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2010年6月24日 (木)

フルシャ/ 大フィル定期 with 中村紘子

先日の延原武春/大阪フィルハーモニー交響楽団によるウィーン古典派シリーズに ついて、ある音楽評論家が「ミスが多い等の表層的理由で大フィルの金管は上手くない、と思いこんでいる人はこのシリーズを聴くべき」という旨を書いていた。ではウィーン・フィルやベルリン・フィルのトランペットはミスを連発するのか?と僕は問いたい。古典派の音楽はそもそもピストンのないナチュラル管を想定して作曲されている。だからモダン楽器なら後期ロマン派の曲と比べて吹き易い。これだけで技術的な良し悪しは評価できないと想うのだが。

さて、ザ・シンフォニーホールへ。

D01

大阪フィルハーモニー交響楽団定期演奏会。指揮はヤクブ・フルシャ、1981年チェコ生まれ。まだ20代の俊英。今年の「プラハの春」のオープニングで「わが祖国」を指揮した。

プログラムは、

  • ショパン/ピアノ協奏曲 第1番(独奏:中村紘子)
  • マーラー/交響曲 第1番「巨人」

ショパンはピアノが入る冒頭、まるで打楽器のように指を鍵盤を叩き付ける荒々しさに仰天した。繊細さの欠片もない。ミスタッチが多く、音が濁る。テンポを気ままに動かす弾き方(テンポ・ルバート)にも閉口した。兎に角、中村さんの力任せのショパンは頂けない。先日聴いたダン・タイ・ソンとは雲泥の差。

フルシャ/大フィルが好サポートしていただけに勿体なかった。

そもそもショパンのオーケストレーションは単純・稚拙であり、これを定期演奏会ですること自体如何なものかと想うが、どうせ演るならせめてソリストを仲道郁代、菊池洋子、イリーナ・メジューエワ(←日本在住)あたりの実力派にして欲しかったなぁ。まあ、メジューエワのショパンは明日、いずみホールで聴くのだが。

しかし、プログラム後半のマーラーは打って変わって申し分なかった。第1楽章冒頭はゆっくりとしたテンポで始まる。しかし次第に加速して終結部では快速球に。フルシャという指揮者はリズム感の良さに抜群のセンスを感じさせるのだが、それが際だっていたのが第2楽章。アクセントが強調され、躍動するダンスが展開された。そして第3楽章、4楽章はppとpの違いが明瞭で、豊かなニュアンスの表現力が素晴らしい。瑞々しいマーラーであった。

日本のオケでこれだけ充実した「巨人」が聴けるのなら、ゲルギエフ/ロンドン交響楽団の来日公演は聴かなくても良いかなと想った夜であった。

そうそう、大阪センチュリー交響楽団の首席フルート奏者ニコリンヌ・ピエルーが今回客演していたので驚いた。しかもショパンはなんと1st!(マーラーは2nd)。異例の事態である。榎田さんがこの3月で定年退職されたので、名手ニコリンヌが近い将来大フィルに来てくれるのなら大歓迎なんだけれど……。ちなみに産経の記事によると、今月28日に開催される財団の理事会でセンチュリーの存続か解散かが大方決まるようである。

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コメント

異例の事態、というほどのことではありませんよ。
空席が有る場合、どこのオケでも他オケのトップ奏者を客演で呼んだりします。
うち(大響)が榎田さんに定期の客演首席をお願いしたことも5年前にありましたし、私もその頃に大フィルの定期に客演し、2曲ほどトップを担当したこともあります。センチュリーさんの今後については分かりませんが、今回の客演もそういった良くある事態、ではないかと思います。

投稿: ふーじー | 2010年6月25日 (金) 00時02分

ふーじーさん、プロからのコメントありがとうございます。

ここ3年間ほど大フィル定期に欠かさず通っていますが、トラ(客演)がトップを吹くということは一度もありませんでしたので驚きました。

榎田さんの後、首席フルート奏者の空席が今後どうなるのか、気になるところです。

投稿: 雅哉 | 2010年6月25日 (金) 00時38分

そうそう、ふーじーさん、シンフォニカー改め大阪交響楽団の略称は「大響」で良いのですね?「阪響」なのかどうなのか、悩んでおりました(公式サイトにも書かれてないので)。

