズムとモダニズム。しかし決して前衛的ではなく、様式美が全篇を貫いている。そして映画「センターステージ」でも引用された、かの有名なバルコニー・シーンにおけるデュエット・ダンスの妙なるハーモニー!もう感嘆の溜息をつくしかない。
また、ニコラス・ジョージディアスによる絢爛豪華な衣装に目を奪われた。特に仮面舞踏会のシーンは圧巻。黄昏時を思わせる、くすんだ黄金色。まるで登場人物たちが絵画から抜け出して来たよう。このプロダクションはDVDで見たことがあったが、実際目の当たりにしたのは全くの別物。やっぱりバレエは生に限る。
指先までピタリと揃えるマリインスキーに対し、ロイヤル・バレエの群舞はDVDやブルーレイで観ると結構バラバラである。しかしライヴで観るとそんなことは些事に過ぎず、少しも気にならなかった。
マルケスのジュリエットは背が低く華奢で最初はびっくりしたが、そもそもシェイクスピアの原作ではあと2週間で14歳になる女の子。その雰囲気にぴったりと合っていた。ピチピチしてしなやか、若々しいダンスで、回転も高速。切れがあった。
A席22,000円のチケットは高額ではあるが、それだけの価値ある公演だった。
最後に、ケネス・マクミランの振付はキャメロン・マッキントッシュ製作のミュージカル「回転木馬」リヴァイヴァル版のバレエ・シーンも印象深かったことを書き添えておく。
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コメント
こんにちは。
個人的には、RBやBRBなどはこういった演劇的な
作品をやらせてナンボのイメージがあります。
白鳥の湖や眠りなど古典演目だと腕の角度なんかの
細かい所が目について気になってしまったりも
するのですが、ストーリーを見せる作品だと、やはり
表現力がモノをいうのではないでしょうか。
映像で見ると気になるものも、生で見ると、そんな
些細なことはどうでもよくなってしまうというのも
よくわかります。
TBさせていただきましたので、承認お願いします。
投稿: Odette | 2010年7月 6日 (火) 18時58分
Odetteさん、コメントありがとうございます。確かに、ロイヤル・バレエで「白鳥の湖」を観ても仕方がないかも知れませんね。今度はマクミランが振付した「マイヤーリンク」(うたかたの恋)が観てみたいです。
投稿: 雅哉 | 2010年7月 8日 (木) 08時45分