桂文我はなしの世界/幻の「柿ノ木金助」連続口演!
前にも書いたが、桂文我さんの魅力は、もう誰も演らない「けったいなネタ」を発掘し、披露してくれること。上方で貴重・稀少な噺家である。
未知の体験を味わうべく、ワッハ上方へ。
- 桂さん都/二人癖
- 桂文我/柿ノ木金助(その一)
- 桂まん我/豆炭
- 桂文我/月宮殿星の都
さん都さんは今度師匠の都丸さんが塩鯛を襲名するに当たり、鯛蔵を襲名する予定。先代の鯛蔵は満州に巡業した後、岡山で祈祷師に転業し生涯を終えたとか。「僕も将来、祈祷師への道が開かれました!」と。ちなみに彼は広島市出身、岡山のお隣である。
「柿ノ木金助」というネタは、以前文我さんが大師匠・桂米朝さんにどんな内容なのか訊ねたら、「それが全然知らんのや」との回答だったとか。速記もなく、長年探求してきたところ、五年前に「柿ノ木金助実伝」という本を入手され、漸く全容がつかめたそう。
物語の展開は三遊亭圓朝の作品に近いものを感じた。「牡丹灯篭」の”お峰殺し”を髣髴とさせるいい所で今回は終わり。文我さんが高座を降りると、さん都さんが「この続きはどうなるんですか!?」と食い付いてきたそう。う~ん、確かに気になる。第二回口演は今のところ、日時も場所も決まっていないようだ。なお、最後は芝居噺になるらしい。
仲入り後、文我さんの弟子・まん我さん登場。「豆炭」と言われてもイメージが沸かない人も多かろう。こんな感じ。
豆炭を愛した男の噺。明治ごろの新作落語とか。いやぁ、これぞ正に非常識の肯定。こういうヘンテコな噺があるから僕は落語が好きなんだ。是非まん我さんも、師匠のような方向性にこれからどんどん突き進んでもらいたい。いわゆる”正統派”じゃ詰まんないし、そもそもライバルが多すぎる。
上方落語の中心をなすものに旅ネタがあるが、冥土の旅が「地獄八景亡者戯」、海底が「小倉船」、そして天空の旅が「月宮殿星の都」である。今回初めて聴いたが、やっぱりけったいな噺だった。でも面白い。大満足で帰途についた。
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