投稿: 雅哉 | 2010年6月25日 (金) 07時15分

大フィルは元々4管編成ですから、契約云々の話で4管の大曲をやる際には前半のトップを客演に任せたり(欠員が居なければ、団員のもう一人のトップがやるはずの位置)、そういうことはよくあります。
ただ、今は退団者が出たパートも欠員補充のオーディションもしていないようで(詳しい理由は知りませんけど)、実質3管オケ状態に客演を入れてでやっているようです。ですから、団員在籍状況もクラリネットやファゴットだと一番奏者2人と二番奏者1人ですけど、オーボエやフルートは一番奏者1人だったりでその乗り番についても客演トップの機会はそこそこあると思われます。
うちのTrpの徳田くんも以前はよく客演していたようですし、欠員補充が成されるまでは、どのパートにも時々「おお、あの人が来てる!」みたいな楽しみも出ると思いますよ。

うちの愛称については、楽団を見守ってくださる皆さんが名付けるものだと考えています。批評家やマスコミの方は大響と呼んでいらっしゃいますが、そのうち定着した名前の方で良いと思いますから、お好きな呼称で構いません。
どうしても関西音楽界で「だいきょう」と言うと、大阪教育大(音楽コース)の呼び名として定着していますしね・・。

今後とも関西のオケ業界への応援を宜しくお願いします。

投稿: ふーじー | 2010年6月26日 (土) 08時13分

>ただ、今は退団者が出たパートも欠員補充のオーディションもしていないようで(詳しい理由は知りませんけど)

そこなんですよ!僕が気になっているのは。この理由として次の2つが考えられます。

1. 府からの補助金カットで新規正団員を雇う予算がない(同じく台所事情が苦しい大阪市音楽団もここ3年、新規採用をしていないそうです)。
2. 大阪センチュリー交響楽団の解散の可能性を考え、受け入れ態勢を準備している。

いずれなのかは、近いうちに分かるでしょう。

ところで「大響」という略称は、「大凶」を連想させるので、縁起を担ぐ噺家だったら、嫌がるだろうなと想像します。

そうそう、ふーじーさん、機会がありましたら大フィルの金井さんに、なにわ《オーケストラル》ウィンズで今度是非、「アルヴァマー序曲」をやって欲しいとリクエストがあることをお伝え下さい。

投稿: 雅哉 | 2010年6月26日 (土) 12時44分

あまり私が言うべきではないことも多々ありますので。(苦笑)

1の可能性はあるでしょうがね。(橋下知事とのバトルのみがクローズアップされていますが、実際問題、地方自治体からの補助カットだけではなく、事業仕分けで国からの補助もカット、そのうえ自前で受注する大きな事業収入のひとつである「宝くじ事業主催」コンサートまで仕分けされ、スクールコンサートするにも学校はどんどん統廃合、学校予算そのものも削減で鑑賞会なんてできない学校激増、地方のホールでは主催でオケを呼ぶなんて予算上年に一度が限度、この状態にしておいて、さあ、どうやって企業努力で稼げというのだ、とそれぞれの長に言い返したいのがオケ業界の現状です。特に民主党政権になってから、どのオケも苦しいどころじゃないです。)

ただ、大フィルの友人からは、1でも2でもない、別の理由を聞いています。
ただ、それはオフィシャルな情報ではありませんから、こういうところでお話はできません。すみません。

センチュリーとの合併云々の話は出ていますが、実はセンチュリーの団員には発足時に「大フィルを出て行って、受けた」方がいらっしゃいます。
そういう事情もあって、そのセンの話はなかなか難航するんじゃないかな、とは思いますね。

投稿: ふーじー | 2010年6月26日 (土) 17時40分

ふーじーさん、他ではちょっと聞けない内輪話の数々をありがとうございました。来週月曜日、センチュリー理事会後のマスコミ報道に要注目ですね。

それにしても大阪交響楽団、今年の定期は比較的有名曲もありましたが、来年のプログラムは思い切った選曲になりましたね!特にプフィツナーのシリーズと、矢代秋雄には感動すら憶えました。児玉音楽監督の意欲的で挑戦的な姿勢には感服致しました。

僕は関西フィルを聴きに行きませんが、それはあそこの弦の実力に問題を感じるからです。しかし2011年ヴァイオリンの巨匠オーギュスタン・デュメイが音楽監督に就任し、間違いなく弦楽群は強化されるでしょうから、これから目が離せませんね。

関西のオーケストラを取り巻く環境は大変厳しいものがありますが、明るい未来を予感させる動きも沢山あるように感じます。僕はそこに希望を持ちたいと想います。

投稿: 雅哉 | 2010年6月26日 (土) 19時00分

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