パリ20区、僕たちのクラス
評価:D
カンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞したフランス映画。米アカデミー外国語賞にもノミネートされたが、こちらはアルゼンチンの「瞳の奥の秘密」に敗れた。
原題は"Entre les Murs"(壁の間で)、英題はシンプルに"The Class"である。
パリにある中学校の一年間を描き、先生と生徒の葛藤、それぞれが抱える問題を浮き彫りにする。
リアルな映画である。でもただそれだけ。面白くもなんともない。エンターテイメント性は皆無。こんな代物はドキュメンタリーに任せておけばいい。さすがショーン・ペン(本作が受賞した年のカンヌの審査委員長)、またやらかしてくれた。
ドキュメンタリー・タッチを強調するために手持ちカメラで画面をわざと揺らして撮っているが、まことに陳腐な手法であり、あざとい。
それから主人公の国語の教師が権威を振りかかざす、いけ好かない奴で、全く共感できなかった。
映画公式サイトはこちら。
映画の舞台となるパリの中学校には多種多様な人種が入り乱れている。24人の生徒のうち約半数が黒人。中国人などアジア系もいる。
僕はこの作品を見ながらフランソワ・トリュフォー監督の”アントワーヌ・ドワネル”シリーズ第1作「大人は判ってくれない」(珠玉の名作!)のことを想い出した。白人ばかりだったあの頃の授業風景とは全く違う。「大人は判ってくれない」が公開されたのが1959年。ちょうどフランス支配に抵抗してアルジェリアが独立戦争中のことで、その戦争が終結するのが62年。以降アルジェリアからの移民がフランスに大挙して押し寄せることになる(「パリ20区、僕たちのクラス 」の生徒の中にもアルジェリア出身の子供がいる)。
結局、現在のフランスは過去の帝国主義のツケを支払っているわけで、因果応報、自業自得である。まぁ、我々日本人には無縁の物語である。
それにしてもこれがアカデミー外国語映画賞にノミネートされるくらいなら、韓国代表の「母なる証明」が代わりに入っても良かったのになぁ……。
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